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■第148話:混迷のドロドロ鍋・坩堝(るつぼ)! ……えっ、溶かす前に「データ正規化」と「廃棄物の分別」の説教ですか?

いつもお読みいただき、ありがとうございます!

それでは、本編をお楽しみください!


【場所:天界・管理室】

「……カチャカチャッ、ターン! ふふふ、私の神殿のシステムデータベースは、今や一切の矛盾もない完璧な構造スキーマを保っているぞ」


神ドラマスは、幽霊のエピソードから学んだEMS(筋電気刺激)で太ももを密かに鍛えつつ、凄腕システムエンジニアのごとく超高速のタイピングで神界のデータを整理していた。

画面の中では、ヒナタたちが王都の外れにある、廃棄された古い製鉄所(鍛冶場)の跡地を探索しているところだった。


「ほう! 『う段』のラストを飾る『る』の刺客だな! その名は混迷の象徴、坩堝るつぼの付喪神!」


ドラマスは、艶消しマットのキーボードから手を離してニヤリと笑った。


「あらゆる物質も、魔力も、人間の命すらも! 全てをひとまとめに飲み込み、ドロドロの原型をとどめないカオスへと融解させる恐怖の巨大鍋! この絶対的な混沌カオスとアイデンティティの喪失に、ヒナタのロジックはどう立ち向かうのだ!?」


【場所:人間界・古い製鉄所の跡地】

「う〜ん、この廃工場は金属のスクラップが散乱していて歩きにくいですねぇ。安全靴を履いてきて正解でした」


ヒナタは、四次元リュックを背負い、整然とした足取りで鉄くずの山を越えていた。

ボコッ……ボコボコボコッ!!


「ゆ、勇者殿……! 廃工場の奥にある巨大な鉄鍋るつぼから、不気味に煮えたぎる音がしておりますぞ……!」


宰相セバスチャンが、鼻をつまみながら巨大な鍋を指差した。


『……ドロドロ……。混ゼヨウ……全テヲ混ゼヨウ……』


巨大な坩堝の中に満たされていたのは、溶けた鉄、腐った木材、古い魔導具、さらには動物の骨までが一切の法則なく混ざり合った、不気味に発光するカオスの泥だった。


「ひぃぃぃッ!! で、出たァァッ!! 坩堝のバケモノですぞォォッ!! なんでも溶かしてしまいます!」


セバスチャンが悲鳴を上げて後ずさる。


『ヒャハハハッ!! 俺は坩堝! 貴様らの肉体も、持っている武器も、思い出も! 全てこの鍋に放り込んで、ぐちゃぐちゃの一つのカオスにしてやるゥゥッ!!』


坩堝の付喪神が、ドロドロの触手を伸ばし、セバスチャンとヒナタを丸ごと鍋に引きずり込もうとした、その瞬間。


「ちょっと待って!!!」


ヒナタの、煮えたぎるカオスの音を完全に論破する「凄腕データベース設計者&環境省リサイクル推進員ガチギレ・トーン」が廃工場に響き渡った。


『……エッ?』


坩堝の触手は、セバスチャンを掴む寸前でピタリと固まった。

ヒナタは、四次元リュックをドンッと置き、鬼の形相で坩堝の「ドロドロに混ざった中身」をビシッと指差した。


「あなた!! 鉄も木材も魔導具も、属性カラムの全く違う非構造化データを、何のルールもなしに1つのテーブル(鍋)にぶち込むなんて、データベース設計における『第1正規化(データの原子性を保つこと)』を完全に無視した最悪のスパゲッティコード(データスワンプ)ですよ!! こんな無秩序なデータの塊、あとから検索(抽出)することも再利用することも不可能な『ただのゴミ(GIGO:Garbage In, Garbage Out)』じゃないですか!!」

『だ、第1正規化の無視……!? GIGO(ゴミを入れたらゴミが出る)……!?』


坩堝の付喪神は、自慢の恐怖の融解カオスを「ただのルール無用の劣悪なデータベース」としてシステムエンジニアのロジックで詰められ、ドロドロの触手を震わせた。


「大体、その分別をしない融解行為!!」


ヒナタは今度、廃工場に散らばる鉄くずを指差した。


「貴重なレアメタルやリサイクル可能な資源を、不純物(木くずや骨)と一緒に混ぜて溶かすなんて、完全な『廃棄物処理法違反(資源の汚染)』です!! 素材の融点も比重も違うのに一括で煮込むから、純度が下がりきって使い道のないスラグ(産業廃棄物)しか生まれないんですよ!! 品質管理(QA)とマテリアル・リサイクルへのリスペクトが完全に欠落しています!!」

『リ、リサイクルの崩壊……!? 品質管理の欠落……!? いや、俺は全てを一つにする恐怖の……』


坩堝は、自らのカオスのアイデンティティを「ただの分別ができない悪質な産廃業者」として全否定され、煮えたぎる泥の泡をシュンと小さくした。


「今日から、徹底的な『データの正規化(スキーマ再設計)』と『高純度マテリアル分別の自動化プログラム』を行います!!」


ヒナタは、四次元リュックから、「艶消しマット仕上げの、AI搭載・全自動マテリアルソーター(素材分別機)」「デジタル温度管理機能付き・スマート電磁誘導加熱(IH)ユニット」、そして「データベース設計(正規化)の専門書」を取り出した。


「ゴズさん、坩堝さんがひっくり返らないように台座をガッチリと固定して! ヴァレリアさん、そのAI分別機で、鍋の中の不純物を『金属』『有機物』『魔導素材』に神速でカテゴリー分け(正規化)して!!」

「ブモォッ!(おう! ゴミの分別ができない奴は職人失格だ! 綺麗に分けるぜ!)」

「ふむ。この泥の中から、純粋な鋼の成分だけを剣先で弾き出す……砂金取りよりも繊細な剣技だな」

「【究極のデータベース正規化&シン・高純度リサイクル(資源循環)プログラム】です!!」


ヒナタたちの手により、坩堝の中のカオスな泥は、最新のAIソーターとヴァレリアの剣技によって属性カラムごとに美しく分別され、坩堝の底には「マットブラックのスマートIHユニット」が設置された。


『おおっ……!? な、なんだこれは……! 不純物が完全に分離(正規化)されたことで、俺の中で煮えたぎっていた「データ競合によるエラー(カオスの苦しみ)」がスゥーッと消え去った……! しかも、このスマートIHユニットの温度管理のおかげで、溶かしたい金属の融点にミリ単位でアプローチできるぞ……!!』

「はい! データ(素材)が綺麗に正規化されたら、あとは必要な属性(純度100%のレアメタル)だけを抽出するだけです! これからは無闇に全てを混ぜるのではなく、その圧倒的な溶解力を活かして『最高純度のインゴット』を精製しなさい!」


ヒナタの的確なデバッグと温度管理により、坩堝はただの泥(GIGO)ではなく、王国の技術を支える極上の鋼を生み出す準備を整えた。


数日後。

そこには、廃工場で何でもかんでもドロドロに溶かして人を襲う混沌の妖怪の姿はなかった。


艶消しマットのスマートIHユニットを装備し、持ち込まれた廃棄物をAIで完璧に分別(第3正規化まで完了)した上で、不純物ゼロの超高純度レアメタルを精製する「王都認定・最高峰のデータアーキテクト(兼・最先端マテリアル・リサイクルプラント)」として、王国の鍛冶師やエンジニアたちから神のように崇められる巨大な炉の姿があった。


『ボコボコッ!(非構造化データの入力検知! 直ちに正規化テーブルへ移行し、融点1538度で純鉄のみを抽出します!)』


元・坩堝は、一切のスパゲッティコード(カオス)を生むことなく、完璧なデータ構造で王国のモノづくりを根底から支えていた。


「……ゆ、勇者殿。なんでも溶かすドロドロの妖怪が……『データの正規化を理解し、スマートIHで高純度レアメタルを精製するリサイクルプラント』になってしまいましたぞ……」


セバスチャンは、ピカピカに精製された純度100%のミスリルのインゴットを手に取りながら、その美しさに感涙していた。


【場所:天界・管理室】

『…………』


神ドラマスは、自分のパソコンのデスクトップに散乱していた「名称未設定フォルダ」を、無言ですべてジャンルごとに階層化(正規化)して整理した。


『坩堝が……「第1正規化を無視したGIGOゴミ」と指摘され、AIソーターで分別された……』

『全てを溶かす恐怖は「廃棄物処理法違反と品質管理の欠如」と怒られ、スマートIHを与えられて高純度のリサイクルプラントになった……』


ドラマスは、深く、長く息を吐き出すと、もはや「絶対的な混沌のカオス」すら「データベース設計のミスと分別の怠慢」として凄腕エンジニアのロジックでデバッグしてしまうヒナタに完全降伏し、通販サイトで「艶消しマットの自動分別スマートダストボックス」と「リレーショナルデータベース(RDB)の専門書」をポチり、自らの神殿のあらゆる情報とゴミを、一切の妥協なく正規化し続けることを固く誓うのだった。

(第148話・完)


本日もお付き合いいただき、ありがとうございました!


ヒナタのマイペースな異世界蹂躙はまだまだ続きます。魔王軍の胃の痛みが限界を迎える前に、ぜひページ下部の【☆☆☆☆☆】からの評価や、ブックマークでの応援をよろしくお願いいたします!


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