■第34話:地底湖で釣り大会! ……えっ、その「巨大ワーム」を餌にするんですか?
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【場所:砂漠の地下洞窟・入り口付近】
「ううっ……。暗い……狭い……気持ち悪い……」
宰相セバスチャンは、松明の明かりを頼りに震えていた。
洞窟の壁には、無数の穴が開いている。
シュルルル……ッ!!
穴から、太さ1メートルはあるミミズのような魔物、ジャイアント・サンドワームが顔を出した。
さらに足元には、猫ほどの大きさの猛毒サソリがカサカサと這い回る。
「ヒィィィッ!! 蟲だァァァッ!!」
「毒針だ! 囲まれたぞ!」
セバスチャンがパニックになる。
しかし、ヒナタは目を輝かせて駆け寄った。
「わあ……! なんて立派なサイズ!」
ヒナタは、襲いかかってきたワームの首(?)を、素手でガシッと掴んだ。
『ギシャアアアッ!?(えっ?)』
「見てくださいセバスチャンさん! この動きの良さ! 肌の艶!」
ヒナタはワームを持ち上げる。
「これ、『最高の生き餌』ですよ!!」
「はあぁぁぁッ!?」
「こっちのサソリは殻が硬いから……『ルアー』の素材にいいかも!」
「ゴズさん! 餌の確保をお願いします!」
「ブモォォォッ!(任せろ! 大漁だぜ!)」
一行は、襲ってくる魔物を次々と「捕獲」し、バケツ(樽)に放り込んでいく。
魔物たちにとって、これほど理不尽な狩りはなかった。
『俺たち……捕食者だったはずじゃ……?』
【場所:洞窟最深部・地底湖】
奥に進むと、広大な空間に出た。
そこには、青白く光る苔に照らされた、静寂の地底湖が広がっていた。
「うおぉぉぉ……! 広い! 深い!」
ヒナタが歓声を上げる。
「この雰囲気……間違いなく『ヌシ』がいますよ!」
『…………』
天界の神ドラマスは、モニターの前で頭を抱えていた。
『バカな……。そこは「水の神殿」への入り口だぞ?』
『湖に潜むのは、太古の恐竜「プレシオサウルス(首長竜)」だ……』
『人間ごときが釣り上げられるサイズじゃない! 逆に引きずり込まれて餌になれェェェッ!!』
【釣り大会・開始】
ヒナタは、ゴズが捕まえた特大サンドワーム(3メートル)を、特注の巨大針(ヴァレリアが剣を曲げて作った)に豪快に突き刺した。
「よし! 行きますよ!」
ビュンッ!!
ヒナタの剛腕から放たれたワームが、放物線を描いて湖の中央へ着水する。
ボチャンッ!!
「静かに待ちましょう……。魚との知恵比べです」
ヒナタは岩場に座り、じっと竿先を見つめる。
セバスチャンも、いつの間にか釣竿(エイルの杖を改造)を持たされていた。
「……本当に釣れるのですか? こんな地下に魚なんて……」
その時。
ズズズッ……!!
竿が、ありえない角度にしなった。
リールから煙が出るほどの勢いで糸が出ていく。
「き、来たァァァァァッ!!」
ヒナタが叫ぶ。
「重いッ! これはデカイですよ!!」
「ゴズさん! エイルさん! サポートを!」
「ブモォォォッ!!(綱引きだァァァッ!!)」
ゴズがヒナタの腰を抱え、全力で後ろへ引っ張る。
エイルが「筋力増強」を全員にかける。
バシャアアアアッ!!
湖面が爆発した。
水しぶきの中から現れたのは、長い首を持つ巨大な影。
『ギャオオオオオオオオッ!!』
それは魚ではない。
全長20メートルを超える、生きた化石「首長竜」だった。
「ひぃぃぃッ! 恐竜だァァァッ!!」
セバスチャンが腰を抜かす。
「む、無理です! あんなの釣れるわけがない!」
しかし、ヒナタは満面の笑みでリールを巻いた。
「すごい! 首長竜だ!」
「やっぱり地底湖にはロマンがありますねぇ!」
「引くな! 負けるな! 竿を立てろォォォッ!!」
ヒナタとゴズ、そしてヴァレリアの怪力が、太古の恐竜と互角に渡り合う。
首長竜も必死だ。
『なんだこの力は!? 餌を食べただけなのに、岩盤ごと引っ張られてる気がする!?』
数十分の死闘の末。
ズザァァァァン!!
巨大な首長竜が、湖岸に引きずり上げられた。
『グ、グエェェェ……(参った……)』
恐竜は白目を剥いて伸びていた。
【釣り大会・終了】
「獲ったどーッ!!」
ヒナタが首長竜の背中に乗ってVサインをする。
「で、デカすぎる……」
「まさか、恐竜を一本釣りするとは……」
ヴァレリアも呆れつつ、感心している。
「さあ、どうしましょうか?」
ヒナタが首長竜の首をポンポンと叩く。
「食べちゃうのは可哀想だし……そもそもデカすぎてクーラーボックスに入りませんね」
『(た、食べないで……!)』
首長竜がウルウルした目でヒナタを見る。
「……よし!」
ヒナタは閃いた。
「リリースしましょう!」
「でも、その代わり……『対岸まで送って』くれない?」
『コクン!(喜んで!)』
【湖上クルーズ】
「快適ですねぇ~!」
「風が気持ちいいですな!」
一行は、首長竜の背中に乗り、優雅に地底湖を渡っていた。
恐竜は、ヒナタたちを乗せて泳ぐのが意外と気に入ったのか、楽しそうに水を吹いている。
「ブモッ!(速いぞ!)」
「ふむ。これなら船より揺れないな」
神ドラマスは、モニターの前で呟いた。
『……もう、何でもありか』
『ワームを餌に恐竜を釣り、それをタクシーにする……』
『食物連鎖の頂点は、間違いなくあいつ(ヒナタ)だ……』
地底湖の主さえも手懐け、一行は洞窟の奥へと進んでいく。
釣り竿(武器)とバケツ(アイテムボックス)を持って。
(第34話・完)
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