■第29話:1万ピースのパズル! ……わあ、これ「端っこ」から埋めるのが定石ですね!
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【場所:ピラミッド・地下3階「知恵の間」】
一行が足を踏み入れると、そこは広大なドーム状の部屋だった。
床一面に、無数の砕けた石片――いや、「パズルのピース」が散乱している。
その数、およそ1万個。
『よくぞ来た……愚かな侵入者よ……』
虚空から、試練の守護者の声が響く。
『この部屋は「無限の時」を喰らう場所』
『散らばりし1万の欠片を繋ぎ合わせ、壁画を完成させよ。さすれば「王家の秘宝」を与えん……』
普通なら絶望する量だ。
絵柄もわからず、ヒントもない。完成させるには、数週間はかかるだろう。
「ひぃぃぃッ! 1万ピースだとォォォッ!?」
宰相セバスチャンが頭を抱える。
「無理です! 先を急ぐ我々に、そんな時間はありません!」
しかし。
ヒナタは、床に散らばる石片を見て、うっとりと頬を染めていた。
「……夢みたいだ」
「はい?」
ヒナタはリュックを降ろし、腕まくりをした。
「セバスチャンさん。これ、『超高難易度・純白地獄』に近いですよ! しかも石の質感付き!」
「燃える……! パズル好きの血が騒ぐ!」
「い、いや、燃えてる場合では……」
ヒナタは、仲間に指示を飛ばした。
「皆さん! 作戦開始です!」
「まずは『四隅(角のピース)』と『直線(端のピース)』を確保してください!」
「次に『色(模様)』ごとに仕分けます!」
「……ふむ。仕分け作業か」
ヴァレリアが動体視力を極限まで高める。
「私の目にかかれば、1万の礫など止まって見えるわ!」
「解析魔法、展開」
エイルが空中に魔法陣を展開する。
「全ピースの断面形状をスキャン。3Dマッチングを開始します」
「ブモォォォッ!!(力技でハメるぜ!)」
【場所:天界・管理室】
『フハハハハ! 始めるがいい!』
神ドラマスは、余裕の表情でコーヒーを淹れていた。
『そのパズルは「古代の呪い」! ピースが微妙に似ていて、間違えると爆発するトラップ付きだ!』
『精神をすり減らし、仲間割れを始める頃には、1ヶ月が過ぎているだろう……』
【場所:知恵の間】
しかし、現場で起きていたのは「RTA」だった。
シュバババババッ!!
「はい、青いエリアのピース!」
「了解! こちらは赤いエリア!」
ヒナタの指揮のもと、ヴァレリアとエイルが人間離れした速度でピースを拾い集める。
「エイルさん! 34-Bのピース!」
「座標固定! レビテーション(浮遊)で自動はめ込み!」
カチッ! カチッ! カチッ!
空中で、魔法によって浮いたピースたちが、見る見るうちに結合していく。
「すごい! さすが賢者様! パズル攻略サイト(自動解析ツール)みたい!」
ヒナタが目を輝かせる。
「ふんッ! こっちは力技だ!」
ゴズが、形状が合わないピースを無理やり押し込もうとする。
「ブモッ!(入らねぇ!)」
「ダメですゴズさん! 無理やり入れたら『完成の美』が損なわれます!」
ヒナタが厳しく指導する。
「パズルとは『対話』なんです! ピースが『そこに入りたい』と囁くのを聞くんです!」
「ブモォ……(深ェ……)」
『…………』
神ドラマスは、コーヒーカップを持ったまま固まっていた。
『……早すぎない?』
開始からわずか1時間。
すでに8割が完成していた。
呪いの爆発トラップも、ヴァレリアが「あ、これ罠だ」と直感で回避し、エイルが「構造欠陥ですね」と魔法で無効化していた。
【2時間後】
カチリ。
ヒナタが、最後の1ピース(ど真ん中の王の顔)をはめ込んだ。
「完成……しましたァァァァッ!!」
ゴゴゴゴゴゴ……ッ!!
壁一面に、巨大な古代の壁画が現れた。
それは、冥界の神アヌビスが死者を裁く、荘厳で恐ろしい絵図だった。
「おおお……! なんて達成感だ!」
セバスチャンも、いつの間にか熱中してハイタッチをしていた。
「やりましたな勇者殿! 世界記録級の速さですぞ!」
「ええ! 楽しかった~!」
ヒナタは、完成した壁画を愛おしそうに撫でた。
すると、天井が開き、きらびやかな宝箱が降りてきた。
『み、見事だ……。これほど早く完成させるとは……』
守護者の声が、少し震えている(ドン引きしている)。
『褒美として、この「王家の短剣(攻撃力+500)」を与え……』
「あの、守護者さん!」
ヒナタが食い気味に叫んだ。
『ん?』
「短剣はいりません!」
『は?』
「それより、この完成したパズルを固める『専用のり』と『特大フレーム(額縁)』をください!」
「せっかく完成したのに、崩れちゃったらもったいないじゃないですか!」
『……えっ』
「あと、この壁画、持って帰って城(オアシスの自宅)に飾りたいんですけど!」
『い、いや、これは壁画そのもので……持ち運び不可……』
「え~! ケチ!」
「ブモォ!(ケチだ!)」
結局、ヒナタは「記念写真」をエイルの魔法で撮影し、しぶしぶ報酬の短剣を受け取った。
「あーあ。糊付けして額装したかったなぁ……」
ヒナタは短剣をリュックの奥底(どうでもいい物入れ)に放り込んだ。
【場所:天界・管理室】
『…………』
神ドラマスは、冷めたコーヒーを啜った。
『私の試練が……「日曜日の暇つぶし」にされた……』
『もういい……。次だ……』
『最下層……。そこには最強のガーディアン「スフィンクス」がいる……』
『謎かけだ。暴力もパズルも通用しない、知能戦だ……』
神様は、もはや怒る気力もなく、淡々と次のシナリオへ移行した。
しかし、ヒナタがスフィンクスの「謎かけ」を、「大喜利大会」に変えてしまう未来が見えるのは気のせいだろうか。
(第29話・完)
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ヒナタのマイペースな異世界蹂躙はまだまだ続きます。魔王軍の胃の痛みが限界を迎える前に、ぜひページ下部の【☆☆☆☆☆】からの評価や、ブックマークでの応援をよろしくお願いいたします!
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