■第152話:見上げる恐怖・天井嘗(てんじょうなめ)! ……えっ、舐める前に「木材腐朽菌」と「シックハウス症候群」の説教ですか?
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それでは、本編をお楽しみください!
【場所:天界・管理室】
「……ん? 手の目は第105話でとっくに解決済み……だと……!?」
神ドラマスは、神殿のメインモニターに表示された「重複デプロイ・エラー」の警告を見て、自らの玉座から崩れ落ちた。
「ええい! 私の全知全能のバージョン管理システムはどうなっているのだ!! コミット履歴が完全にスパゲッティ化している!! こうなったら即座にロールバックし、全く新しい『て』の怪異を召喚してこのインシデント(品質不良)を隠滅……いや、修正するのだ!!」
神ドラマスが震える手でエンターキーをターン!と叩くと、モニターの標的が切り替わった。
「『て』から始まる新たな刺客、高所の変態・天井嘗だ! ひょろ長い体と恐ろしく長い舌を持ち、真夜中の古びた屋敷に現れては、天井をベロベロと舐め回して不気味なシミを残していくという、物理的な害と精神的嫌悪感を併せ持つ怪異! この高所からのバイオハザードに、ヒナタのロジックはどう立ち向かうのだ!?」
【場所:人間界・古びた無人の寺院】
「う〜ん、このお寺は長年放置されていて、空気がカビ臭いですねぇ。換気が必要です」
ヒナタは、四次元リュックを背負い、高出力のLEDランタンで暗いお堂の内部を照らしていた。
「ゆ、勇者殿……! 上の、天井の梁のところに……異常に背の高い化け物が張り付いて……うわあっ!?」
宰相セバスチャンが、震える杖で真上を指差した。
『……レロォォ……。ジュルルッ……』
暗闇の天井にぶら下がっていたのは、ガリガリに痩せ細った長身の妖怪だった。
その口からは、人間の身長ほどもある「巨大で赤い舌」が垂れ下がり、古い木材の天井をベロベロ、ネチャネチャと舐め回し、そこら中に気味の悪い黒いシミを作っていた。
「ひぃぃぃッ!! で、出たァァッ!! 天井嘗ですぞォォッ!! 天井のシミはこいつの唾液だったのですか!! 不潔すぎます!!」
セバスチャンが悲鳴を上げて口と鼻を押さえる。
『ヒヒヒ……! 俺の舐めた場所は、永遠に消えない呪いのシミとなる……! 貴様らの頭の上にも、この呪いの唾液をポトポトと落としてやるゥゥッ!!』
天井嘗が、不衛生極まりない長い舌をセバスチャンの頭上に伸ばそうとした、その瞬間。
「ちょっと待って!!!」
ヒナタの、お堂の不潔な湿気を完全に乾燥させる「一級建築士&ハウスクリーニング技能士」が響き渡った。
『……エッ?』
天井嘗は、舌を伸ばしたポーズのまま天井でピタリと固まった。
ヒナタは、四次元リュックをドンッと置き、鬼の形相で天井嘗の「唾液まみれの天井の梁」をビシッと指差した。
「あなた!! 木造建築の最も重要な構造材(天井の梁)に、わざわざ唾液(水分と雑菌の塊)を塗りたくるなんて、建物の強度を著しく低下させる『木材腐朽菌』を意図的に繁殖させているじゃないですか!! 湿気を溜め込んでシロアリを呼び寄せる、最悪の『建物の寿命縮小行為(器物損壊)』ですよ!!」
『も、木材腐朽菌の繁殖……!? 器物損壊……!?』
天井嘗は、自慢のホラーなシミ作りを「ただの悪質な建造物へのバイオテロ」として建築学的に詰められ、長い舌をワナワナと震わせた。
「大体、その不気味なシミの正体!!」
ヒナタは今度、天井嘗の汚い舌を指差した。
「呪いのシミとか言ってますけど、それはただの『黒カビ(クロカビやスタキボトリス)』の群生です!! 密閉空間でそんなカビの胞子を大量に撒き散らしたら、下にいる人間が『アレルギー性鼻炎』や『過敏性肺臓炎』を引き起こす『シックハウス症候群』の真っ只中に置かれるじゃないですか!! 清掃する気がないなら、高いところに登るんじゃない!! 不潔!!」
『シ、シックハウス症候群……!? アレルギーの誘発……!? いや、俺は天井の恐ろしい妖怪で……』
天井嘗は、自らの不気味な活動を「ただの公衆衛生の破壊と賃貸の原状回復義務違反」として全否定され、舌をシュルシュルと口の中に引っ込めた。
「今日から、徹底的な『高所カビ取り(防カビコーティング)』と『シン・ハウスクリーニング(高所清掃)プログラム』を行います!!」
ヒナタは、四次元リュックから、「光を反射しない、艶消しマットブラック仕上げの、超軽量・伸縮式カーボンファイバー製モップ(防カビ剤タンク内蔵)」「医療グレード・高濃度次亜塩素酸水(除菌スプレー)」、そして「業務用・大容量コンプレッサー式除湿機」を取り出した。
「ゴズさん、天井嘗さんが逃げないようにその長い足をガッチリとホールドして! ヴァレリアさん、そのマットなカーボン製モップで、天井の黒カビを1ミクロンの洗い残しもなく神速で拭き取って!!」
「ブモォッ!(おう! 家の柱を腐らせるなんて大工が泣くぜ! 徹底的に掃除だ!)」
「ふむ。この数メートル先の天井のシミだけを、木材を傷つけずに的確に削り落とす……長槍の払いの極意だな」
「【究極のシックハウス対策&シン・高所クリーニング(構造強度保全)プログラム】です!!」
ヴァレリアの神速のモップさばきと、ヒナタの的確な次亜塩素酸水の噴布により、天井尝が舐め回して作った黒カビのシミは瞬く間に消え去り、古い木材は清潔な状態(防カビコーティング済み)へと完璧に原状回復された。
『おおっ……!? な、なんだこれは……! ずっと俺の唾液でネチャネチャしてカビ臭かった天井が、除菌スプレーのおかげで信じられないほどサラサラで、木のいい香りがする……! しかも、この除湿機が湿気をグングン吸い取ってくれるから、俺自身の体もベタベタしなくてめちゃくちゃ快適だぞ……!!』
「はい! 木材の安全(構造的完全性)が確保できたら、その異常な高身長と長い舌を、建物の破壊ではなく『保全』に活かしなさい!」
ヒナタは、天井尝に「艶消しマットブラックの伸縮式カーボンモップ」を握らせた。
「あなたは人間が届かない高所の清掃に特化した、究極のハードウェア(体型)を持っています! その舌で直接舐めるのではなく、この軽量モップを使って、王都中の建物の天井のホコリやカビを撃退するのです!!」
『……っ!! こ、これだ!! 俺の長身とリーチがあれば、脚立なんて不安定な足場を使わずに、床から直接天井の隅々まで完璧なトルクでモップがけができる……!! これが、高所に届く俺の、真の存在意義……!!』
天井嘗は、自らの異形の姿が「究極の高所清掃用プラットフォーム」として完璧に最適化されたことに感動し、モップを握りしめて嬉し涙を流した。
数日後。
そこには、無人の寺で天井を舐めてカビを繁殖させる不潔な妖怪の姿はなかった。
艶消しマットの伸縮モップをクールに構え、その圧倒的なリーチを活かして、王都の巨大な神殿や劇場の吹き抜け天井を、足場なしで爆速でピカピカに磨き上げる「王都認定・特級高所ハウスクリーニング職人(シックハウス対策スペシャリスト)」として、清掃業界から引っ張りだこのマイスターの姿があった。
『シュバッ、シュバッ!(モップがけの音)。フフフ、俺の高所リーチに死角はない。換気扇の裏の黒カビも、この防カビコーティングで一掃だぜ!』
元・天井嘗は、一切の唾液を撒き散らすことなく、完璧な公衆衛生管理で王国の建築物の寿命を延ばしていた。
「……ゆ、勇者殿。天井を舐めるホラー妖怪が……『カビの繁殖を指摘され、マットなカーボンモップで高所清掃を行う超一流のハウスクリーニング職人』になってしまいましたぞ……」
セバスチャンは、天井嘗がピカピカに磨き上げてくれた自分の屋敷のシャンデリアを見上げながら、その見事な仕事ぶりに感動していた。
【場所:天界・管理室】
『…………』
神ドラマスは、自分の神殿の天井の隅に、ほんの少しだけ黒ずみ(カビの兆候)ができているのを無言で発見した。
『天井嘗が……「唾液による木材腐朽菌の繁殖」と指摘され、除菌スプレーで洗浄された……』
『呪いのシミは「シックハウス症候群の原因となる不潔なカビ」と怒られ、艶消しカーボンモップを与えられて特級高所クリーニング職人になった……』
ドラマスは、深く、長く息を吐き出すと、もはや「高所のホラー怪異」すら「建築物の寿命低下と公衆衛生の欠如」として一級建築士のロジックで論破してしまうヒナタに完全降伏し、通販サイトで「自分用の艶消しマット仕様・伸縮式ロングモップ」と「業務用・大容量コンプレッサー除湿機」をポチり、自らの神殿の天井の隅々まで、一切のカビを許さない完璧なクリーンルーム環境を構築することを固く誓うのだった。
(真・第152話・完)
本日もお付き合いいただき、ありがとうございました!
ヒナタのマイペースな異世界蹂躙はまだまだ続きます。魔王軍の胃の痛みが限界を迎える前に、ぜひページ下部の【☆☆☆☆☆】からの評価や、ブックマークでの応援をよろしくお願いいたします!
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