■第27話:ピラミッド発見! ……わあ、この「隠し扉」のギミック、最高ですね!
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【場所:砂漠の秘境・王家の谷】
「……で、でかい」
一行の目の前に、天を突くような巨大な三角錐がそびえ立っていた。
古代のファラオが眠る聖域、ピラミッドだ。
「ヒャッホォォォウ!! 本物だァァァッ!!」
ヒナタはラクダから飛び降り、熱い砂も気にせずピラミッドの基部に抱きついた。
「見てくださいセバスチャンさん! この石積みの精密さ! カミソリ一枚通さない技術!」
「地球……じゃなくて、故郷では写真でしか見たことなかったんです! 感動だなぁ!」
「は、はあ。確かに壮観ですが……」
セバスチャンは嫌な予感がしていた。
「勇者殿。これは『お墓』です。呪いがあります。外から拝んで、先を急ぎ……」
「何言ってるんですか!」
ヒナタが目を輝かせて振り返る。
「中は? 中はどうなってるんですか!?」
「王の間は? 宝物庫は? 未発見の空洞は!?」
「全部見なきゃ、死んでも死にきれませんよ!!」
ガーン。
セバスチャンの予感が的中した。
「全部見る」……それはつまり、広大な地下迷宮を「しらみ潰し」にするということだ。
「よし! 総員、探検準備!」
「ヘッドライト(発光苔)用意! スコップ用意! おやつ(300円まで)用意!」
「ブモォォォ!(バナナはおやつに入るか!?)」
「ふむ。古代の罠か……。私の反射神経を試すのに丁度いい」
「やれやれ……。地図作成魔法の準備をしますか」
止める間もなく、勇者一行は「立ち入り禁止」の石板をスルーして、暗闇の入り口へと吸い込まれていった。
【場所:天界・管理室】
『かかったなアホめ!』
神ドラマスが、モニターの前で高笑いをした。
『そのピラミッドは「帰らずの迷宮」!』
『入り組んだ通路! 凶悪なブービートラップ! そして眠りを妨げられた「ミイラ男」の大群!』
『好奇心で入ったことを後悔し、恐怖に震えながら迷い続けるがいい!!』
【場所:ピラミッド内部・大回廊】
「すごーい! ひんやりしてて涼しいですねぇ!」
ヒナタは、松明ではなく「発光するキノコ(無人島産)」を持って先頭を歩いていた。
カチッ。
ヒナタが床のスイッチを踏んだ。
ヒュンヒュンヒュン!!
壁から無数の毒矢が発射される。
「危ない!」
セバスチャンが叫ぶが――。
「ふんッ!」
ヴァレリアが剣を一閃。
全ての矢が空中で叩き落とされた。
「……おや? 今、何か飛びました?」
ヒナタは気づいていなかった。
「いえ、ただの『虫』です」
ヴァレリアが涼しい顔で答える。
「(ふむ。今の矢の発射角……計算され尽くしている。古代人の匠の技だな)」
ゴゴゴゴゴ……ッ!!
次は巨大な岩球が転がってきた。
インディ・ジョーンズ的な絶体絶命のピンチだ。
「ひぃぃぃッ! 潰されるゥゥゥッ!」
「ブモッ!(ドッジボールだ!)」
ゴズが正面から岩を受け止め、そのままドリブルし始めた。
「わあ、すごい! 自動でボールが出てくる装置なんですね!」
ヒナタが拍手する。
「古代の人って、遊び心があるなぁ!」
『ちがうゥゥゥッ!!』
天界で神様のツッコミが響く。
【場所:地下2階・埋葬室】
「う~……う~……」
不気味な声と共に、包帯を巻いたミイラ男たちが現れた。
『侵入者め……呪ってやる……』
「ひぃっ! 出た! アンデッドだ!」
セバスチャンが聖水を構える。
しかし、ヒナタはミイラを見て、悲痛な声を上げた。
「……なんてことだ!」
『?』
「全身包帯だらけじゃないですか! どんだけ大怪我したんですか!?」
ヒナタが駆け寄る。
『え、いや、これは防腐処理で……』
「しかも包帯が黄ばんでボロボロだ! これじゃ傷口が化膿しちゃう!」
「エイルさん! 新品のさらし(布)を出して!」
「ええっ!? こ、これにお金をかけるのですか!?」
「当たり前です! 患者を見捨てる医者がどこにいますか!」
数十分後。
そこには、ヒナタの手によって「純白の新品包帯」に巻き直され、さらに「リボン結び」で可愛くデコレーションされたミイラたちの姿があった。
『……あ、なんか清潔』
『肌触りがいい……』
『ありがとう……成仏できそう……』
ミイラたちは、ヒナタに合掌して土に還っていった(浄化された)。
【場所:最深部・王の間】
数々の罠と、魔物(患者)を突破し、ついに一行は最深部に到達した。
黄金のマスクを被ったファラオの棺が鎮座している。
「ここが……王の間!」
ヒナタが感動に打ち震える。
『よくぞ来た……。我が眠りを妨げる者は……』
棺が開き、骸骨の王が起き上がろうとした。
しかし、ヒナタは王様を無視して、壁画にへばりついた。
「すごい! このヒエログリフ!」
「こっちの壁には当時の生活様式が! あ、これビールの作り方だ!」
「エイルさん! 拓本取ってください! 全部です! 1ミリも残さず!」
『あ、あの……我は……』
「静かにしてください! 今、歴史的発見の最中なんです!」
ヒナタがファラオに「シーッ」とする。
「あ、王様。ちょっとそこどいてくれませんか? その棺の下の床も調べたいので」
『えっ』
「ゴズさん、王様を持ち上げて」
「ブモッ!(よっこいしょ!)」
『ちょ、おま、呪うぞ!? 我、神だぞ!?』
結局、ファラオは部屋の隅に追いやられ、体育座りでヒナタたちの「調査」を見守ることになった。
「あ、そこのツボは触らないで……あーっ! それ私のコレクション!」
【場所:天界・管理室】
神ドラマスは、げっそりしていた。
『…………終わらない』
モニターの表示は【探索率:5%】。
ヒナタは、「隠し部屋」だけでなく、「通気口」や「排水溝」まで調べ尽くそうとしていた。
『まだ入り口付近だぞ!?』
『このペースだと……全フロア踏破するのに半年はかかるぞ!?』
『頼む……。もう宝箱を置いてやるから……』
『満足して出ていってくれェェェッ!!』
【3日後・ピラミッド内部】
「ふぅ。地下1階の測量が終わりました」
ヒナタは、自作の「ピラミッド完全攻略マップ」を広げた。
「勇者殿……。そろそろ……」
セバスチャンが縋るように言う。
「何言ってるんですか! まだ地下13階まであるんですよ?」
「しかも、さっきゴズさんが『隠し階段』見つけちゃったんです!」
「ブモォォォ!(お手柄だぜ!)」
「くっ……! こうなったら私も意地だ!」
エイルが眼鏡を光らせる。
「古代建築の謎……全て解き明かして論文にしてやりますよ!」
ピラミッドは、ヒナタたちによって「長期滞在型・研究施設」として占拠された。
ファラオも今では、
『あ、そっちの通路は行き止まりだよ』
『お茶淹れようか?』
と、すっかりアシスタントとして馴染んでいた。
魔王城への旅路は、またしても「歴史の闇(ピラミッドの奥)」へと消えていったのだった。
(第27話・完)
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