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■第51話:氷のテーマパーク開所式! ……えっ、魔王軍の皆さんも遊びに来たんですか?

いつもお読みいただき、ありがとうございます!

本編をお楽しみください



【場所:魔の岩峰・山頂「フロスト・リゾート」】

「えー、本日はお日柄もよく……」


標高数千メートル。万年雪が吹き荒れるはずの山頂は、巨大な「氷のドーム」で覆われ、快適な空間が保たれていた。


その中央に設けられた特設ステージで、ヒナタがどこから取り出したのか、蝶ネクタイ姿でマイク(氷の塊)を握っていた。


「ここに、世界一標高が高いテーマパーク『マウンテン・フロスト・リゾート』のグランドオープンを宣言いたします!」


パチパチパチパチ!!


「ブモォォォッ!!(おめでとう!)」

「ふむ。素晴らしい建造物だ。城塞としても機能しそうだな」

「……ん。氷のベッド、最高……」


そして、ステージの横には、首に巨大な「紅白の蝶ネクタイ」を着けられた氷竜エンシェント・フロストドラゴンが、誇らしげに胸を張っていた。


『フハハ! 我の絶対零度の芸術、存分に味わうが良い!』

「では、テープカットに移ります! ヴァレリアさん、お願いします!」


ヒナタの合図で、ヴァレリアが進み出た。

張られているのは、氷竜のブレスで作られた「氷の鎖」である。


「よし。……シッ!」


ピキィィィンッ!!

ヴァレリアの剣閃が走り、氷の鎖が粉々に砕け散ってダイヤモンドダストのように舞い上がった。


「オープンです!!」

『ゴオォォォォォッ!!(祝砲のブレス)』

「ブモォォォォッ!!(雄叫び)」


盛大なファンファーレが山頂に響き渡る。

しかし、観客は勇者一行と氷竜だけ……のはずだった。


バサバサバサッ!!


「あれ? お客さん第1号ですよ!」


上空から舞い降りてきたのは、あの時タクシー代わりに乗せてもらった「ロック鳥」だった。しかも、家族や親戚らしき巨大鳥を何羽も連れている。


『クルルッ!(遊びに来たよ!)』

「わあ! いらっしゃい! 滑り台はあっちだよ!」


さらに。


「ぜぇ……ぜぇ……。ゆ、勇者様たちはご無事か……! 遭難したかと思って、村の自警団を連れて助けに……」


麓の村から、案内人のハンスが屈強な村の男たちを引き連れて、死に物狂いで登ってきていた。


「あっ、ハンスさん! ちょうどよかった! 今オープンしたところなんです!」


ヒナタが笑顔で駆け寄る。


「ほら、特製かき氷(練乳がけ)どうぞ! 温泉(ゴズが岩を砕いて湧き出させた)もありますよ!」

「……は?」


ハンスたちは、目の前に広がる「巨大な氷の城」と「楽しそうに遊ぶ怪鳥たち」、そして「エプロン姿の氷竜」を見て、そのまま膝から崩れ落ちた。


「……ハンス殿。ようこそ、狂気のリゾートへ……」


すでに悟りを開いたセバスチャンが、温泉の足湯に浸かりながら遠い目で出迎えた。



【1時間後・リゾートは大盛況】

山頂は、カオスな賑わいを見せていた。

村の男たちは「死の山で温泉に入れるなんて!」と大喜びで足湯に浸かり、ロック鳥たちは氷の滑り台を腹滑りで満喫している。


そして、氷竜は「かき氷職人」として大忙しだった。


『シロップは何味だ! イチゴか、メロンか! 我のブレスで削った氷はフワフワだぞ!』


そこへ、新たな客(?)がやってきた。


『……おい。ここで間違いないか?』

『は、はい隊長。魔王城の目と鼻の先である「魔の岩峰」に、謎の建造物ができたと……』


黒い鎧に身を包んだ、オークやゴブリンたち。

魔王城から派遣された「魔王軍の偵察部隊」である。

彼らは、山頂の信じられない光景に目を丸くした。


『な、なんだこれは……!? 氷竜様が……エプロンをつけて氷を削っている!?』

『人間と魔獣が一緒に温泉に入ってるぞ!?』


偵察部隊が呆然としていると、ヒナタがトコトコとやってきた。


「あ、魔王軍の皆さんですか! 遠いところお疲れ様です!」


ヒナタは、入場チケット(氷のプレート)を押し付けた。


「今なら『オープン記念』で、入場料半額ですよ! 武装はあちらのクロークに預けてくださいね!」

『えっ? あ、はい……』


押しに弱いオーク隊長は、うっかり武器を預けてしまった。


「さあさあ! せっかく来たんですから、楽しんでいってください! ゴズさん、お客様ご案内して!」

「ブモォッ!(こっちだ! まずはサウナからだ!)」

『え? ちょ、わぁぁぁぁっ!?』


魔王軍の偵察部隊は、ゴズに首根っこを掴まれ、そのままアトラクション(極寒の氷の迷路からの灼熱サウナ)へと強制連行されていった。



【場所:天界・管理室】

『…………』


神ドラマスは、モニターの前で冷えピタを3枚貼っていた。


『「死の岩峰」が……魔物も人間も集う「憩いの場」になった……』

『魔王軍の精鋭偵察部隊が……氷竜のかき氷を食べて「うめぇ!」って泣いてる……』

『頼むから……戦ってくれよ……! 魔王城はもう、すぐそこに見えてるんだぞ!?』

『なんで魔王城の入り口で、魔王軍と一緒に遊園地作ってんだよ!!』



【夕暮れの山頂】

「いやぁ、大盛況でしたね!」


ヒナタは、夕日に染まる雲海を見下ろしながら、特製ホットミルクを飲んでいた。


村人たちも、魔王軍の兵士たちも、ロック鳥たちも、皆すっかり満足して「また来るよ!」と笑顔で帰っていった。(※魔王軍は帰り際にスタンプカードを作っていった)


「……勇者殿」


セバスチャンが、ゲッソリとした顔で近づいてきた。


「開所式も終わりました。魔王軍の兵士たちも帰りました。……そろそろ、我々も山を下りて、魔王城へ向かいませんか?」


ヒナタは、にっこりと笑って答えた。


「何を言ってるんですかセバスチャンさん!」

「まだ『ナイトパレード』の準備が残ってますよ! 氷竜さんにライトアップ(魔法)してもらわないと!」

『任せておけ! 夜の部こそ我の真骨頂だ!』


氷竜がノリノリで答える。


「……アァァァァァッ!!」


セバスチャンの悲痛な叫びが、夜の帳が下り始めた魔の岩峰に空しく響き渡った。


こうして、勇者ヒナタの「魔王城の目の前での寄り道」は、さらにスケールアップしていく。

魔王が直接クレームを言いに来る日まで、この氷のリゾートが閉園することはなさそうである。

(第51話・完)


本日もお付き合いいただき、ありがとうございました!


ヒナタのマイペースな異世界蹂躙はまだまだ続きます。魔王軍の胃の痛みが限界を迎える前に、ぜひページ下部の【☆☆☆☆☆】からの評価や、ブックマークでの応援をよろしくお願いいたします!


皆様からの応援トラフィックが、毎日の更新の最大のエネルギーになっています!


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