■第14話:太陽が殺しに来てる! ……わあ、これなら「いい色」に焼けそうですね!
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【場所:帰りの船・甲板】
無人島から脱出し、再び豪華客船で航路に戻った一行。
彼らは今、甲板にデッキチェアを並べ、優雅に横たわっていた。
「ん~っ! 今日は一段と日差しが強いですねぇ!」
ヒナタは水着姿で寝そべり、サングラス越しに空を見上げた。
空は雲ひとつない快晴。いや、「異常気象」レベルのカンカン照りだ。
「これなら、1時間でこんがり焼けそうですね」
「うむ。私の筋肉の陰影を際立たせるには、小麦色の肌が不可欠だ」
ヴァレリアも、ビキニというよりは「スポーツブラ」のようなスポーティな水着で、腹筋にオイルを塗っている。
「紫外線対策も完璧です。私の開発した『遮光魔法(UVカット)』と、無人島で採取した『ヌルヌルスライムの粘液』を混ぜた特製オイルがありますから」
エイルは、実験着ではなくアロハシャツを着て、優雅にトロピカルジュースを飲んでいる。
【場所:天界・管理室】
『焼けろォォォォッ!!』
神ドラマスは、太陽の出力を限界まで上げていた。
『ただの日焼けじゃないぞ! 気温45度! 湿度80%! 地獄の釜茹でだ!』
『熱中症で倒れろ! 皮膚が赤くなってヒリヒリして後悔しろォォォッ!!』
ドラマスは、彼らの「健康的な肌色」が許せなかった。
冒険者はもっと、こう、青白くやつれているべきなのだ。
『ソーラー・レイ(太陽光線)照射ァァァッ!!』
ジリジリジリ……!!
甲板の手すりで目玉焼きが焼けそうなほどの熱波が、ヒナタたちを襲う。
【場所:灼熱の甲板】
しかし。
「あ~……。あったかい……」
ヒナタは、気持ちよさそうに寝返りを打った。
「このジリジリくる感じ、効きますねぇ。骨の芯まで温まるなぁ」
「そうだな。昨日の無人島探索の疲れが溶けていくようだ」
彼らの身体に塗られた「特製スライム・オイル」が、殺人的な太陽光を「心地よい遠赤外線」へと変換していたのだ。
エイルの魔法技術と、ヒナタの「気持ちいいことへの執着」が生んだ、最強の防御手段である。
「ブモッ……ブモォ……(背中流してくれ……)」
ゴズもうつ伏せになり、巨大な背中を天日に晒している。
「はいはい、ゴズさん。オイル足しますね~」
ヒナタが、ペタペタとスライム液を塗る。
すると、剛毛のミノタウロスの背中が、ツヤツヤと輝き始めた。
「すごい! ゴズさん、ゴールデン・ブラウンですよ! かっこいい!」
「ブモッ!(マジか!)」
そして、一番の変化を見せたのは、宰相セバスチャンだった。
「ふぅ……」
セバスチャンは、サングラスをかけ、葉巻(中身はチョコ)をくわえていた。
王城での激務で青白かった肌が、この数日の旅で、すっかり「ダンディな小麦色」に染まっていたのだ。
「……悪くない」
セバスチャンは自分の腕を見た。
「若い頃に戻ったようだ。……陛下には内緒だが、この休暇、意外と楽しんでいる自分がいる」
「セバスチャンさん、似合ってますよ! イケオジですね!」
「ふっ……。よせ、照れる」
もはや、遭難の悲壮感など微塵もない。
そこにあるのは、「成功者のバカンス」の空気感だけだ。
【数時間後】
日が傾き始めた頃。
ヒナタたちは起き上がり、互いの肌を見せ合った。
「見てください! 完璧な小麦色!」
ヒナタが腕をまくる。火傷などしていない。健康的なブロンズ肌だ。
「フッ、私の腹筋も際立っているな。これぞ騎士の肌だ」
ヴァレリアがポーズをとる。キレてる。
「ブモォ!(テカテカだぜ!)」
ゴズの毛並みが黄金に輝いている。
『…………』
天界のドラマスは、鏡を見た。
そこには、ストレスと寝不足で「真っ白にやつれた顔」の神様が映っていた。
『……なんでだ』
『なんで、バカンスしてる奴らの方が健康的で、管理してる私の方が死にそうなんだ……』
『不公平だァァァッ!! 私も日焼けしたいィィィッ!!』
神様の悲痛な叫びは、南国の風に消えた。
こうして勇者一行は、心身ともに(特に見た目が)チャラくなりながら、次の目的地へと向かうのだった。
(第14話・完)
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ヒナタのマイペースな異世界蹂躙はまだまだ続きます。魔王軍の胃の痛みが限界を迎える前に、ぜひページ下部の【☆☆☆☆☆】からの評価や、ブックマークでの応援をよろしくお願いいたします!
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