■第31話:スフィンクス戦! ……わあ、この「ピンポンボタン」があれば優勝ですね!
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【場所:ピラミッド・最深部「王家の試練場」手前】
「ふぅ。これで全フロア制覇ですね!」
ヒナタは、地図(自作)にコンプリートのスタンプを押した。
隠し部屋、ドードーの巣、そしてゴミ捨て場に至るまで、全てを見て回った。
「勇者殿……。その背負っている『石板』、本当に持っていくのですか?」
セバスチャンが呆れて尋ねる。
ヒナタのリュックからは、ゴミ捨て場で拾った奇妙な石の装置が突き出していた。
赤と青の宝石が埋め込まれた、ただの重い石板だ。
「当然です! これ、すごいんですよ!」
ヒナタが得意げに赤い宝石を押す。
『ピンポンパンポ~ン♪(正解!)』
今度は青い宝石を押す。
『ブッブーーーッ!!(不正解!)』
「うるさっ!?」
セバスチャンが耳を塞ぐ。
「なんだその間の抜けた音は! 敵に見つかるだけですぞ!」
「いやいや、古代の『音響装置』ですよ! パーティーの盛り上げ役に必須です!」
「いりませんよそんなもの! 捨ててきなさい!」
「え~、絶対役に立つのになぁ……」
ヒナタはブツブツ言いながらも、頑として手放さなかった。
【場所:最深部・スフィンクスの間】
巨大な扉が開く。
そこには、ライオンの体に人間の頭を持つ、伝説の守護獣スフィンクスが鎮座していた。
『よくぞ来た……小さき者たちよ……』
重低音が響く。威圧感が凄まじい。
『我は知恵の守護者。この先へ進みたくば、我が問いに答えよ……』
『間違えれば、その魂を喰ろうてやる……』
ゴクリ……。
セバスチャンが息を飲む。
「来た……! 伝説の『スフィンクスの謎かけ』だ!」
「一度でも間違えれば即死……! 慎重に考えるのですぞ!」
『では、問おう……』
スフィンクスが口を開きかけた、その時。
ドォォォォン!!
ヒナタが、例の「石板」を地面に設置した。
「よし! セット完了!」
ヒナタは、石板の前に立ち、マイク(拡声機能付きの巻貝)を握った。
「さあ始まりました! 第1回・ピラミッド縦断ウルトラクイズ大会~!!」
『ピンポンパンポ~ン♪(ファンファーレ)』
『……は?』
スフィンクスが固まる。
「司会は私、勇者ヒナタ! そして回答者は……なんと! 伝説の守護神スフィンクスさんでーす!」
「イエーーーイ!!(ドードー鳥たちの拍手)」
『ちょ、待て。我は出題者であって……』
「では第一問! デデン!(効果音:口頭)」
ヒナタはスフィンクスの言葉を無視して進行した。
「朝は4本足、昼は2本足、夜は3本足の生き物はな~んだ?」
『それは私がこれから出す予定だった問題だァァァッ!!』
スフィンクスが激昂する。
「おっと! 答えがわかったら早押しでお願いします!」
ヒナタが石板(早押しボタン)をスフィンクスの前足の前にスライドさせた。
「さあ! 3、2、1……」
『ドゥルルルル……(ドラムロール音)』
この石板、なんと「ドラムロール」機能までついていたのだ。
この音が鳴ると、生物としての本能が「焦り」を感じてしまう。
『う、うぬぬ……! ペースがおかしい!』
スフィンクスは冷や汗をかいた。
『人間だ! 答えは人間だ!』
バシッ!
スフィンクスは思わずボタン(石板)を叩いてしまった。
『ピンポンピンポーン!!(大正解!)』
「正解! スフィンクスさんに10ポイント!」
「クエッ! クエェェェッ!(パチパチパチ!)」
会場(?)がドッと湧く。
『……あ、当たった?』
スフィンクスは、なぜか少し嬉しそうな顔をした。
数千年間、孤独に「出題」し続けてきた彼にとって、初めて「回答者として賞賛される喜び」を知ってしまったのだ。
【場所:天界・管理室】
『バカ野郎ォォォォッ!!』
神ドラマスが、机をひっくり返した。
『なんでだよ! なんで「死の謎かけ」が「クイズ$ミリオネア」になってるんだよ!』
『しかもその石板……私が神話時代に作った「余興用グッズ(失敗作)」じゃないか!』
『なんでそんなもん拾ってくるんだよ! 物持ち良すぎだろ!』
【場所:スフィンクスの間】
「では第二問! デデン!」
ヒナタのペースは止まらない。
「このピラミッドの地下3階にある『パズルの部屋』。総ピース数はいくつ?」
『な、なに?』
スフィンクスが狼狽える。
『知らんぞ……我はずっとここにいたから……』
「チッチッチッ……(時計の音)」
『あ、焦らせるな!』
『ええと……千個くらい?』
バシッ。
『ブッブーーーッ!!(残念!)』
「残念! 正解は1万と3個でした~!」
「え~、これは痛い減点ですねぇ~」
『く、くそっ……! 次だ! 次の問題を出せ!』
スフィンクスは完全に「クイズ番組の熱」に浮かされていた。
もう「魂を喰らう」とかどうでもいい。「正解音」が聞きたくて仕方がないのだ。
そこから、ヒナタによる「ピラミッド・マニアッククイズ」が展開された。
『ドードー鳥の好きな餌は?』
『隠し部屋の壁のシミの形は?』
『地下牢の入り口の段差は何センチ?』
隅々まで探索したヒナタにしか作れない、超難問の数々。
『ブッブーーーッ!!』
『ブッブーーーッ!!』
『わからん! わからんぞォォォッ!!』
スフィンクスが頭を抱えて悶絶する。
「残念~! ここでタイムアップ!」
『デデーン!(終了音)』
ヒナタは、マイクを置いた。
「スフィンクスさん。残念ながら優勝ならず……」
「罰ゲームとして、『通してください』」
『……うっ……ううっ……』
スフィンクスは、がっくりと項垂れた。
『……完敗だ』
『我が知識など、この広大なピラミッドのほんの一部でしかなかった……』
『行け……。お前たちこそ、真の「知恵者」だ……』
スフィンクスは、悔し涙を流しながら道を開けた。
そして小声で付け加えた。
『……その「ピンポン」って鳴る石、置いてってくれないか? 一人で練習したい』
「いいですよ! プレゼントします!」
ヒナタは快く「ピンポンボタン」を譲渡した。
【場所:ピラミッド出口】
「ふぅ。楽しかったですねぇ、クイズ大会」
ヒナタは満足げに伸びをした。
セバスチャンは、疲労困憊でゲッソリしていた。
「……寿命が縮まりました」
「まさか、スフィンクスを『誤答』させて勝つとは……」
ヴァレリアが笑う。
「フッ、知識とは武器だな。ヒナタ殿の『無駄な探索』が、最強の剣になったわけだ」
「ブモォ!(俺もボタン押したかった!)」
一行は、スフィンクスに見送られ(裏口でピンポン練習してた)、ついにピラミッドを攻略した。
その手には、お宝ではなく「ドードーの羽」と「スフィンクスの友情」が残った。
神ドラマスは、モニターの前で呟いた。
『……もう、何も置くな。何も置かない方が、あいつは早く進む気がする……』
しかし、「何も無い」どころか、神も予想だにしない「アレ」が待っているのだった。
(第31話・完)
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