■第26話:町中が土下座! ……えっ、神様扱い? 「肩こり」を治せばいいんですか?
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本日20:30より、完全新作の連載をスタートします!
タイトル:『火力不足』と追放された最速の剣士、落ちこぼれパーティーの【最適解】となる。
「俺TUEEE」ではなく、不揃いなメンバーが理屈と戦術で「特化型パーティー」を組み上げ、迷宮を蹂躙していく成り上がりファンタジーです。
こちらも絶対に熱い展開をお約束しますので、ぜひ第1話を覗いてみてください!
【場所:砂漠の交易都市「アル・ラク」・正門前】
「うむ。次の街が見えてきましたな」
宰相セバスチャンは、ラクダの上で身だしなみを整えた。
前回のオアシスでの「聖女救済」の件もあり、ヒナタの名声はうなぎのぼりだ。
(これなら、この街でもVIP待遇で迎えられるかもしれん……)
しかし、門をくぐった瞬間。
セバスチャンは言葉を失った。
ザッッッ!!
広場を埋め尽くす数千人の市民が、一斉に地面に額をこすりつけたのだ。
その光景は、王の帰還などというレベルではない。
まるで「現人神」の降臨だ。
「ええっ!?」
ヒナタが驚いてキョロキョロする。
長老らしき老人が、震える手でヒナタの前に進み出た。
「おお……! 予言通りじゃ……!」
「砂漠に水を湧かせ(温泉)、一夜にして城を築き(砂場)、美しき乙女の病を癒やした(整体)、伝説の『癒やしの水神様』じゃあぁぁぁッ!!」
「ははーーっ!! 水神様バンザーイ!!」
「どうか! どうか我らをお救いください!!」
ドォォォォォン!!
地鳴りのような祈りの声。
「す、水神様……?」
ヒナタが困惑する。
「セバスチャンさん、僕、いつの間に神格化されたんでしょう?」
「……勇者殿の行動が、常識の斜め上を行き過ぎた結果ですな」
セバスチャンは遠い目をした。
「もう手遅れです。ここは話を合わせましょう」
「ええ~……。神様って柄じゃないんですけどねぇ」
ヒナタはポリポリと頬をかいた。
【場所:都市の中央・枯れた大噴水】
「実は……この街の命である『大噴水』が、一ヶ月前から止まってしまったのです」
長老が涙ながらに訴える。
「この噴水は、地下に住まう守り神『水竜様』の吐息によって動いています」
「しかし、水竜様が最近、酷くご機嫌斜めで……供物を捧げても、祈っても、水を出してくださらんのです!」
「このままでは街は干上がってしまいます! どうか、水神様のお力で水竜様のお怒りを鎮めてください!」
「なるほど。水が出ないのは困りますね」
ヒナタは真剣な顔で頷いた。
「わかりました。その水竜さんに会って話してみましょう」
【場所:地下神殿・水竜の洞窟】
一行は、街の地下深くにある巨大な空洞へと案内された。
そこには、全身が岩のように硬い鱗で覆われた、巨大な青い竜が横たわっていた。
『グルルル……ッ!』
水竜は苦しそうに唸り声を上げている。
その迫力に、セバスチャンが震え上がる。
「ひぃっ! あんな巨獣、怒らせたらひとたまりもないぞ!」
ヴァレリアが剣に手をかける。
「ふむ。殺気はないが……苦悶の表情だな。病気か?」
「……あ」
ヒナタは、水竜の首元をじっと見つめた。
そして、スタスタと近づいていく。
「勇者殿! 危険です!」
「大丈夫ですよ」
ヒナタは水竜の目の前まで行くと、優しく声をかけた。
「辛そうですね。……ずっと『同じ姿勢』で寝てませんでしたか?」
『グル?』
「わかりますよ。ここ、枕(岩)が高すぎるんです」
ヒナタが指差したのは、水竜が頭を乗せている巨大な岩だ。
「こんな硬くて高い岩にずっと頭を乗せてたら……そりゃあ『寝違え』も起こしますよ!」
『!?』
水竜が目を見開く。
そう、水竜の不機嫌の原因は、祟りでも怒りでもなく、単なる「酷い寝違え(首の激痛)」だったのだ。
首が痛くて水も吐けず、悶絶していただけなのだ。
「かわいそうに。ガチガチですね」
ヒナタは袖をまくり上げた。
「よし! ゴズさん! ヴァレリアさん!」
「この固まった筋肉をほぐしますよ! 『ドラゴン・整体』開始です!」
「ブモォォォッ!(任せろ!)」
「ふむ。剣技をマッサージに応用する時が来たか……!」
【施術開始】
ボキボキボキッ!!
「あだだだだッ! 竜さん、力抜いて~!」
「そこだ! 僧帽筋の奥! 聖剣突き(ツボ押し)!」
「ブモッ!(尻尾引っ張るぞ!)」
地下神殿に、格闘技のような音が響き渡る。
ヒナタたちは、全長20メートルの竜の背中に乗り、全力で凝りをほぐしていた。
『グ、グオォォォ……ッ(そ、そこ……効く……)』
水竜の表情が、苦痛から快楽へと変わっていく。
「はい、仕上げです!」
ヒナタが首の骨をゴクリと調整する。
「せーのっ……エイッ!!」
コキッ。
その瞬間。
水竜の目から涙がこぼれ、全身の力が抜けた。
『プハァァァァァァッ!!』
詰まっていたものが取れたかのように、水竜の口から猛烈な勢いで水流がほとばしった。
【場所:地上・大広間】
ドッパァァァァァァン!!!!
枯れていた大噴水から、天を衝くほどの水柱が上がった。
虹がかかり、乾いた街に恵みの雨が降り注ぐ。
「お、おおお……!!」
「水だ! 水竜様がお許しになったぞ!」
「水神様が奇跡を起こしたんじゃあァァァッ!!」
市民たちは歓喜し、踊り狂った。
「ヒナタ様バンザイ! 水神様バンザイ!」
【場所:地下神殿】
「ふぅ。スッキリしましたね」
ヒナタは、満足げに竜の頭を撫でていた。
水竜は、まるで忠犬のようにヒナタに擦り寄っている。
『クゥ~ン(ありがとう。一生ついていく)』
「あ、そうだ。この枕(岩)は捨てて、僕の『砂漠用ビーズクッション(魔法の絨毯の中身)』を使いましょう」
ヒナタは、自作の巨大クッションをプレゼントした。
『フカフカ……(幸せ……)』
水竜は即座に堕落した。
【場所:天界・管理室】
『ちがうゥゥゥゥッ!!』
神ドラマスが、モニターに向かって叫んだ。
『そこは「生贄の儀式を止める」とか「呪いを解く」とかだろォォッ!!』
『なんで「竜の寝違え」を治して解決してるんだよ! 世界観が台無しだ!』
『しかも、あの竜……「もう二度と硬い岩では寝ない」って顔してるぞ……』
『野生を……神獣の威厳を返せェェェッ!!』
【場所:アル・ラク・出発の時】
翌日。
ヒナタたちは、国賓級……いや、神級の扱いを受けて送り出された。
「水神ヒナタ様! またいつでもお越しください!」
「この街の守り神として銅像を建てます!」
「えへへ、照れますねぇ」
ヒナタは大量の貢物(フルーツ、水、宝石)をラクダに積んで手を振った。
セバスチャンは、深くため息をついた。
「……もう、否定するのはやめよう」
「彼は勇者ではない。……『トラブル解決業者(なんでも屋)』だ」
こうして、砂漠の都市伝説に新たな1ページを刻み、一行はいよいよ砂漠の出口、そして魔王領へと近づいていく。
しかし、神様の胃痛と、セバスチャンの心労は、まだまだ癒えそうになかった。
(第26話・完)
本日もお付き合いいただき、ありがとうございました!
ヒナタのマイペースな異世界蹂躙はまだまだ続きます。魔王軍の胃の痛みが限界を迎える前に、ぜひページ下部の【☆☆☆☆☆】からの評価や、ブックマークでの応援をよろしくお願いいたします!
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