↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
147/167

■第147話:柳の下の白装束・幽霊! ……えっ、呪う前に「サルコペニア」と「橈骨神経麻痺」の説教ですか?

いつもお読みいただき、ありがとうございます!

それでは、本編をお楽しみください!


【場所:天界・管理室】

「……ん? 雪女は第83話でとっくに解決済み……だと……!?」


神ドラマスは、度重なる神殿システムの致命的なバグ(記憶喪失)に直面し、ついにメインサーバーに物理的な回し蹴り(ハード・リセット)を叩き込んだ。


「ええい! 私の全知全能のログ管理はどうなっているのだ!! こうなったら、小細工は抜きだ! 日本の怪談の基礎、『ゆ』から始まる絶対的ベーシック怪異を召喚して、このインシデントを強制終了させる!!」


神ドラマスが震える手でエンターキーをターン!と叩くと、モニターの標的が切り替わった。


「『ゆ』から始まる原点の刺客、幽霊ゆうれいだ! 夜の柳の木の下に現れ、足を持たず宙に浮き、両手をだらりと下げて『うらめしや』と呪いの言葉を吐く、怪談のアイコン的そんざい! この物理法則を無視した純粋な霊体と古典的ホラーに、ヒナタのロジックはどう立ち向かうのだ!?」


【場所:人間界・夜の古い墓地】

「う〜ん、お墓の周りは足場が悪いですねぇ。転ばないように歩きましょう」


ヒナタは、四次元リュックを背負い、ランタンの光を頼りに歩いていた。


「ゆ、勇者殿……! あそこの大きな柳の木の下に……白い着物を着た女性が……!」


宰相セバスチャンが、ガタガタと震えながら柳の木を指差した。


ヒュ〜〜、ドロドロドロ……。

不気味な風音と共に、柳の下に浮かび上がったのは、真っ白な死装束を着た女性だった。

彼女には「足」がなく、地面からフワリと浮き上がり、両手の手首をだらりと下に曲げた独特のポーズで、うつむき加減にこちらを睨みつけている。


「ひぃぃぃッ!! で、出たァァッ!! 足がありませんぞォォッ!! 本物の幽霊です!!」


セバスチャンが悲鳴を上げてその場にへたり込む。


『……うらめしやァァ……。私のこの恨み、思い知るがいい……!』


幽霊が、だらりと垂らした両手を不気味に揺らしながら、ヒナタたちに呪いをかけようとスーッと近づいてきた、その瞬間。


「ちょっと待って!!!」


ヒナタの、墓地の冷気を完全に吹き飛ばす「理学療法士&整形外科医ガチギレ・トーン」が響き渡った。


『……エッ?』


幽霊は、宙に浮いたままピタリと固まった。

ヒナタは、四次元リュックをドンッと置き、鬼の形相で幽霊の「だらりと垂れた手首」と「ない足」を交互にビシッと指差した。


「あなた!! 手首が背屈(上に反らすこと)できずにだらりと下に垂れ下がっているのは、呪いのポーズでもなんでもなく、腕の神経が圧迫されて起こる『橈骨とうこつ神経麻痺』、別名『下垂手ドロップハンド』の典型的な症状じゃないですか!! 寝る時に変な姿勢で腕を圧迫し続けたのが原因ですよ!! 痛々しくて見てられません!!」

『と、橈骨神経麻痺……!? 下垂手……!?』


幽霊は、自慢の古典的なホラーポーズを「ただの寝相の悪さによる神経障害」として整形外科レベルで詰められ、垂れ下がった手首をビクッとさせた。


「大体、その『足がない』という状態!!」


ヒナタは今度、幽霊の着物の裾(何もない空間)を指差した。


「足が透けて消えているのは霊体だからじゃありません!! 長期間歩くことをサボって寝たきりになっていたせいで、下半身の筋肉が完全に削ぎ落とされた『重度のサルコペニア(筋肉減弱症)』および『廃用症候群』の末路です!! 筋肉も骨密度もゼロになったから宙に浮いてるように見えるだけです!! 『うらめしや』とかネガティブなことを言っているのも、運動不足によるセロトニン(幸福ホルモン)の分泌低下が原因ですよ!!」

『サ、サルコペニア……!? 廃用症候群……!? いや、私は未練を残した霊体で……』


幽霊は、自らのアイデンティティ(足がないこと)を「ただの極度な運動不足による筋力低下」として完全に論破され、ショックでさらに体が透けそうになった。


「今日から、徹底的な『神経麻痺の固定治療スプリント』と『下半身の筋肉再生スクワットプログラム』を行います!!」


ヒナタは、四次元リュックから、「艶消しマット仕上げの、医療用・手関節固定装具リストスプリント」「高出力・下半身用EMS(筋電気刺激)デバイス」、そして「高純度必須アミノ酸(EAA)ドリンク」を取り出した。


「ゴズさん、幽霊さんが風で飛ばされないように肩を優しくホールドして! ヴァレリアさん、そのマットな装具を幽霊さんの両手首に装着して、下垂手を完璧な角度に固定(矯正)して!!」

「ブモォッ!(おう! 筋肉がないのは気合が入ってねぇ証拠だ! しっかり鍛え直すぞ!)」

「ふむ。この麻痺した手首を、神経に負担をかけずに寸分の狂いもなく固定する……添え木の手当ての極致だな」

「【究極の神経リハビリ&シン・下半身マッスルビルド(サルコペニア脱却)プログラム】です!!」


ヴァレリアの神速のテーピング技術により、幽霊のだらりと垂れていた手首は、「艶消しマットの医療用装具」によって真っ直ぐで健康的な角度にカッチリと固定された。


『おおっ……!? な、なんだこれは……! ずっと痺れて力が入らなかった手首が、装具のサポートのおかげでピシッと真っ直ぐになり、指先にスゥーッと血が巡っていくのがわかる……! これなら普通に物が握れるぞ……!!』

「はい! 手首が固定できたら、次は消滅した足の再生です! EMSデバイスで強制的に筋肉に電気刺激を与えながら、私と一緒に地獄のスクワット100回セットを行いますよ!」


ヒナタは幽霊にアミノ酸ドリンクを一気飲みさせると、スパルタなリハビリテーションを開始した。


「イチ! ニ! カカトに体重を乗せて! 恨みを晴らすエネルギーがあるなら、大腿四頭筋にその熱を注ぎ込みなさい!!」

『ひぃぃ……! き、キツイ……! でも、太ももに……かつて失われた筋肉のパンプアップを感じる……! 私の……私の足が……実体化していく……!!』


数日間の猛烈なスクワットとEMSの併用により、幽霊の着物の裾から、健康的で引き締まった「見事な美脚」がバッチリと生え揃った。


数日後。

そこには、夜の柳の下で足をなくし、手首を垂らして人を呪う古典的な怪異の姿はなかった。


艶消しマットのリストバンド(装具の進化系)をクールに身につけ、見事に実体化した美脚を活かして、王都の広場で高齢者たちに「王都認定・サルコペニア予防のスクワット・インストラクター(兼・姿勢改善アドバイザー)」として、ハキハキと元気な声で体操を指導する快活な女性の姿があった。


『ハイ皆さん! うらめしや〜のポーズは手首の神経を痛めますよ! 背筋を伸ばして、足腰を鍛えてセロトニンを出しましょう!!』


元・幽霊は、一切の未練も恨みも手放し、完璧な理学療法で人々の健康寿命を延ばしていた。


「……ゆ、勇者殿。古典的なホラー幽霊が……『下垂手を装具で治し、スクワットでサルコペニアを克服した元気な体操インストラクター』になってしまいましたぞ……」


セバスチャンは、彼女の指導に合わせて太ももをプルプルさせながら、健康的な汗を流していた。


【場所:天界・管理室】

『…………』


神ドラマスは、自分のデスクの下でこっそりサボっていた足の筋肉を無言で見つめた。


『幽霊が……「下垂手(橈骨神経麻痺)」と指摘され、艶消しマットの手首装具で固定された……』

『足がないのは「サルコペニア(廃用症候群)」と怒られ、EMSとスクワットで美脚の体操インストラクターになった……』


ドラマスは、深く、長く息を吐き出すと、もはや「日本の怪談の原点」すら「寝相の悪さによる神経麻痺と極度の運動不足」として理学療法士のロジックで論破してしまうヒナタに完全降伏し、通販サイトで「医療用の手関節サポーター」と「下半身トレーニング用の高出力EMSデバイス」をポチり、自らの神殿でのデスクワーク中も、絶対に足を衰えさせないためのスクワット・ルーティンを導入することを固く誓うのだった。

(真・第147話・完)


本日もお付き合いいただき、ありがとうございました!


ヒナタのマイペースな異世界蹂躙はまだまだ続きます。魔王軍の胃の痛みが限界を迎える前に、ぜひページ下部の【☆☆☆☆☆】からの評価や、ブックマークでの応援をよろしくお願いいたします!


皆様からの応援トラフィックが、毎日の更新の最大のエネルギーになっています!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。