■第142話:足元に絡みつく怪異・すねこすり! ……えっ、転ばせる前に「有り余る体力(運動不足)」と「歩行導線の安全性欠如」の説教ですか?
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それでは、本編をお楽しみください!
【場所:天界・管理室】
「……ゴクゴク。うむ、室内のWBGT(暑さ指数)は正常、経口補水液の摂取も完璧だ。私の神殿に熱中症の死角はないぞ」
神ドラマスは、くねくねのエピソードから導入した徹底的な温度管理と水分補給をこなし、極めて健康的な顔色でモニターを見下ろしていた。
画面の中では、ヒナタたちが小雨の降る夜の街道を歩いているところだった。
「ほう! 『う段』の第3弾、『す』の刺客だな! その名はすねこすり!」
ドラマスは、艶消しマットの完全遮光傘を畳みながらニヤリと笑った。
「犬や猫のような愛らしい姿で夜道に現れ、人間の足の間を素早く行き来して歩行を妨害し、派手に転倒させるという地味ながら極めて危険な怪異! この予測不能な足元のトラップに、ヒナタのロジックはどう立ち向かうのだ!?」
【場所:人間界・小雨の降る夜の街道】
「う〜ん、雨で地面が滑りやすくなっていますねぇ。足元をしっかり確認して歩きましょう」
ヒナタは、四次元リュックを背負い、防水のトレッキングシューズで慎重に歩みを進めていた。
「ゆ、勇者殿……! なんだか私の足元に、モフモフした何かがまとわりついて……うわあっ!?」
宰相セバスチャンが、両足の間に素早く入り込んできた「何か」に足をとられ、すってんころりんと泥水の中に転倒した。
『……キャフンッ! ニャウニャウッ!』
足元で鳴き声を上げたのは、犬とも猫ともつかない、丸っこくて毛むくじゃらの小動物だった。
「ひぃぃぃッ!! で、出たァァッ!! 足に絡みつく妖怪ですぞォォッ!! 骨折するところでした!」
セバスチャンが泥だらけになって悲鳴を上げる。
『クゥ〜ン!(俺はすねこすり! こうやって足の間に何度も突撃して、お前らを泥まみれに転ばせてやるんだ! さあ、次はお前の番だ!)』
すねこすりが、短い足で猛ダッシュし、今度はヒナタの足の間に突撃しようとした、その瞬間。
「ちょっと待って!!!」
ヒナタの、夜の街道のイタズラを完全に論破する「凄腕ドッグトレーナー&システムエンジニア(ガチギレ・トーン)」が響き渡った。
『……キャン?』
すねこすりは、突撃のポーズのままピタリと固まった。
ヒナタは、四次元リュックをドンッと置き、鬼の形相で「尻尾を振っているすねこすり」をビシッと指差した。
「あなた!! 人の足元を走り回って歩行を妨害するのは、妖怪の呪いでも何でもなく、毎日の『朝夕の長距離ウォーキング』をサボっているせいで体力が有り余っている『運動不足』じゃないですか!! エネルギーを発散する日課が欠落しているから、危険な『かまってちゃん行動』に走るんです!! 内部のエネルギー設定(論理的整合性)が完全に破綻しています!!」
『きゅ、きゅぅ……!?(う、運動不足……!? ルーティンの欠落……!?)』
すねこすりは、自慢の転倒トラップを「ただの散歩に行けていない小動物のストレス行動」として動物行動学的に詰められ、耳をペタンと伏せた。
「大体、その無軌道な足元への突撃!!」
ヒナタは今度、セバスチャンが転んだ泥だらけの地面を指差した。
「人が歩く『導線』に、予測不能な障害物がランダムに割り込んでくるなんて、歩行の安全性(構造的完全性)に対する重大なエラーです!! 転倒して頭でも打ったらどうするんですか!! 動物と一緒に移動するなら、飛び出しを防ぐための『物理的な制御』と、安全な空間を担保する『設定』を厳格に構築しなさい!! プロットに穴(事故の危険)がありすぎます!!」
『クゥゥ……!?(こ、構造的完全性のエラー……!? いや、俺は人を転ばせる妖怪で……)』
すねこすりは、自らのイタズラを「ただの安全管理違反と致命的なシステムバグ」として全否定され、短い尻尾を股の間に巻き込んだ。
「今日から、徹底的な『長距離ウォーキングによるエネルギー消費』と『安全な歩行・移動システムの構築』を行います!!」
ヒナタは、四次元リュックから、「光を反射しない、非光沢な質感のタクティカル・ペットハーネス」「伸縮性と衝撃吸収性を備えたバンジー・リード」、そして「車内移動用の安全防護ネット&撥水ペットドライブシート」を取り出した。
「ゴズさん、すねこすりさんが逃げないように優しく抱き上げて! ヴァレリアさん、このマットな質感のハーネスを、首が締まらないようにミリ単位の精度で装着して!!」
「ブモォッ!(おう! 運動不足のイライラは俺もよくわかるぜ! しっかり走るぞ!)」
「ふむ。この小さな胴体に、寸分の狂いもなく拘束具をフィットさせる……急所を外す技術の応用だな」
『ナ、何ヲ……!? 俺ノ恐ロシイ足絡ミガ……!』
「【究極の体力消費ルーティン&シン・安全歩行(構造的完全性)プログラム】です!!」
ヒナタたちの手により、すねこすりの体には、夜の闇に渋く馴染む「非光沢なタクティカル・ハーネス」がカッチリと装着された。
『おおっ……!? な、なんだこれは……! 艶消しで落ち着いたデザインのハーネスが、俺のモフモフの体にめちゃくちゃフィットしている! しかもリードのおかげで、人間の足元に無駄に突撃することなく、一定の距離(安全な導線)を保てるぞ……!!』
「はい! 安全が確保できたら、次は有り余る体力の消費です! これから毎日、朝と夕方に数キロメートルの長距離ウォーキングとランニングのルーティンをこなしますよ!!」
ヒナタはリードを握り、すねこすりと一緒に夜の街道を数キロにわたってハイペースで走り抜けた。
ハァハァハァ……!!
数キロのランニングを終え、すねこすりは舌を出して完全にエネルギーを使い果たし、満足げな顔になっていた。
「そして、長距離を走って疲れた後は、これです!」
ヒナタは休憩ポイントの山小屋で、「組み立て式の薪ストーブ(ウッドストーブ)」をサッと設置し、火を熾した。
「運動の後は、この薪ストーブの揺らめく炎を観察しながら、自律神経を整えるのが最高のクールダウンです! 炎の大きさを自分でコントロールする喜びを感じてください!」
『……キュウゥゥ……!(な、なんだこの薪ストーブの極上の温かさは……! パチパチと爆ぜる炎を眺めていると、走って疲れた筋肉が芯から癒やされていく……! 俺の有り余っていたイライラ(ストレス)が、完全に灰になって浄化されたぞ……!!)』
すねこすりは、薪ストーブの前にペタンと座り込み、とろけるような顔で炎の管理を楽しんでいた。
数日後。
そこには、夜道で人の足元に絡みついて転ばせる迷惑な小動物の姿はなかった。
艶消しマットのタクティカルハーネスを誇らしげに身につけ、ヒナタの横を完璧なペースで数キロメートル並走し、移動時は専用の防護ネットとドライブシートで安全に運ばれ、夜は薪ストーブの炎を静かに楽しむ「王都認定・完璧な構造的完全性を誇る、長距離ランニング・パートナー」として、健康的なルーティンを満喫する獣の姿があった。
『ワンッ!(今日も朝夕の数キロランニング、完璧なペースだったぜ! さあ、薪ストーブに火をくべて極上のリラックスタイムだ!)』
元・すねこすりは、一切の足絡み(バグ)を起こすことなく、主人との完璧な運動システムを確立していた。
「……ゆ、勇者殿。足を転ばせる怪異が……『マットなハーネスで長距離ウォーキングをこなし、薪ストーブの炎を愛する完璧なランニング・パートナー』になってしまいましたぞ……」
セバスチャンは、泥だらけの服を着替えながら、自分も朝夕のウォーキングを日課にしようと心に決めていた。
【場所:天界・管理室】
『…………』
神ドラマスは、自分の玉座の横でゴロゴロと寝転がっている神獣を無言で見つめた。
『すねこすりが……「朝夕の長距離ウォーキング不足によるストレス」と指摘され、数キロのランニングをさせられた……』
『足元のトラップは「歩行導線の構造的な欠陥」と怒られ、非光沢マットなハーネスと薪ストーブを与えられて完璧なパートナーになった……』
ドラマスは、深く、長く息を吐き出すと、もはや「予測不能な転倒の怪異」すら「動物の運動不足とシステムとしての安全性欠如」として論理的にデバッグしてしまうヒナタに完全降伏し、通販サイトで「艶消しマットのタクティカル・ペットハーネス」と「室内用・高級薪ストーブ」をポチり、自らの神殿の神獣にも毎日の長距離ウォーキング・ルーティンを徹底させることを固く誓うのだった。
(第142話・完)
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ヒナタのマイペースな異世界蹂躙はまだまだ続きます。魔王軍の胃の痛みが限界を迎える前に、ぜひページ下部の【☆☆☆☆☆】からの評価や、ブックマークでの応援をよろしくお願いいたします!
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