■ 第214話:恐怖の人食い箱(ミミック)。……えっ、便利な全自動スーツケースですか?
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それでは、本編をお楽しみください!
【場所:天界・管理室】
『フハハハ……。宴会で酔い潰れ、奴らは完全に気を抜いている! 旅行というものはな、「家に帰るまでが遠足」なのだよ!!』
激動の神・ドラマスは、充血した目でコンソールを操作し、高らかに笑い声を上げた。
『奴らの帰路、竜の渓谷の出口にある一本道に、幻影で「お土産屋」を作り出してやった! その店内には、開けた者を丸呑みにする凶悪な人食い箱……【ミミック】を大量に配置してある! さらに並べられた商品はすべて、触れた者を破滅に導く呪いの武具!』
地球の神様は、朝マックのハッシュポテトをかじりながらモニターを眺めている。
『へえ。旅行の最後によくある「ぼったくり土産物屋」のファンタジー版ってわけだ』
『いかにも! 奴らは慰安旅行の浮かれ気分のまま、可愛いお土産の箱だと思ってミミックを開け、頭から丸呑みにされるのだ! 宴会で気を抜いたことをあの世で後悔するがいいわァァァッ!!』
【場所:竜の渓谷・出口付近の「呪われた土産物屋」】
「あーっ! 皆さん見てください! こんなところにお土産屋さんがありますよ!」
温泉を大満喫し、すっかりお肌ツヤツヤになったヒナタ一行。
帰り道を歩いていたヒナタが、ポツンと建っている怪しげな土産物屋を見つけてパタパタと駆け寄った。
「おお、これはちょうどいい! 留守番をしているドワーフの王様たちや、道中の宿場町でお世話になった人たちに、お土産を買っていこうじゃないか!」
「ブモォ! 俺様はあの『温泉まんじゅう』をもう一箱買いたいぜ!」
アロハシャツの魔王やゴズたちも、すっかり財布の紐が緩んだ観光客の顔でゾロゾロと店内へ入っていく。
店番をしていたのは、ドラマスが派遣した「変装した悪魔」だったが、目の前に魔界の最高権力者(魔王)と世界最強の化け物たちがズラリと並んだことで、すでに滝のような冷や汗を流してカウンターの下で震えていた。
「わあ、木彫りのドラゴンの置物とか、綺麗な宝箱がいっぱい並んでますねぇ!」
ヒナタは、店の中央にどんと置かれた、ひと際大きな「豪華な宝箱」の前にしゃがみ込んだ。
(フフフ……! 開けろ勇者よ! それこそが我が店で最も凶暴な巨大ミミック! 貴様の上半身など一撃で噛み砕く……!!)
店番の悪魔が、カウンターの陰で邪悪な笑みを浮かべた、その時。
ガチャッ。
ヒナタが宝箱の蓋を開けた瞬間。
『ギシャアアアァァァッ!!』
宝箱の中に潜んでいた巨大な牙と真っ赤な舌が飛び出し、ヒナタの右腕にガブリと噛みついた!
「ヒナタ殿ォォォッ!!」
「いかん、それは人食い箱だ!!」
後ろにいたヴァレリアが剣を抜き、エイルが魔法を詠唱しようとする。
しかし、腕を噛まれたヒナタ本人は、全く痛がる様子もなく、むしろ目をキラキラと輝かせていた。
「わあーっ!! すごい!! これ、最近流行りの『インタラクティブ(ふれあい型)お土産』ですか!?」
『……ギシャ?』
ミミックの動きが止まる。
実はヒナタの腕は、噛まれる直前に「魔王と古竜がお土産用に持たせてくれた超硬度の竜の鱗のブレスレット」にガッチリとガードされており、ミミックの牙は全く皮膚に届いていなかったのである。
「箱の中に可愛いワンちゃんみたいな生き物が入ってるんですね! あ、もしかして、お腹空いてるんですか? ずっと暗い箱の中でお客さんを待ってたから、喉も渇きましたよね!」
ヒナタは噛みつかれたままの腕を全く気にせず、左手でリュックをごそごそと漁ると、昨日の宴会で余った「モルガナ特製・激辛もつ鍋の残り汁で作った絶品雑炊」と「竜の渓谷の温泉卵」を取り出した。
「はい、あーん! 美味しいですよ〜!」
ヒナタがミミックの大きな口の中に、絶品雑炊と温泉卵を放り込んだ。
『ギギャッ!? ……モグモグ……ッ!?』
ミミックの瞳が見開かれた。
暗く湿った場所で、たまに来る冒険者の硬い鎧やマズい肉ばかりをかじっていたミミックにとって、魔界と神話の食材を煮込んだ「絶品雑炊」は、まさに雷に打たれるほどの美食であった。
『……モグモグモグ……ゴクッ!! ……キュゥゥゥン……♪』
ミミックは牙を引っ込め、ヒナタの腕をペロペロと舐め回し、宝箱の蓋をパタパタと犬の尻尾のように動かして喜びを表現し始めた。
「よしよし、いい子ですね〜! あ、そうだ。この子、すごく口が大きくて中が広いから、僕たちが買ったお土産を入れるのにピッタリじゃないですか!」
「なるほど! 最近の旅行カバンは、自分で歩いてついてくる『全自動スーツケース』なのか! 素晴らしいな!」
魔王がポンッと手を打つ。
ヒナタが「お土産、持ってくれますか?」と尋ねると、ミミックは『キュー!』と元気よく返事をして、みんなが爆買いしたお土産を次々と大きな口(四次元収納)の中へ収納し、トテトテと短い足を生やしてヒナタの後ろをついて歩き始めた。
「よし! このスーツケース(ミミック)ちゃん、買います!」
ヒナタは店番の悪魔に向かって、ニッコリと笑った。
一方、店内を見て回っていた他のメンバーたちも、次々と商品をレジへ持ってきた。
「店主。この『血塗られた呪いのマント』、素晴らしいな。太陽の光を完全に遮断する漆黒の呪力が編み込まれている! これなら真夏のビーチでも絶対に日焼けしないぞ!」
と、大喜びでマントを羽織る吸血鬼アルカード。
「ブモォ! この『怨念の巨大戦斧』、薪割りに最高の重量感だぜ! 呪いの力で勝手に木を叩き割ってくれるから、超ラクチンだ!」
と、呪いの武器を実用品として絶賛するミノタウロスのゴズ。
「店主! 全部まとめていくらだい!? 釣りはいらないよ!」
魔王が、またしてもカウンターの上に「魔界の特大純金貨」をドサッと積み上げた。
「あ、あ、ありがとうございますゥゥゥッ!!」
店番の悪魔は、ミミックが全自動スーツケースになったことなどどうでもよくなるほどの圧倒的なカネの力(純金貨)を前に、土下座して大号泣した。
「俺、悪魔やめます! 今日からこの資金で、真面目に実家の土産物屋を継ぎますゥゥゥッ!!」
【場所:天界・管理室】
『なんでミミックが「全自動スーツケース」になって、勇者の後ろをトテトテ歩いてるんだァァァァッ!!』
激動神ドラマスは、モニターを指差して泡を吹きながらひっくり返った。
『丸呑みにする凶悪なトラップだろうが!! なんで「可愛いふれあい型お土産ですね!」って絶品雑炊を食わせて手懐けてるんだよォォォッ!! しかも呪いのマントをUVカットコートとして使うなァァァッ!!』
地球の神様は、ハッシュポテトを飲み込んでゲラゲラと笑い転げていた。
『あーっはっはっは!! 傑作だねドラマス君! どんな凶悪なトラップも、ヒナタ君の「お腹空いてるの?」の精神と、魔王のお財布パワーの前じゃ、ただの超便利な旅行グッズとボロ儲けビジネスになっちゃうんだよ!』
『やめろォォォォッ!! これで本当に、慰安旅行の道中すら完全に安全で快適なVIPツアーになってしまったわァァァァッ!!』
こうして、神の仕掛けた最後の悪あがき(土産物屋の罠)も、ヒナタのお世話スキルによって「最高のお買い物タイム」へと変換され。
世界最強の慰安旅行ご一行は、大量のお土産と思い出(と新しい全自動スーツケース)を抱え、大満足で「せせらぎの川辺」への帰路につくのであった。
(第214話・完)
本日もお付き合いいただき、ありがとうございました!
ヒナタのマイペースな異世界蹂躙はまだまだ続きます。魔王軍の胃の痛みが限界を迎える前に、ぜひページ下部の【☆☆☆☆☆】からの評価や、ブックマークでの応援をよろしくお願いいたします!
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