■第13話:無人島に漂着! ……わあ、ここって「秘密基地」作り放題ですね!
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【場所:絶海の孤島・白い砂浜】
ザザァン……。
波の音が響く。
照りつける太陽。どこまでも広がる青い空。
そして、打ち上げられた小さなボート(釣り用)。
「……う、ううっ……」
宰相セバスチャンが、海水を吐きながら目を覚ました。
「こ、ここは……? 我々は釣りを楽しんでいたはずじゃ……」
記憶を辿る。
ゴズが大物をヒットさせた瞬間、謎の海流(神様の仕業)が発生し、小型ボートごと流されてしまったのだ。
メンバーは、ヒナタ、ヴァレリア、エイル、ゴズ、そしてセバスチャン。
「た、大変だ! はぐれてしまった!」
セバスチャンが青ざめて叫ぶ。
「水は!? 食料は!? ここは地図にもない無人島ではないか!?」
「終わった……! 飢えと乾きで死ぬんだ……!」
絶望。
文明社会から切り離された恐怖。
セバスチャンは震え上がり、隣にいるヒナタを見た。
「勇者殿……! しっかりしてください! 今すぐ救助を……」
しかし。
ヒナタは、砂浜に大の字に寝転がり、恍惚の表情を浮かべていた。
「……最高だ」
「はい?」
ヒナタがガバッと起き上がる。その目は、かつてないほどギラギラしていた。
「見てくださいセバスチャンさん! 誰もいません! コンビニも信号もありません!」
ヒナタは両手を広げて叫んだ。
「念願の『無人島サバイバル』ですよぉぉぉッ!!」
「はあぁぁぁ!?」
【場所:天界・管理室】
『フハハハハ! かかったな!』
神ドラマスが、高笑いをする。
『その島は「帰らずの島」! 一度入れば潮の流れで出られない!』
『真水もなく、夜には凶暴な夜行性猛獣が出る!』
ドラマスは、ようやく訪れた「本当の試練」に拳を握った。
『魔法も使えない(結界で封じた)この島で、自然の厳しさに泣き叫ぶがいい!』
『今度こそ「サバイバル(生存競争)」の始まりだ!』
【場所:無人島・ジャングル手前】
「さあ皆さん! サバイバルの基本は『3の法則』です! まずは拠点の確保です!」
ヒナタは、漂着したボートをひっくり返して屋根にし、手際よく流木を集め始めた。
その動きは、ベテランのキャンパーそのものだ。
「ふむ。魔法が使えないな」
エイルが杖を振るが、火が出ない。
「この島には強力な『アンチ・マジック・フィールド』があるようです。……これは遭難しましたね」
普通なら絶望する報告だ。
しかし、ヒナタは逆にテンションを上げた。
「魔法禁止!? うわぁ、本格的だなぁ!」
「つまり、火起こしから全部自分たちでやるってことですよね? 燃えるなぁ~!」
ヒナタは、木の枝と紐(リュックの紐)を使って、原始的な「火起こし器」を作り始めた。
「エイルさん、魔法でパッと点けちゃダメですよ? この『煙が出てくるまでの過程』が楽しいんですから」
「……は、はあ。非効率極まりないですが……」
シュルシュルシュル……!
ヒナタの手際よい摩擦熱で、種火ができる。
それに枯葉を乗せ、息を吹きかける。
ボッ!
オレンジ色の炎が生まれた。
「点いたーッ!!」
「おおっ! 魔法なしで炎を!?」
ヴァレリアが感心する。
「すごいなヒナタ殿! 原始の知恵とはこれほど尊いものか!」
「よし! 次は水と食料ですね!」
ヒナタはナイフ一本を持って立ち上がった。
【数時間後】
神ドラマスが、ワクワクしながらモニターを覗き込む。
『そろそろ喉が乾いて死にかけている頃か?』
『それとも毒のある実を食べて腹痛で苦しんでいるか?』
しかし。
映し出されたのは、「極上のディナータイム」だった。
「わあ、このヤシの実、甘いジュースがいっぱいですよ!」
「ブモッ!(カニ捕まえたぞ!)」
「この巨大な葉っぱ、蒸し焼きに最適だな」
そこには、
* ココナッツの器に入った天然ジュース
* 浜辺で捕れたカニと貝の石焼き
* 謎の巨大鳥(猛獣)の丸焼き
が並んでいた。
「くっ……! 魔法が使えないのに、なぜこんなに豊かな食卓なんだ……!」
セバスチャンが、カニの身をほじりながら悔しそうに(でも美味そうに)呟く。
「セバスチャンさん、これぞ『自然の恵み』です」
ヒナタが、焼きたての鳥肉を切り分ける。
「スーパーで買うお肉より、自分たちで捕まえたご飯の方が100倍美味しいでしょう?」
「……否定できん。悔しいが、王宮の料理より野趣あふれる旨味がある」
ヴァレリアも、骨付き肉にかぶりついて野性を取り戻している。
【場所:夜の無人島】
夜になった。
神ドラマスの最後の切り札、「夜行性猛獣」の時間だ。
『出ろ! サーベルタイガー!』
『恐怖の夜を味あわせろ!』
闇の奥から、光る眼が現れた。
巨大な牙を持つ猛獣たちが、キャンプファイヤーを囲む一行に忍び寄る。
『グルルル……(人間だ……食ってやる……)』
しかし。
「あ、猫ちゃん!」
ヒナタが叫んだ。
『!?』
「わあ、大きい猫ちゃんだ! 遊びに来たの?」
ヒナタは、猛獣に対して「猫じゃらし(自作)」を振った。
『ガウッ!?(な、なんだこのフワフワは!?)』
サーベルタイガーの本能が反応してしまう。
「ほーら、ここだよ~」
フリフリ。
『ニャ……ニャウッ!(つい追いかけてしまう!)』
「よしよし、いい子だねぇ。お腹すいてる?」
ヒナタは、余った「鳥の骨」を投げた。
『ガツガツ!(うめぇ!)』
数分後。
そこには、ヒナタに喉を撫でられて「ゴロゴロ」と鳴く、巨大な猫たちの姿があった。
「あったかいなぁ。今日はこの子たちを枕にして寝ましょう」
「ブモォ(天然の毛布だな)」
最強の捕食者たちは、あっという間に「湯たんぽ」にされた。
【翌朝・無人島2日目】
神ドラマスは、げっそりしていた。
『…………』
モニターの中では、ヒナタたちが「無人島開発」を本格化させていた。
「ここにツリーハウスを作りましょう!」
「僕は竹を使って『流しそうめん』の台を作ります!」
「温泉が出そうな岩場を見つけたぞ!」
漂着からたった24時間。
そこは遭難現場ではなく、「DASH村」のような開拓拠点へと変貌していた。
「帰りたくない……」
セバスチャンが、ハンモックに揺られながら呟いた。
「王宮の書類仕事より、ここの生活の方が生きている実感がする……」
『帰れよォォォォッ!!』
神様の悲痛な叫びがこだまする。
『迎えの船! 早く来い! こいつらがこの島を「リゾート王国」として独立させる前に!!』
結局、3日後に救助船が来た時、
「え~、もう帰るんですか?」
「あと1週間あれば、五右衛門風呂が完成したのに」
と、全員が駄々をこねる事態となった。
無人島サバイバル。
それはヒナタにとって、ただの「充実した連休」でしかなかった。
(第13話・完)
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