■第153話:二本足の怪猫・猫又! ……えっ、踊る前に「甲状腺機能亢進症」と「腰椎の崩壊」の説教ですか?
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それでは、本編をお楽しみください!
【場所:天界・管理室】
「……カチャッ、スゥーッ。完璧だ。私の神殿は今や、カビ一つ、チリ一つない極上のクリーンルームと化したぞ」
神ドラマスは、天井嘗のエピソードから導入した伸縮モップと除湿機により、神殿の隅々まで物理的なメンテナンスを行き届かせ、ピカピカになった玉座で満足げに頷いていた。
画面の中では、ヒナタたちが王都の郊外にある、古い空き家の縁側に腰掛けて休憩しているところだった。
「ほう! 『え段』の第5弾、『ね』の刺客だな! その名は怪猫、猫又!」
ドラマスは、艶消しマットのタブレットをスワイプしながらニヤリと笑った。
「長年生き立てた猫が妖力を得て化けた姿! 尻尾が二股に裂け、人間の言葉を解し、二本足で立ち上がって不気味な踊りを踊り、時には死者を操るというオカルトの権化! この可愛さと不気味さが同居するホラーキャットに、ヒナタのロジックはどう立ち向かうのだ!?」
【場所:人間界・古い空き家の縁側】
「う〜ん、この空き家は日当たりが良いですねぇ。猫が昼寝するには最高の環境です」
ヒナタは、四次元リュックを横に置き、縁側でストレッチをしていた。
「ゆ、勇者殿……! 庭の草むらから、大きな三毛猫が現れたのですが……し、尻尾が二つに割れて、しかも後ろ足だけでスクッと立ち上がりましたぞ……!!」
宰相セバスチャンが、震える指で庭を指差した。
『……ニャーォ、ニャァァァオッ!!』
現れた古い三毛猫は、頭にどこから持ってきたのか手ぬぐいを乗せ、二本足で器用に立ち上がり、前足をヒョイヒョイと動かして、不気味な盆踊りのようなステップを踏み始めた。
「ひぃぃぃッ!! で、出たァァッ!! 猫又ですぞォォッ!! 猫が二本足で踊っております!! 呪われます!!」
セバスチャンが悲鳴を上げて縁側の柱にしがみつく。
『フニャァァッ!! 俺は長生きして妖力を得た猫又! この妖しい踊りで死霊を呼び覚まし、貴様らを呪い殺して……』
猫又が、さらにテンションを上げて激しくジャンプし、腰をクネクネと捻りながら踊り狂おうとした、その瞬間。
「ちょっと待って!!!」
ヒナタの、オカルトな怪猫伝説を完全に動物病院の診察室へと引きずり込む「獣医師&動物行動学者」が響き渡った。
『……ニャッ?』
猫又は、二本足で片足を上げた変なポーズのままピタリと固まった。
ヒナタは、四次元リュックをドンッと置き、鬼の形相で猫又の「二本足で立っている姿勢」をビシッと指差した。
「あなた!! 猫の骨格は『四足歩行(四肢動物)』に最適化されているのに、無理やり二本足で立ち続けて踊るなんて、腰椎(腰の骨)と膝蓋骨(ひざのお皿)に致死的な過重負荷をかけているじゃないですか!! 高齢のシニア猫がそんな姿勢をとったら、一発で『椎間板ヘルニア』か『関節炎』で歩けなくなりますよ!! 自分のハードウェア設計(骨格)を無視するのも大概にしなさい!!」
『よ、腰椎への過重負荷……!? 椎間板ヘルニア……!?』
猫又は、自慢の不気味な踊りを「ただの関節を破壊する最悪の姿勢」として整形外科学的に詰められ、プルプルと二本足で震えた。
「大体、その異常なハイテンションと二股の尻尾!!」
ヒナタは今度、激しく鳴きながら踊り狂う猫又の様子を指差した。
「シニア猫が急に食欲旺盛になり、異常に活発に動き回って大声で鳴く(踊る)のは、妖力を得たからではなく、内分泌系の異常である『甲状腺機能亢進症』の典型的な症状です!! 代謝が異常に上がりすぎて、心臓や腎臓にものすごい負担がかかっているんですよ!! しかも尻尾が二股に裂けているのは、加齢によるグルーミング不足で毛が『フェルト化・枝毛』になっているだけです!! オカルトに逃げずに、今すぐ血液検査とT4(甲状腺ホルモン)の数値を測りなさい!!」
『こ、甲状腺機能亢進症……!? ホルモン異常のバグ……!? いや、俺は恐ろしい妖力で……』
猫又は、自らの恐ろしい怪猫への進化を「ただのシニア猫特有のホルモン異常と被毛の劣化」として獣医学的に完全論破され、ショックで「ニャァ……」と四つん這いに戻った。
「今日から、徹底的な『甲状腺ホルモンのコントロール』と『シニア猫用・関節保護プログラム』を行います!!」
ヒナタは、四次元リュックから、「ヨウ素を制限した、甲状腺ケア用・特別療法食」「艶消しマット仕上げの、超低反発・シニア用整形外科ベッド」、そして「関節の負担をゼロにする、なだらかなスロープ付きキャットタワー」を取り出した。
「ゴズさん、猫又さんが無理なジャンプをしないように優しく抱き上げて! ヴァレリアさん、そのマットな整形外科ベッドを日当たりのいい縁側に、1ミクロンの隙間もなく完璧にセッティングして!!」
「ブモォッ!(おう! シニア猫に無理な運動は禁物だ! ゆっくり休ませてやるぜ!)」
「ふむ。この老いた体に一切の負担をかけぬよう、羽毛のように優しく安置する……治癒の魔法の基本だな」
「【究極のシニア・メディカルケア&シン・キャットエルゴノミクス(関節保護)プログラム】です!!」
ヒナタたちの手により、四つん這いに戻された猫又は、日当たりのいい縁側に設置された「艶消しマットの超低反発ベッド」の上に優しく寝かされ、甲状腺をケアする「特別療法食」を与えられた。
『おおっ……!? な、なんだこれは……! 低反発ベッドのおかげで、二本足で踊って悲鳴を上げていた腰と膝の痛みがスゥーッと消え去っていく……! しかも、この療法食のおかげで、異常にバクバクしていた心臓の動悸が落ち着いて、すごくリラックスした気分になってきたぞ……!!』
「はい! ホルモンバランスと関節の安全が確保できたら、もう無理をして二本足で踊る(オカルトを演じる)必要はありません!」
ヒナタは、猫又の二股に割れていた尻尾の毛を、スリッカーブラシで優しく丁寧にブラッシングし、一本の美しい尻尾に戻してあげた。
『……っ!! こ、これだ!! 無理な姿勢で化け物を演じるより、こうして四本足でゴロゴロと喉を鳴らし、人間の極上のケアを受けながら余生を過ごす……!! これぞ、シニア猫の真の完全形態……!!』
猫又は、自らの加齢に伴うバグ(病気)が完璧にデバッグされたことに感動し、目を細めて「ゴロゴロ……」と幸せそうな音を立てた。
数日後。
そこには、二本足で立ち上がり死者を操る不気味なホラー猫の姿はなかった。
艶消しマットのシニア用スロープを優雅に歩き、低反発ベッドの上で完璧にホルモンコントロールされた穏やかな日々を送る「王都認定・シニア猫ケアの成功事例(兼・動物病院の看板猫)」として、訪れる人々に究極の癒やしと「ペットの終活・シニアケアの重要性」を啓蒙する、美しい長寿猫の姿があった。
『ニャァ〜ン(甲状腺の数値よし! 関節の痛みゼロ! 今日も縁側で日向ぼっこのルーティンを消化するニャ!)』
元・猫又は、一切のオカルト(バグ)を起こすことなく、完璧な獣医学的アプローチのもとで幸せなシニアライフを満喫していた。
「……ゆ、勇者殿。怪猫伝説の妖怪が……『甲状腺機能亢進症を治療され、整形外科ベッドでくつろぐ極上のシニア看板猫』になってしまいましたぞ……」
セバスチャンは、猫又の柔らかい背中を撫でながら、自分も年齢に合わせた関節ケアを始めようと決意していた。
【場所:天界・管理室】
『…………』
神ドラマスは、自分の神殿で飼っている神獣たちの「年齢・カルテ」を無言で見直し、シニア期に入った個体のデータベースを更新した。
『猫又が……「二足歩行による腰椎の過重負荷(バイオメカニクス無視)」と指摘され、四つん這いに戻された……』
『踊り狂う妖力は「甲状腺機能亢進症と被毛の劣化」と怒られ、特別療法食と低反発ベッドを与えられて穏やかなシニア看板猫になった……』
ドラマスは、深く、長く息を吐き出すと、もはや「オカルトの権化である怪猫伝説」すら「シニア猫のホルモン異常と関節の悲鳴」として獣医師のロジックで論破してしまうヒナタに完全降伏し、通販サイトで「艶消しマット仕上げ・シニアペット用低反発ベッド」と「甲状腺ケア・プレミアムフード」をポチり、自らの神殿のすべての神獣に対し、年齢ステージに合わせた完璧なメディカル・ケアを生涯提供し続けることを固く誓うのだった。
(第153話・完)
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ヒナタのマイペースな異世界蹂躙はまだまだ続きます。魔王軍の胃の痛みが限界を迎える前に、ぜひページ下部の【☆☆☆☆☆】からの評価や、ブックマークでの応援をよろしくお願いいたします!
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