■第46話:巨大怪鳥に連れ去られて! ……わあ、この巣、リフォームのしがいがありますね!
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【場所:ド・イナカ領と次の街の間の「風切りの峡谷」】
「ふぅ……。やっと静かな旅に戻れましたな」
宰相セバスチャンは、馬車の手綱を握りながら、久しぶりの平和を噛み締めていた。
荷台には、大量の「木彫りの熊」と「陶芸作品(乾燥中)」が積まれているが、とにかく進んでいるだけで御の字だ。
「見てくださいセバスチャンさん! 綺麗な青い鳥ですよ!」
ヒナタは、馬車の横を歩いていた。
その姿は異様だった。
肩には小鳥、頭にはリス、懐にはウサギ、足元にはキツネ。
まるで「歩く動物園」だ。
「チュンチュン!(ヒナタ好きー!)」
「キーッ!(おやつくれー!)」
「はいはい、みんな順番ですよ~」
ヒナタが餌(特製クッキー)を撒くたびに、森中の小動物が集まってくる。
「……勇者殿。目立ちすぎです」
セバスチャンが注意する。
「そんなに動物を集めては、捕食者に狙われ……」
その時だった。
バサァァァァッ!!
上空から、巨大な影が落ちてきた。
突風が吹き荒れ、馬車が大きく揺れる。
「な、なんだ!?」
見上げれば、翼長10メートルはあろうかという、伝説の魔獣「ロック鳥」が急降下してきたのだ。
狙いは、ヒナタの周りに群がる小動物たち(ビュッフェ形式)。
『キシャアアアアッ!!(いただきまーす!)』
「ああっ! ダメです! この子たちは食べ物じゃありません!」
ヒナタが、とっさに小動物たちを庇って抱きしめた。
その結果。
ガシッ!!
ロック鳥の巨大な鉤爪が、ヒナタごと(小動物込みで)鷲掴みにした。
「え?」
「勇者殿ォォォッ!?」
バサバサバサッ!!
ロック鳥は、ヒナタをぶら下げたまま、高らかに空へと舞い上がった。
「うわぁぁぁ! 高い~! 絶景~!」
ヒナタの声が遠ざかっていく。
「ちがァァァッ! 感動してる場合ですかァァッ!!」
セバスチャンが絶叫する。
「ヴァレリア殿! 追撃を!」
「無理だ! 射程外だ! それに下手に撃てばヒナタ殿が落ちる!」
「ゴズ殿!」
「ブモォッ!(投げろ!)」
ゴズが近くの岩を投げようとするが、届かない。
「くそっ……! ネムリネ! 起きろネムリネ!」
「……スー……(爆睡)」
一行は、空の彼方へ消えていく勇者を見送るしかなかった。
【場所:断崖絶壁・ロック鳥の巣】
ドサッ。
ヒナタは、雲を突き抜けるほど高い岩山の頂上にある「巣」に落とされた。
周りには、動物の骨が散乱している。
『クルルッ……(餌を持ってきたぞ……)』
親鳥が、巣の中にいる3羽のヒナたちに合図を送る。
ヒナ鳥といっても、ダチョウくらいのサイズがある。
『ピピーッ!(ご飯だー!)』
巨大なヒナたちが、クチバシを開けてヒナタ(と小動物たち)に迫る。
絶体絶命のピンチ。
しかし、ヒナタは立ち上がって、服の埃を払った。
「……コラッ!!」
『ビクッ!?』
親鳥とヒナたちが固まる。
「ご飯の前には『いただきます』でしょう!」
「それに、お客さんをそんな乱暴に落とすなんて、マナーがなっていません!」
ヒナタは、腰に手を当てて説教を始めた。
「それに見てください、この巣!」
ヒナタが、木の枝で組まれた巣を指差す。
「隙間だらけじゃないですか! これじゃあ隙間風が入って、ヒナちゃんたちが風邪を引きますよ!」
「それに、骨とか散らかしっぱなし! 衛生環境が悪すぎます!」
『ク、クルッ?(えっ、そこ?)』
親鳥が困惑する。
ヒナタは、リュックから「大工道具(第1弾の残り)」と「掃除用具」を取り出した。
「僕が手本を見せます! いいですか、快適な巣作りとは……」
ヒナタの「劇的! ビフォーアフター」スイッチが入った。
【場所:峡谷の登山道】
一方、地上チーム。
セバスチャンたちは、死に物狂いで岩山を登っていた。
「ハァ……ハァ……! 勇者殿……! どうかご無事で……!」
「今行きますぞ……! 食われてなるものですか……!」
ヴァレリアが剣で茨を切り裂き、ゴズが岩を砕いて道を作る。
ネムリネは、ゴズの背中でまだ寝ている。
数時間の過酷な登山の末、ついに頂上が見えた。
「いたぞ! 巣だ!」
「覚悟しろ怪鳥! 勇者殿を返せ!」
セバスチャンたちが、武器を構えて巣に飛び込んだ。
「勇者殿ォォォッ!!」
しかし。
彼らの目に飛び込んできたのは、戦闘風景ではなかった。
『ピピーッ♪(気持ちいいー!)』
『クルル~♪(最高~!)』
そこには、
「断熱材(藁と泥)」で完璧にリフォームされた、ログハウス風の立派な巣。
そして、親鳥の羽毛を「ブラッシング」してツヤツヤにしているヒナタの姿があった。
「あ、皆さん! 遅かったですね!」
ヒナタが笑顔で手を振る。
「見てください! この巣、南向きで日当たり良好なんですよ!」
「ヒナちゃんたちも、僕の『特製オムレツ(他の魔物の卵を使用)』を食べて大満足です!」
親鳥は、完全にヒナタに懐いていた。
セバスチャンたちを見ると、『あ、この人の友達? どうぞどうぞ』という顔で翼を広げて招き入れた。
「……は?」
セバスチャンが武器を取り落とす。
「……支配したのか? この短時間で?」
ヴァレリアも呆然とする。
「支配じゃありません、『共生』です」
ヒナタは、親鳥の首元を撫でた。
「この子、本当は子育て熱心なお母さんだったんです。ちょっと整理整頓が苦手なだけで」
【場所:天界・管理室】
『…………』
神ドラマスは、モニターの前で乾いた笑いを漏らした。
『ハハハ……』
『ロック鳥……。空の王者……』
『私の設定した「中ボス」が……ただの「ペット」になった……』
『もういいよ……。その鳥に乗って魔王城に行けよ……』
『徒歩より早いだろ……』
【下山(?)】
「じゃあ、送っていきますね!」
ヒナタたちは、ピカピカになった巣を後にし、親鳥の背中に乗せてもらっていた。
小動物たちも、ヒナタのポケットで安心しきっている。
「うわー! 早い! 快適!」
「ブモォォォッ!(高いぞ!)」
親鳥は、峡谷を抜けた先の街道まで、ひとっ飛びで送ってくれた。
「ありがとう! また遊びに来るね!」
「巣の掃除、サボっちゃダメだよ!」
『クルルッ!(ラジャー!)』
親鳥は敬礼(翼を上げる)をして、空へと帰っていった。
「ふぅ。いい運動になりました」
ヒナタは地面に降り立ち、何事もなかったかのようにリュックを背負い直した。
セバスチャンは、ゲッソリしていた。
「……寿命が……縮まりました……」
「まさか、中ボスをタクシーにするとは……」
しかし、これで難所である「峡谷」を一瞬でクリアしたのも事実。
怪我の功名か、それともただのラッキーか。
「さあ! 次は何があるかなぁ!」
懲りない勇者は、再び小鳥たちを引き連れて、元気に歩き出した。
(第46話・完)
本日もお付き合いいただき、ありがとうございました!
ヒナタのマイペースな異世界蹂躙はまだまだ続きます。魔王軍の胃の痛みが限界を迎える前に、ぜひページ下部の【☆☆☆☆☆】からの評価や、ブックマークでの応援をよろしくお願いいたします!
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