■第47話:険しい岩山越えの準備! ……えっ、ピッケルじゃなくて「マシュマロ」を買うんですか?
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【場所:岩山の麓・登山村「アル・パイン」】
「ふぅ……。次から次へと、よくもまあ険しい道が続くものですな」
宰相セバスチャンは、村の入り口からそびえ立つ巨大な岩山を見上げてため息をついた。
頂上付近は万年雪に覆われ、鋭い岩肌が牙のように剥き出しになっている。
通称『魔の岩峰』。魔王城へ至るための、避けては通れない難所だ。
「勇者殿。この山はロック鳥のようにはいきませんぞ。気流が荒く、空からは越えられません」
「ここから先は、己の手足だけで岩壁を登る『死の登山』になります」
セバスチャンは、表情を引き締めた。
「この村で、完璧な装備を整えましょう! ザイル(命綱)、アイゼン、そして最低限の干し肉です!」
しかし。
ヒナタは、岩山を見上げて目をキラキラさせていた。
「わあ……! すごい! ロケーション最高ですね!」
「セバスチャンさん! あれ、頂上で『テント』張ったら、星空がめちゃくちゃ綺麗に見えますよ!」
「……はい?」
「よーし! みんな、買い出しに行きましょう!」
「目指すは『山頂での極上グランピング(豪華なキャンプ)』です!」
「ちがァァァッ!! レジャーじゃありません! サバイバルですぞ!!」
セバスチャンの悲鳴を置き去りに、ヒナタは村の道具屋へと駆け出していった。
【場所:村の道具屋】
「いらっしゃい。……あんたたち、あの山に登るのかい?」
筋骨隆々の店主が、険しい顔でヒナタたちを迎えた。
「やめときな。あそこは熟練のアルピニストでも命を落とす魔の山だ。素人が遊び半分で登れば、確実に遭難するぞ」
「大丈夫です! 準備は念入りにしますから!」
ヒナタは、店内に並ぶ登山用具をスルーして、奥の棚へ向かった。
「おじさん! この『大型ファミリーテント(ふかふか絨毯付き)』と、『バーベキューコンロ』をください!」
「あと、串焼き用の『特大マシュマロ』と、『天体望遠鏡』も!」
店主の顎が外れそうになった。
「お、おい坊主……!? それは貴族が平地の森で遊ぶための娯楽セットだぞ!?」
「あんな垂直の岩壁に、そんな重いもん持って登れるわけねぇだろ!」
「ブモォォォッ!!(任せろ!)」
ゴズが、バーベキューコンロ(鉄製・推定50キロ)と、巨大なテントの束を軽々と担ぎ上げた。
「(おやつも頼むぜ!)」
「ふむ。山頂は冷えると聞く」
ヴァレリアが、『高級ダッチオーブン』を手にとった。
「これで煮込み料理を作れば、身体の芯から温まるだろう。重さは私の鍛錬にちょうどいい」
「……ん。私、これ」
ネムリネは、店で一番高い『極厚・魔法の羽毛布団(氷点下対応)』にくるまっていた。
「これがあれば、雪の上でも寝られる……」
「よし! 完璧な布陣ですね!」
ヒナタは、さらに「そり(下山用)」と「ウノ(カードゲーム)」を買い物カゴに放り込んだ。
店主は、震える手で金貨を受け取った。
「お、お前ら……本当に死ぬ気か……?」
「登山を……キャンプファイヤーの延長だとでも思ってやがる……」
セバスチャンは、店の隅でピッケルと干し肉を抱きしめて泣いていた。
(……私だけだ。真面目に命の心配をしているのは、私だけだ……!)
【場所:天界・管理室】
『…………』
神ドラマスは、こめかみを強く揉んでいた。
『「死の岩峰」だぞ……』
『一歩足を踏み外せば千尋の谷、吹き荒れる吹雪、襲い来る雪男……』
『なんで「ウノ」買ってんだよ!』
『山頂で「ドロー4」出して喧嘩する気か! 凍死するぞ!』
『もうダメだ……。私の作ったシリアスなダンジョンが、次々と「休日のレジャースポット」に塗り替えられていく……』
【場所:岩山の登山口】
「さあ! 皆さん、忘れ物はありませんか?」
「バナナはおやつに入りますからね!」
ヒナタは、登山服(というよりは、モコモコの可愛いスキーウェア)に身を包み、元気いっぱいに号令をかけた。
背後には、バーベキューセットや羽毛布団、天体望遠鏡など、総重量数百キロに及ぶ「グランピングセット」を背負ったゴズとヴァレリアが控えている。
(ネムリネは当然のように、ゴズの荷物の上で寝ている)
「……勇者殿。本当に、本当にこれで登るのですか?」
セバスチャンが、ピッケルを杖代わりにしながら絶望的な顔で尋ねる。
「岩壁を登る途中で、そのコンロが邪魔になるのは明白ですぞ……」
「大丈夫です! 険しい道も、山頂での美味しいお肉と星空を想像すれば乗り越えられます!」
「レッツ・ゴー・キャンプ!」
「おーっ!!(ヒナタ以外はわりとノリノリ)」
こうして、村人たちが「あいつら絶対に死んだな……」と十字を切って見送る中、勇者一行は「魔の岩峰」へのアタックを開始した。
しかし、この岩山には、神すらも予想しなかった「山の主」が住んでいた。
そして当然のごとく、ヒナタの「バーベキューの匂い」が、その主を呼び覚ましてしまうことになるのだが……それはまた、山頂でのお楽しみである。
(第47話・完)
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ヒナタのマイペースな異世界蹂躙はまだまだ続きます。魔王軍の胃の痛みが限界を迎える前に、ぜひページ下部の【☆☆☆☆☆】からの評価や、ブックマークでの応援をよろしくお願いいたします!
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