表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/49

■第22話:砂と水があるなら……「実物大のお城」を作るしかありませんよね!

いつもお読みいただき、ありがとうございます!

本編をお楽しみください



【場所:自作オアシス・ヒナタ湖のほとり】

「ふぅ……。いいお湯でした」

「生き返りましたな。……さて、勇者殿。水も補給しましたし、出発しましょうか」


宰相セバスチャンは、ラクダの手綱を引いて準備万端だった。

奇跡のオアシスで一晩休み、体力も気力も回復した。今度こそ砂漠を抜ける時だ。


しかし。

ヒナタは、濡れた砂をバケツ(ヤシの実の殻)に入れて、ひっくり返していた。


パカッ。

可愛いプリン型の砂山ができる。


「……ん~」


ヒナタは腕組みをして、その小さな山と、背後に広がる広大な砂漠を見比べた。


「……足りない」

「はい?」


セバスチャンが嫌な予感を覚える。

ヒナタは、キラキラした目で立ち上がった。


「セバスチャンさん。見てください、この無限の砂! そして豊富な水!」

「これって、『世界最大の砂場』ですよね!?」

「ま、まあ……物理的にはそうですが……」

「僕、子供の頃からの夢だったんです」


ヒナタが拳を握りしめる。


「公園の砂場じゃ作れなかった……『人が住めるレベルの実物大・砂の城』を作ることが!!」

「じ、実物大ィィィッ!?」

「はい! 設計図は頭の中にあります! 西洋風の尖塔に、跳ね橋、そして地下牢まで完備した完璧な城塞です!」

「材料費はタダ! 土地代もタダ! 今やらないでいつやるんですか!」


セバスチャンが止める間もなく、ヒナタは仲間たちに号令をかけた。


「総員、建築開始です!」

「ゴズさんは基礎工事! エイルさんはセメント(水魔法)係! ヴァレリアさんは彫刻担当です!」

「おう! 任せろ!」

「ふむ。城郭建築か。騎士として腕が鳴るな」

「やれやれ……。私の『硬化魔法ロック・ハード』を使えば、花崗岩並みの強度が出せますよ」


全員ノリノリだった。

セバスチャンだけが、砂漠の中心で叫んだ。


「出発はァァァァッ!?」



【場所:天界・管理室】

『…………』


神ドラマスは、モニターの前で放心していた。


『城……?』

『砂漠のど真ん中に……マイホームを建てる気か……?』

『バカな! 砂だぞ! 崩れるに決まってる!』

『積み上げても精々1メートルだ! すぐに挫折して進むはずだ!』


ドラマスは、物理法則(砂の安息角)に希望を託した。



【数時間後・オアシス】

しかし、異世界のスペックは物理法則を凌駕していた。


ズドドドドドド……ッ!!


「ブモォォォッ!!(土台できたぞーッ!!)」


ゴズが、小山ほどの砂を一気に突き固める。その足踏みはランマー(転圧機)より強力だ。


「水魔法『アクア・バインド』! からの土魔法『テラ・ソリッド』!」


エイルが杖を振ると、サラサラの砂が瞬時に「砂岩」へと変質し、ガッチリと固まる。


「そこだ! 窓枠の装飾はロココ調で!」


ヒナタが指示を出す。


「承知! 聖剣技『千本桜』!」


ヴァレリアが目にも留まらぬ速さで剣を振るうと、固められた砂壁に、美しいレリーフと窓が削り出された。


『…………』


神ドラマスは、口を開けたまま固まっていた。

モニターの中に映っていたのは、もはや「砂遊び」ではなかった。


高さ20メートル。

4つの尖塔を持つ、白亜(砂色だが)の巨城。

精巧な彫刻が施された城門。


それは、王都にあってもおかしくないレベルの「本物の城」だった。


『な……なんだそれはァァァッ!!』

『なんで半日で建つんだよ! ゼネコンか貴様らは!』



【場所:砂の城・王の間(2階)】

「完成……しましたね」


ヒナタは、砂で作られた玉座(フカフカのクッション付き)に座り、満足げに天井を見上げた。

シャンデリアの代わりに、発光する苔(無人島産)が吊るされている。


「素晴らしい……。これが私の城か……」


セバスチャンも、あまりの出来栄えに感動して涙ぐんでいた。


「王宮より住み心地が良いかもしれん……。風通しも計算されている……」

「まだですセバスチャンさん」


ヒナタが真剣な顔で言った。


「え?」

「城はできましたが、まだ『外堀』と『城下町ジオラマ』が残っています」

「あと、中庭に『流れるプール』も作りたいですし」

「ま、まだやるのですか!?」

「当然です! 妥協は許されません!」


ヒナタは立ち上がった。


「この城が『世界遺産』として登録されるレベルになるまで、僕はここを動きません!」

「ブモッ!(プール楽しみだぜ!)」



【3日後】

砂漠のオアシスには、異様な光景が広がっていた。

巨大な城。その周りを囲む運河。

精巧に作られた砂の家々(ドールハウスサイズ)。


そして、ウォータースライダー付きのプールで遊ぶ勇者一行。

通りがかった商隊キャラバンが、その光景を見て腰を抜かした。


「な、なんだあれは!? 蜃気楼か!?」

「いや、実体があるぞ! 新しい王国が誕生したのか!?」


噂は瞬く間に広がった。


『砂漠に突如現れた「幻の砂城」。そこには、遊びを極めし神々が住まうという』



【場所:天界・管理室】

『壊れろ……。頼むから風で崩れてくれ……』


神ドラマスは、神頼み(自分に)をしていた。

しかし、エイルの『永久硬化魔法』がかかった砂の城は、ダイヤモンド並みに硬かった。


『……もういい。住め。そこに住め』

『魔王も、まさか勇者が「砂場で建築ごっこ」をしてるとは思うまい……』


神様は、そっとモニターの輝度を下げた。

ヒナタたちが「飽きる」まで、あと1週間。


砂漠エリアの滞在時間は、歴代勇者の最長記録を大幅に更新し続けていた。

(第22話・完)


本日もお付き合いいただき、ありがとうございました!


ヒナタのマイペースな異世界蹂躙はまだまだ続きます。魔王軍の胃の痛みが限界を迎える前に、ぜひページ下部の【☆☆☆☆☆】からの評価や、ブックマークでの応援をよろしくお願いいたします!


皆様からの応援トラフィックが、毎日の更新の最大のエネルギーになっています!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ