■第30話:ドードー鳥の大群! ……わあ、保護しなきゃ! 「捕獲禁止」ですよ!
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【場所:ピラミッド・地下99階「深淵の回廊」】
「クェッ! クェェェッ!!」
最下層への階段を降りた途端、一行は異様な鳴き声に包まれた。
薄暗い回廊を埋め尽くす、丸っこい体と大きなくちばしを持つ鳥の群れ。
「こ、これは……!?」
ヒナタが松明を掲げ、目を見開く。
「ドードー鳥だァァァッ!!」
「は?」
セバスチャンがキョトンとする。
「絶滅したはずのドードーですよ! モーリシャス島にしかいなかった幻の鳥です!」
ヒナタは大興奮でスケッチブックを取り出した。
「すごい! 生きてたんだ! ここは古代生物の楽園だったんですね!」
しかし、ドードーたちは友好的ではなかった。
彼らはピラミッドの魔力で凶暴化した「キラー・ドードー」だったのだ。
『シャアアアアッ!!(侵入者だ! 突け!)』
数百羽のドードーが一斉に襲いかかってきた。
「ひぃぃぃッ! 目が怖い! こいつら肉食だぞ!」
セバスチャンが悲鳴を上げる。鋭いくちばしが、宰相の尻を狙う。
「チッ、数が多いな! 焼き鳥にしてくれる!」
ヴァレリアが剣を抜き、エイルが炎魔法を構える。
「ブモォォォッ!(唐揚げだ!)」
その瞬間。
ヒナタが両手を広げて立ちはだかった。
「ストップです!!」
「「「えっ!?」」」
ヒナタは、かつてないほど真剣な(鬼気迫る)形相で叫んだ。
「討伐禁止!! 攻撃禁止!!」
「彼らは『絶滅危惧種』です! 羽根一枚傷つけてはいけません!!」
「な、何を言ってるんですか勇者殿! 向こうは殺る気満々ですよ!?」
「関係ありません! ここで彼らを減らしたら、生態系が崩れます!」
「僕たちは『保護活動』をするんです! 『駆除』ではありません!」
「保護ォォォッ!?」
【場所:天界・管理室】
『バカなことを……』
神ドラマスが呆れていた。
『奴らは「鋼鉄の嘴」を持つ殺人鳥だぞ?』
『無抵抗で勝てるわけがない。つつかれて穴だらけになって死ぬがいい!』
【場所:深淵の回廊】
ドスッ! ドスッ! ガツッ!
「ぐわあああッ! 痛い! 脛を狙うな!」
セバスチャンが逃げ惑う。
「くっ……! 防御のみとは……!」
ヴァレリアは盾を構え、一切の攻撃を封じて耐えていた。
「私の剣技を……こんな『我慢大会』に使うとは……!」
「ブモッ……(尻尾噛まれた……)」
ゴズも丸くなって耐えている。
一方、ヒナタは――。
「痛っ! こらこら、噛まないの!」
ヒナタは、腕をガジガジと噛まれながらも、ニコニコとドードーを抱きしめていた。
「よしよし、元気だねぇ。お腹空いてるのかな?」
「毛並みがゴワゴワだね。ブラッシングしてあげようか?」
『シャアッ!?(なんだコイツ!?)』
ドードーが戸惑う。
つついても、噛んでも、この人間は怒らない。
むしろ「かわいいねぇ~」と頬ずりしてくる。
「皆さん! 彼らは敵じゃありません!」
ヒナタが叫んだ。
「ただの『人見知り』なんです! 心を開けば分かり合えます!」
「い、痛いっ! 無理ですって!」
「エイルさん! 『鳥の餌』を出して!」
「はぁ!? 高級パンですよ!?」
「いいから! 環境保護のためです!」
ヒナタは、エイルが出したパンを細かくちぎり、床に撒いた。
「ほーら、ご飯だよ~」
ピタリ。
ドードーたちの動きが止まった。
『クンクン……(いい匂い……)』
『パクッ。(……うまい!)』
一羽が食べると、連鎖反応が起きた。
『俺も!』『私も!』
殺気立っていた殺人鳥の群れが、一瞬にして「公園のハト」状態になった。
「よしよし、並んでね~」
ヒナタは手際よく餌を配る。
「ヴァレリアさん、盾で風除け作ってあげて!」
「ゴズさん、高い高いしてあげて!」
「セバスチャンさん、背中に乗せてあげて!」
「なぜ私がァァァッ!!」
セバスチャンは叫びながらも、背中に3羽のドードーを乗せて(乗られて)いた。
「重い……! でも、温かい……!」
【数十分後】
そこは、地獄の戦場ではなく「ふれあい動物広場」と化していた。
「見てください! 卵ですよ!」
ヒナタが、部屋の隅で温められている卵を見つけた。
「ここで繁殖してるんだ……。尊いなぁ」
『クルックー……(お前、いい奴だな)』
ドードーのボス(一番デカイやつ)が、ヒナタの肩に乗って甘え始めた。
「ヴァレリアさん、スケッチ完了しましたか?」
「うむ。生態記録は完璧だ。……実は、一羽連れて帰りたいのだが」
「ダメです。自然に返すのがルールです」
「ブモォ……(残念だ……)」
完全に手懐けた。
殺人鳥たちは、ヒナタたちの「護衛」として、最下層への道を案内し始めた。
『クエッ!(こっちだ!)』
『クエェッ!(スフィンクスあっち!)』
【場所:天界・管理室】
『なんでだよォォォォッ!!』
神ドラマスが、モニターに向かって叫んだ。
『肉食だぞ!? 人間を骨までしゃぶる設定だぞ!?』
『なんでパンくずで「平和の使者」になってるんだよ!』
『しかも……「絶滅危惧種」ってなんだよ! 私の世界では「雑魚モンスター(無限湧き)」なんだよォォッ!!』
神様の設定は、ヒナタの「地球の常識(思い込み)」によって上書きされた。
ピラミッドの恐怖は、またしても「癒やしの空間」へと変貌を遂げた。
そして、一行はいよいよ最下層へ。
大量のドードー鳥を引き連れて、最強の守護者スフィンクスの元へたどり着く。
(第30話・完)
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ヒナタのマイペースな異世界蹂躙はまだまだ続きます。魔王軍の胃の痛みが限界を迎える前に、ぜひページ下部の【☆☆☆☆☆】からの評価や、ブックマークでの応援をよろしくお願いいたします!
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