■第22話:砂と水があるなら……「実物大のお城」を作るしかありませんよね!
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【場所:自作オアシス・ヒナタ湖のほとり】
「ふぅ……。いいお湯でした」
「生き返りましたな。……さて、勇者殿。水も補給しましたし、出発しましょうか」
宰相セバスチャンは、ラクダの手綱を引いて準備万端だった。
奇跡のオアシスで一晩休み、体力も気力も回復した。今度こそ砂漠を抜ける時だ。
しかし。
ヒナタは、濡れた砂をバケツ(ヤシの実の殻)に入れて、ひっくり返していた。
パカッ。
可愛いプリン型の砂山ができる。
「……ん~」
ヒナタは腕組みをして、その小さな山と、背後に広がる広大な砂漠を見比べた。
「……足りない」
「はい?」
セバスチャンが嫌な予感を覚える。
ヒナタは、キラキラした目で立ち上がった。
「セバスチャンさん。見てください、この無限の砂! そして豊富な水!」
「これって、『世界最大の砂場』ですよね!?」
「ま、まあ……物理的にはそうですが……」
「僕、子供の頃からの夢だったんです」
ヒナタが拳を握りしめる。
「公園の砂場じゃ作れなかった……『人が住めるレベルの実物大・砂の城』を作ることが!!」
「じ、実物大ィィィッ!?」
「はい! 設計図は頭の中にあります! 西洋風の尖塔に、跳ね橋、そして地下牢まで完備した完璧な城塞です!」
「材料費はタダ! 土地代もタダ! 今やらないでいつやるんですか!」
セバスチャンが止める間もなく、ヒナタは仲間たちに号令をかけた。
「総員、建築開始です!」
「ゴズさんは基礎工事! エイルさんはセメント(水魔法)係! ヴァレリアさんは彫刻担当です!」
「おう! 任せろ!」
「ふむ。城郭建築か。騎士として腕が鳴るな」
「やれやれ……。私の『硬化魔法』を使えば、花崗岩並みの強度が出せますよ」
全員ノリノリだった。
セバスチャンだけが、砂漠の中心で叫んだ。
「出発はァァァァッ!?」
【場所:天界・管理室】
『…………』
神ドラマスは、モニターの前で放心していた。
『城……?』
『砂漠のど真ん中に……マイホームを建てる気か……?』
『バカな! 砂だぞ! 崩れるに決まってる!』
『積み上げても精々1メートルだ! すぐに挫折して進むはずだ!』
ドラマスは、物理法則(砂の安息角)に希望を託した。
【数時間後・オアシス】
しかし、異世界のスペックは物理法則を凌駕していた。
ズドドドドドド……ッ!!
「ブモォォォッ!!(土台できたぞーッ!!)」
ゴズが、小山ほどの砂を一気に突き固める。その足踏みはランマー(転圧機)より強力だ。
「水魔法『アクア・バインド』! からの土魔法『テラ・ソリッド』!」
エイルが杖を振ると、サラサラの砂が瞬時に「砂岩」へと変質し、ガッチリと固まる。
「そこだ! 窓枠の装飾はロココ調で!」
ヒナタが指示を出す。
「承知! 聖剣技『千本桜』!」
ヴァレリアが目にも留まらぬ速さで剣を振るうと、固められた砂壁に、美しいレリーフと窓が削り出された。
『…………』
神ドラマスは、口を開けたまま固まっていた。
モニターの中に映っていたのは、もはや「砂遊び」ではなかった。
高さ20メートル。
4つの尖塔を持つ、白亜(砂色だが)の巨城。
精巧な彫刻が施された城門。
それは、王都にあってもおかしくないレベルの「本物の城」だった。
『な……なんだそれはァァァッ!!』
『なんで半日で建つんだよ! ゼネコンか貴様らは!』
【場所:砂の城・王の間(2階)】
「完成……しましたね」
ヒナタは、砂で作られた玉座(フカフカのクッション付き)に座り、満足げに天井を見上げた。
シャンデリアの代わりに、発光する苔(無人島産)が吊るされている。
「素晴らしい……。これが私の城か……」
セバスチャンも、あまりの出来栄えに感動して涙ぐんでいた。
「王宮より住み心地が良いかもしれん……。風通しも計算されている……」
「まだですセバスチャンさん」
ヒナタが真剣な顔で言った。
「え?」
「城はできましたが、まだ『外堀』と『城下町』が残っています」
「あと、中庭に『流れるプール』も作りたいですし」
「ま、まだやるのですか!?」
「当然です! 妥協は許されません!」
ヒナタは立ち上がった。
「この城が『世界遺産』として登録されるレベルになるまで、僕はここを動きません!」
「ブモッ!(プール楽しみだぜ!)」
【3日後】
砂漠のオアシスには、異様な光景が広がっていた。
巨大な城。その周りを囲む運河。
精巧に作られた砂の家々(ドールハウスサイズ)。
そして、ウォータースライダー付きのプールで遊ぶ勇者一行。
通りがかった商隊が、その光景を見て腰を抜かした。
「な、なんだあれは!? 蜃気楼か!?」
「いや、実体があるぞ! 新しい王国が誕生したのか!?」
噂は瞬く間に広がった。
『砂漠に突如現れた「幻の砂城」。そこには、遊びを極めし神々が住まうという』
【場所:天界・管理室】
『壊れろ……。頼むから風で崩れてくれ……』
神ドラマスは、神頼み(自分に)をしていた。
しかし、エイルの『永久硬化魔法』がかかった砂の城は、ダイヤモンド並みに硬かった。
『……もういい。住め。そこに住め』
『魔王も、まさか勇者が「砂場で建築ごっこ」をしてるとは思うまい……』
神様は、そっとモニターの輝度を下げた。
ヒナタたちが「飽きる」まで、あと1週間。
砂漠エリアの滞在時間は、歴代勇者の最長記録を大幅に更新し続けていた。
(第22話・完)
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ヒナタのマイペースな異世界蹂躙はまだまだ続きます。魔王軍の胃の痛みが限界を迎える前に、ぜひページ下部の【☆☆☆☆☆】からの評価や、ブックマークでの応援をよろしくお願いいたします!
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