表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/49

■第8話:食レポ勇者の爆誕。そして街の「経済」が回り始めた

いつもお読みいただき、ありがとうございます!

本編をお楽しみください



【場所:港町「ポルト」・中央市場】

「うわぁ~! 見てください皆さん! お魚がキラキラしてますよ!」


活気あふれる市場の入り口で、ヒナタの歓声が響いた。

磯の香りと、炭火で海鮮を焼く香ばしい匂い。

ここは食の天国だ。


「さあさあ、寄ってって! 新鮮なイカ焼きだよ!」


屋台の頑固そうなおやじが声をかける。

ヒナタは吸い寄せられるように近づき、焼きたてのイカ串を受け取った。


「いただきます。……はふっ、はふっ」


一口かじった瞬間、ヒナタの表情がパァァァッと輝いた。


「んん~っ!! 美味しいぃぃぃッ!!」


ただの「美味しい」ではない。魂が震えるようなリアクションだ。


「このプリプリした食感! 噛むほどに広がる海のミルク! そしてこの秘伝のタレ……醤油の香ばしさと少しの甘みが、イカの旨味を最大限に引き出してます!」

「おじさん、これを作ったあなたは天才ですか!? 海の魔法使いですか!?」

「へ……?」


頑固親父が照れて赤くなる。


「そ、そうか? まあ、タレは先代から継ぎ足してる自慢のモンだが……」

「やっぱり! 歴史の味がすると思いました!」


ヒナタは親父の手を両手で握りしめた。


「こんなに美味しいものを食べさせてくれて、ありがとうございます! 今日まで生きててよかった~!」


ズキューン。

頑固親父のハートが撃ち抜かれた。


「……に、兄ちゃん、わかってるじゃねぇか!」


親父は涙ぐみながら、焼きイカをもう3本差し出した。


「気に入ったなら、これもおまけだ! 仲間と食いな!」

「ええっ! いいんですか!? やったー!」


【場所:市場のメインストリート】

この「ヒナタ・旋風」は止まらなかった。

パン屋にて。

「すごい! このパンの小麦の香り、太陽の匂いがします! 毎朝こんなパンが焼けるなんて、最高の職人さんですね!」


→ 店主感激。「パンの耳」揚げたやつを袋いっぱいに貰う。


八百屋にて。

「なんて瑞々しいトマト! 農家さんの愛を感じます! まるで宝石みたいだなぁ」

→ おかみさん大喜び。キュウリとナスをおまけされる。


ガラス細工店にて。

「綺麗だなぁ……。職人さんの指先には神様が宿ってるんですね。見てるだけで心が洗われます」

→ 職人が号泣。試作品の小瓶をプレゼントされる。


ヒナタが通った後は、店主たちがみんな「いい仕事をした……」という満足感に包まれ、笑顔になっていく。

褒め上手な勇者は、瞬く間に街のアイドルとなっていた。


「見ろよ、あの勇者様。すげぇ腰が低いぞ」

「俺たちの仕事をあんなにリスペクトしてくれるなんて……」

「勇者様ー! こっちのコロッケも食べてってくれー!」


黄色い声援(とおじさん達の野太い声援)が飛ぶ。

その後ろを歩く、宰相セバスチャンは呆れていた。


「……なんだこれは。王都でのパレードより盛り上がっているではないか」

「ふん、当然だ」


騎士団長ヴァレリアが、両手にイカ焼きとコロッケを持ちながらドヤ顔をする。


「ヒナタ殿の言葉には『嘘』がない。だから心に響くのだ。……うむ、このコロッケもうまいな」

「エイルさん、荷物が増えましたよ。収納魔法でお願いします」

「はいはい。……まったく、勇者のパーティバッグが『おまけのパン』で埋まるとは」


エイルも文句を言いながら、口元にはもらった揚げパンの砂糖がついていた。


そして、極めつけは――。


「ブモォォォ!(うめぇぇぇ!)」

「ひぃっ!? ま、魔物!?」


市場の人々が、大量の食材を抱えたミノタウロス(ゴズ)を見て悲鳴を上げる。

しかし、ヒナタがすかさずフォローに入った。


「大丈夫ですよ! ゴズさんは僕の『荷物持ち係』ですから!」

「ほらゴズさん、お店の人に『ごちそうさま』は?」

「ブ、ブモッ!(ごっそさん!)」


ゴズがペコリと頭を下げる。

それを見た街の人々は、再び戦慄(と勘違い)した。


「み、見たか……? あの凶暴なミノタウロスが、頭を下げたぞ……」

「勇者様、魔獣使い(テイマー)としても超一流なのか……」

「あんな化け物を『荷物持ち』にするなんて、どれだけ格が違うんだ……!」


【街の評価】

勇者ヒナタ: めっちゃいい人。そして底知れない実力者。

一行の評判: 最高(美味しいものをくれるから)。


【場所:天界・管理室】

『ちがーう!!』


神ドラマスがモニターにツッコミを入れる。


『なんで「食レポ」してんだよ! 武器屋に行けよ! 防具を新調しろよ!』

『なんでインベントリ(アイテム袋)が、ポーションじゃなくて「揚げパン」と「トマト」で埋まってるんだよォォッ!!』


ドラマスは頭を抱えた。

勇者一行は、市場の活気に飲み込まれ、完全に「観光モード」だ。

しかも、ヒナタの一言が決定打となった。


「あ、ポスターがありますよ」


ヒナタが掲示板を指差す。


【明日開催! ポルト名物・大食い&美食祭り!】

「……明日?」


ヒナタと、ヴァレリアと、エイルと、ゴズと、そしてセバスチャンの目が光った。


「宰相さん。船の手配って、時間かかりますよね?」


ヒナタが上目遣いで尋ねる。

セバスチャンは一瞬葛藤したが、手に持っていた「焼きトウモロコシ」の誘惑には勝てなかった。


「……そ、そうですな。大型船のチャーターには、手続きに数日かかると聞きます(嘘)」

「よし! 決まりですね!」


ヒナタが満面の笑みで宣言した。


「今日はこの街を食べ尽くしましょう!」


『行けよォォォォッ!! 船なら港に停まってるだろォォォッ!!』


神様の叫びも虚しく、勇者一行は「祭りへの参加」を決定。

滞在期間が「+3日」延長された。

(第8話・完)


本日もお付き合いいただき、ありがとうございました!


ヒナタのマイペースな異世界蹂躙はまだまだ続きます。魔王軍の胃の痛みが限界を迎える前に、ぜひページ下部の【☆☆☆☆☆】からの評価や、ブックマークでの応援をよろしくお願いいたします!


皆様からの応援トラフィックが、毎日の更新の最大のエネルギーになっています!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ