■第44話:魔王軍主催・大運動会開幕! ……えっ、この「岩」は玉入れの球にしては大きすぎませんか?
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【場所:アル・サト村・中央広場】
『グオォォォッ!!(皆殺しだァァァッ!!)』
オークの隊長が、開始の雄叫びを上げた。
普通なら恐怖で震え上がる咆哮だ。
しかし、ヒナタは満面の笑みで拍手した。
「素晴らしい! なんて気合の入った『選手宣誓』でしょうか!」
「スポーツマンシップに則り、正々堂々と戦うことを誓ってるんですね!」
「ブモォォォッ!(感動した!)」
ゴズももらい泣きしている。
セバスチャンは、物陰で頭を抱えた。
「……もう止められん。試合開始だ……」
【第1種目:100メートル走(という名の「村人追跡」)】
『逃げろーッ! 食われるぞーッ!』
『ヒャッハー! 待てェェェッ!』
数匹のゴブリンライダー(狼に乗った騎兵)が、逃げ惑う村人たちを追い回している。
絶体絶命のピンチ。
「おっと! 第1種目は『障害物競走』ですね!」
ヒナタが実況を始める。
「先行する村人チーム! 必死の逃げ足だ! しかし、後ろからゴブリンチームが迫る!」
「ヴァレリア選手! ここで乱入です!」
シュバッ!!
砂塵を巻き上げ、銀色の閃光が走った。
「遅いな。周回遅れにしてやる」
ヴァレリアは、ゴブリンライダーの横に並走した。
涼しい顔で。
『あ!? なんだテメェ!?』
「コース取りが甘いぞ。イン(内側)が空いている」
ヴァレリアは、走りながらゴブリンの狼に「足払い」をかけた。
ズサァァァァッ!!
『ギャアアアアッ!!』
ゴブリンたちが派手に転倒し、コースアウト(民家の壁に激突)する。
「お見事! ヴァレリア選手、圧倒的なスピードで妨害成功!」
「村人チーム、そのままゴール(避難所)へ逃げ切りました!」
【第2種目:玉入れ(という名の「投石攻撃」)】
続いて、建物の屋根からトロールたちが巨大な岩を投げつけてきた。
『潰れろォォォッ!!』
ドォォォン!!
「わあ! 次は『ジャンボ玉入れ』ですね!」
ヒナタが空を見上げる。
「でも、ちょっとボール(岩)が大きすぎませんか? カゴに入りませんよ?」
「……ん。入る」
ネムリネが、眠そうにクッションから指を振った。
ピタリ。
空中で、数トンの岩が停止した。
『えっ?』
トロールたちが固まる。
「……全部、入れてあげる」
ネムリネが指を弾く。
ヒュンヒュンヒュン!!
停止していた岩が、猛烈な速度で逆流した。
目指す「カゴ」は――トロールたちの口だ。
『ぐ、ぐえぇぇぇぇッ!!?』
自らの投げた岩を口にねじ込まれ、トロールたちが白目を剥いて落下した。
「すごい! 全弾ホールインワン!」
「ネムリネ選手、驚異のコントロールです!」
「ブモォ!(30点!)」
【最終種目:綱引き(という名の「破壊活動」)】
そして、広場の中央。
魔王軍のボスである剛力オーガが、村のシンボルである時計塔に巨大な鎖を巻き付け、引き倒そうとしていた。
『フンヌゥゥゥッ!! 倒れろォォォッ!!』
ギギギ……と塔が軋む。
「出ました! メインイベントの『綱引き』です!」
ヒナタが目を輝かせて駆け寄る。
「一人で頑張ってますね! でも、綱引きはチーム戦ですよ!」
ヒナタは、鎖の反対側(垂れ下がっている端っこ)をガシッと掴んだ。
「ゴズさん! セバスチャンさん! 加勢しますよ!」
「オーエス! オーエス!」
「ブモォォォッ!!(負けねぇぞ!!)」
ゴズが鎖を体に巻き付け、四股を踏む。
『あ? なんだ? 重くなったぞ?』
オーガが振り返る間もなかった。
「せーのっ……!」
「引けェェェェェッ!!」
ズドォォォォン!!
ゴズとヒナタの馬鹿力が炸裂した。
時計塔を引き倒そうとしていたオーガは、逆に鎖ごと猛烈な勢いで引っ張られた。
『え? ちょ、わぁぁぁぁッ!?』
オーガの巨体が宙を舞う。
そのまま、村の外まで――いや、星になるまでかっ飛ばされた。
キラーン……(光になった演出)
「やりましたーッ!!」
「勇者チーム、完全勝利(コールド勝ち)です!!」
ヒナタとゴズがハイタッチをする。
「ブモォォォッ!!(いい汗かいたぜ!)」
【閉会式】
魔物たちは全滅(場外へ退場)した。
村には再び平和が戻った……というか、嵐が過ぎ去った後の静けさが広がっていた。
「……た、助かったのか?」
「あいつら、魔物をスポーツで追い払っちまったぞ……」
村人たちは呆然としていた。
ヒナタは、表彰台(瓦礫の山)に上がり、村長に詰め寄った。
「村長さん! 優勝しましたよ!」
「約束の賞品、『幻の蜂蜜』をください!」
「え、あ、はい……」
村長は、状況が飲み込めないまま、とりあえず最高級の蜂蜜の壺を差し出した。
「わあ! ありがとうございます!」
ヒナタは蜂蜜を掲げた。
「これにて、アル・サト村・大運動会を閉幕します!」
「皆さん、来年もまた(魔物が来たら)やりましょうね!」
村人たち(とセバスチャン)は、心の中で叫んだ。
(二度と御免だァァァッ!!)
【場所:天界・管理室】
『…………』
神ドラマスは、モニターの電源を切りたくなった。
『侵略戦争が……町内会の運動会になった……』
『魔王軍の精鋭部隊が……「綱引き」で空の彼方に消えた……』
『もうダメだ。こいつ(ヒナタ)のいる場所では、「シリアス」という物理法則が機能しない』
こうして、隣村の危機は見事に(?)去った。
ヒナタは、戦利品の蜂蜜をたっぷりとパンに塗りながら、次なる目的地へと目を輝かせる。
しかし、その蜂蜜の甘さは、セバスチャンの胃には少し重すぎたようだ。
(第44話・完)
本日もお付き合いいただき、ありがとうございました!
ヒナタのマイペースな異世界蹂躙はまだまだ続きます。魔王軍の胃の痛みが限界を迎える前に、ぜひページ下部の【☆☆☆☆☆】からの評価や、ブックマークでの応援をよろしくお願いいたします!
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