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■第143話:落下する巨頭・釣瓶落とし! ……えっ、押し潰す前に「労働安全衛生規則違反」と「制動装置の欠如」の説教ですか?

いつもお読みいただき、ありがとうございます!

それでは、本編をお楽しみください!


【場所:天界・管理室】

「……よし。私の神殿のタスク消化プロセスは、今や一切のエラーもなく完全に自動化されているな」


神ドラマスは、過去の事例から学んだ徹底的なシステム構築により、非常に有能な管理者の顔でモニターを見下ろしていた。

画面の中では、ヒナタたちが鬱蒼と木々が茂る、夜の深い森の道を歩いているところだった。


「ほう! 『う段』の第4弾、『つ』の刺客だな! その名は落下する恐怖、釣瓶落とし(つるべおとし)!」


ドラマスは、手元のマグカップを置きながらニヤリと笑った。


「夜の森で通行人の頭上に突如として落下し、その巨大な質量でぺしゃんこに押し潰すという、純粋な物理攻撃の化け物! 圧倒的な重力と位置エネルギーを利用したこのデストラップに、ヒナタのド正論はどう立ち向かうのだ!?」


【場所:人間界・夜の深い森】

「う〜ん、この森は木が高くて立派ですねぇ。でも、枝が落ちてくるかもしれないので頭上には注意ですよ」


ヒナタは、四次元リュックを背負い、ランタンで足元を照らしながら歩いていた。


「ゆ、勇者殿……! 上の大きな木の枝から、何かガサガサと嫌な音が……」


宰相セバスチャンが、ビクビクしながら真上の大樹を見上げた。


『……ギロリ。夜回りは済んだかァ……?』


木の枝の隙間から、巨大な「生首」が不気味にこちらを見下ろしていた。


「ひぃぃぃッ!! で、出たァァッ!! 木の上に巨大な顔がありますぞォォッ!!」


セバスチャンが悲鳴を上げて腰を抜かす。


『ヒャハハハッ!! 潰れろ人間どもォォッ!!』


釣瓶落としが、数十メートルの高さから、自らの巨大な質量に任せて『ドォォォォンッ!!』と凄まじい勢いで自由落下してきた、その瞬間。


「ちょっと待って!!!」


ヒナタの、落下の風切り音すら完全に停止させる「現場監督&機械工学エンジニア(ガチギレ・トーン)」が森に響き渡った。


『……エッ?』


釣瓶落としは、地面スレスレの空中でピタリとホバリングした。

ヒナタは、四次元リュックをドンッと置き、鬼の形相で釣瓶落としの「巨大な顔」と「頭上の木の枝」を交互にビシッと指差した。


「あなた!! 数十メートルの高さから数十キロの質量を持つ物体(自分)を落下させるのに、周囲に『カラーコーン』や『立入禁止のバリケード』を設置しないなんて、完全な『労働安全衛生規則違反(飛来落下物による危険の防止義務違反)』ですよ!! 下を通る歩行者にヘルメットの着用も義務付けずに上からモノを落とすなんて、現場の安全管理が完全に崩壊しています!!」

『あ、安全衛生規則違反……!? 飛来落下物……!?』


釣瓶落としは、自慢の恐怖の落下攻撃を「ただの安全管理を怠った悪質な工事現場」としてコンプライアンス的に詰められ、巨大な目を白黒させた。


「大体、その無計画な自由落下!!」


ヒナタは今度、釣瓶落としが落下してきた軌道を指差した。


「重力加速度(9.8m/s²)を一切制御せずにそのまま地面に激突しようとするなんて、位置エネルギーがそのまま衝撃に変換されて、自分のハードウェア(頭蓋骨)が砕け散る『機械工学的な設計ミス』です!! 昇降機エレベーターの基本である『ガバナー(調速機)』や『ショックアブソーバー(緩衝装置)』の概念が全くない!! 制動装置ブレーキを持たない落下なんて、ただの『自爆システムクラッシュ』でしょうが!!」

『せ、制動装置の欠如……!? システムクラッシュ……!? いや、俺は人を押し潰す妖怪で……』


釣瓶落としは、自らの恐怖のギミックを「ただの物理法則を無視した欠陥ハードウェア」として全否定され、空中でグラグラと揺れた。


「今日から、徹底的な『落下ポイントの安全区画設定』と『電動ウインチによる完全な昇降制御システム』の導入を行います!!」


ヒナタは、四次元リュックから、「安全第一・カラーコーンとトラロープ」「高張力ハイテンスチール製ワイヤーロープ」、そして「自動ブレーキ付き・産業用スマート電動ウインチ」を取り出した。


「ゴズさん、釣瓶落としさんの落下地点の周囲にカラーコーンを並べて、立入禁止エリアを完璧に構築して! ヴァレリアさん、その電動ウインチを上の太い枝に設置し、ワイヤーを釣瓶落としさんの頭頂部にガッチリと接続して!!」

「ブモォッ!(おう! 上からモノが落ちてくる現場は命に関わるからな! 安全第一だ!)」

「ふむ。この高所の枝にウインチを寸分の狂いもなく固定する……立体機動の応用だな」

『ナ、何ヲ……!? 俺ノ恐ロシイ落下攻撃ガ……!』

「【究極の現場セーフティ&シン・昇降制御スマートウインチプログラム】です!!」


ヒナタたちの手により、釣瓶落としの落下ポイントには完璧な安全区画バリケードが築かれ、釣瓶落としの頭部には「高張力ワイヤーロープ」と「自動ブレーキ付き電動ウインチ」が接続された。


『おおっ……!? な、なんだこれは……! ウインチの自動ブレーキのおかげで、地面スレスレで『ピタッ!』と衝撃ゼロで止まれる! いつも落下するたびに脳震盪を起こして顎が砕けそうになっていたのに、全く痛くない……! しかも巻き上げ機能で、自分で木を登らなくても自動で上まで戻れるぞ……!!』

「はい! 制動装置ブレーキがあれば、落下のエネルギーは『恐怖』ではなく『エンターテインメント』に変わるんです!」


ヒナタは、安全が確保されたそのシステムを見て満足げに頷いた。


数日後。

そこには、夜の森で通行人を無差別に押し潰す危険な妖怪の姿はなかった。


完璧な立入禁止バリケードを張り、希望する客にヘルメットを被らせた上で、自らの巨大な顔をウインチで超高速落下&寸止めさせる「王都認定・極限の絶叫アトラクション(シン・釣瓶落としドロップ)」の責任者として、絶叫マシン好きの若者たちから大歓声を浴びるエンターテイナーの姿があった。


『ヒャハハハッ!! 行くぜお前ら!! 重力加速度マックスからの、ウインチ自動ブレーキ(寸止め)だァァッ!!』


元・釣瓶落としは、一切の事故も脳震盪も起こすことなく、完璧な安全管理のもとでスリルを提供していた。


「……ゆ、勇者殿。落下して人を潰す妖怪が……『安全衛生規則を遵守し、電動ウインチで寸止めする絶叫アトラクションの運営者』になってしまいましたぞ……」


セバスチャンは、ヘルメットを被って安全エリアからその完璧な制動技術に拍手を送っていた。


【場所:天界・管理室】

『…………』


神ドラマスは、自らの頭上にある神殿のシャンデリアの固定具を無言で見つめた。


『釣瓶落としが……「落下物に対する安全措置の欠如」と指摘され、カラーコーンを設置された……』

『無計画な落下は「制動装置のない機械工学的な設計ミス」と怒られ、電動ウインチで安全に昇降する絶叫アトラクションになった……』


ドラマスは、深く、長く息を吐き出すと、もはや「絶対的な質量による圧死の恐怖」すら「労働安全衛生規則違反とブレーキシステムの欠陥」として現場監督レベルで論破してしまうヒナタに完全降伏し、自らの神殿のすべての高所設備に対し、完璧なワイヤーロープの点検と安全区画の再設定を行うことを固く誓うのだった。

(第143話・完)


本日もお付き合いいただき、ありがとうございました!


ヒナタのマイペースな異世界蹂躙はまだまだ続きます。魔王軍の胃の痛みが限界を迎える前に、ぜひページ下部の【☆☆☆☆☆】からの評価や、ブックマークでの応援をよろしくお願いいたします!


皆様からの応援トラフィックが、毎日の更新の最大のエネルギーになっています!


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