↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
139/166

■第139話:二面四臂の巨人・両面宿儺! ……えっ、弓を射る前に「3D酔い」と「体幹(コア)の崩壊」の説教ですか?

いつもお読みいただき、ありがとうございます!

それでは、本編をお楽しみください!


【場所:天界・管理室】

「……シュコォォ……。うむ、ゴアテックスのレインウェアとCO2消火器を常備した神殿は、まさに難攻不落。いかなる災害や怪火も私を脅かすことはできないな」


神ドラマスは、蓑火のエピソードから導入した完璧なアウトドア防災装備に身を包み、最強のセキュリティ環境でモニターを見下ろしていた。

画面の中では、ヒナタたちが険しい岩山(飛騨の山奥)の頂上付近を歩いているところだった。


「ほう! 『い段』の第8弾、『り』の刺客だな! その名は古代の異形、両面宿儺りょうめんすくな!」


ドラマスは、消火器の安全ピンを確認しながらニヤリと笑った。


「前と後ろに二つの顔を持ち、四本の腕と四本の脚を操る規格外の巨人! 死角は一切なく、四本の腕で同時に剛弓を引き絞る物理戦闘の頂点! この絶対的な暴力と圧倒的な手数の前に、ヒナタのロジックはどう立ち向かうのだ!?」


【場所:人間界・険しい岩山】

「う〜ん、この山は足場が悪くて体幹が鍛えられますねぇ」


ヒナタは、四次元リュックのベルトを締め直し、トレッキングポールを使ってリズミカルに岩場を登っていた。

ドォォォォン……!!


「ゆ、勇者殿……! 山頂の巨大な岩の上に、とんでもないバケモノが立っておりますぞ……!」


宰相セバスチャンが、震える指で上を指差した。


『……グルオォォォッ!!』


岩の上に君臨していたのは、見上げるほど巨大な男だった。

しかし、その姿は異様を極めていた。頭の『前と後ろ』にそれぞれ恐ろしい顔が張り付いており、胴体からは『四本の丸太のような腕』と『四本の脚』が生えているのだ。


「ひぃぃぃッ!! で、出たァァッ!! 腕と脚が四本ずつありますぞォォッ!!」


セバスチャンが悲鳴を上げて岩陰に隠れる。


『我ハ両面宿儺!! 死角ナシ! 四方八方スベテノ敵ヲ、コノ四本ノ剛弓デ同時ニ射抜イテクレルワァァッ!!』


両面宿儺が、前と後ろの顔で別々の方向を睨みながら、四本の腕で同時に四張りの巨大な弓を引き絞り、ヒナタたちに狙いを定めた、その瞬間。


「ちょっと待って!!!」


ヒナタの、巨人の咆哮と弓の弦の音を完全にミュートする「整形外科医&マルチタスク・コンサルタント(ガチギレ・トーン)」が岩山に響き渡った。


『……エッ?』


両面宿儺は、弓を引き絞ったままピタリと固まった。

ヒナタは、四次元リュックをドンッと置き、鬼の形相で両面宿儺の「前と後ろの二つの顔」をビシッと指差した。


「あなた!! 前と後ろの顔から『全く別々の視覚情報』を同時に脳(CPU)に送り込んでいるのに、メインとサブの役割分担(デュアルモニターの設定)ができていないじゃないですか!! 脳の空間認識系がバッティングして三半規管がパニックを起こす、極度の『3D酔い(動揺病)』を発症していますよ!! さっきから目の焦点が合ってないし、足元がフラフラしてるのは威圧感じゃなくて、ただの強烈な乗り物酔いです!!」

『さ、3D酔い……!? 空間認識系のバッティング……!?』


両面宿儺は、自慢の絶対的な視野(死角ゼロ)を「ただの設定ミスによる自律神経の崩壊」として医学的に詰められ、前後の顔を同時に青ざめさせて「ウップ……」と吐き気を催した。


「大体、その四本の腕の使い方!!」


ヒナタは今度、弓を引き絞っている四本の太い腕を指差した。


「四本の腕で別々の方向に強いトルク(ねじれの力)を発生させているのに、それを支える『体幹インナーマッスル』の連動が全くできていません!! 重心がブレブレのまま力任せに弓を引いたら、肩の『回旋筋腱板ローテーターカフ』がブチ切れて、腰椎椎間板ヘルニアで一生寝たきりになりますよ!! バイオメカニクス(生体力学)とコア・トレーニングを完全に舐めています!!」

『ロ、ローテーターカフの断裂……!? ヘルニア……!? いや、我は古代の最強の……』


両面宿儺は、最強の物理戦闘フォームを「ただの自滅確定の劣悪なフォーム」として全否定され、四本の腕をワナワナと震わせて弓を取り落とした。


「今日から、徹底的な『メイン・サブ画面の脳内マッピング』と『四肢を支える究極の体幹コアトレーニング』を行います!!」


ヒナタは、四次元リュックから、「酔い止めトラベルミンと冷えピタ」「艶消しマット素材の特大バランスボール」、そして「手首の負担を極限まで減らす、四分割のエルゴノミクス・キーボード」を取り出した。


「ゴズさん、宿儺さんが吐かないように背中……じゃなくて横っ腹をさすって! ヴァレリアさん、このバランスボールを宿儺さんの重心のど真ん中に完璧にセットして!!」

「ブモォッ!(おう! 自分の体で酔うなんて地獄だからな! リラックスしろ!)」

「ふむ。この巨大なゴム球の上で完璧なバランスを取らせる……体術の基礎、『無空の構え』の修行だな」

『ナ、何ヲ……!? 我ノ最強ノ四連撃ガ……!』

「【究極のデュアルコア最適化&シン・インナーマッスル(体幹)プログラム】です!!」


ヒナタたちの手により、酔い止め薬を飲まされた両面宿儺は、特大の「艶消しマット・バランスボール」の上に四本の脚を浮かせて座らされた。


『おおっ……!? な、なんだこれは……! 薬のおかげで胃のムカムカがスッと消えた! そして、この弾力のある球体の上に座ることで、常に体の中心コアに意識が向かい、四本の腕を動かしても重心が全くブレないぞ……!! 肩の関節がめちゃくちゃスムーズに動く……!!』

「はい! 体幹が安定したら、次は脳内タスクの整理です! 前の顔を『メインタスク(お客様対応)』、後ろの顔を『サブタスク(データ検索と処理)』に完全に割り当ててください!」


ヒナタは、宿儺の四本の腕の前に、分割型のエルゴノミクス・キーボードを設置した。


『……っ!! こ、これだ!! 前の顔で会話しながら、後ろの顔でデータベースを確認し、四本の腕で同時にタイピングとショートカットキーを操作する……! 脳のバッティングが消え去り、思考が恐ろしくクリアに、かつ爆速で処理されていく……!!』


両面宿儺は、自らの異形のスペックが「デスクワークにおける究極のマルチタスク」として完璧に最適化されたことに感動し、四つの目で嬉し涙を流した。


数日後。

そこには、岩山で四本の腕を振り回して人を襲う古代の化け物の姿はなかった。


艶消しマットのバランスボールに優雅に座り、前の顔で最高の笑顔を浮かべながらクレーム対応をこなし、後ろの顔で爆速でデータベースを検索して、四本の腕で超高速のタイピング(分速2000文字)を叩き出す「王都認定・伝説のスーパー・コールセンター・エージェント(兼・データ入力の鬼)」として、王国のすべての事務処理を一人で回す巨人の姿があった。


『ハイ! お客様、大変申し訳ございません!(タタタタタッ! 後ろの顔で返金処理を完了) すぐに代替品を発送いたしました!』


元・両面宿儺は、一切のラグも3D酔いもなく、完璧なエルゴノミクス環境で無双していた。


「……ゆ、勇者殿。最強の物理妖怪が……『3D酔いと体幹不足を克服し、バランスボールに乗りながら爆速でタイピングするスーパー事務員』になってしまいましたぞ……」


セバスチャンは、王国の溜まっていた10年分の書類がたった数時間で処理されたことに感動し、彼を特級文官として迎え入れる決裁書にサインをしていた。


【場所:天界・管理室】

『…………』


神ドラマスは、自分のデスクの前に置かれた普通のオフィスチェアを無言で見つめた。


『両面宿儺が……「前後の顔による3D酔い」と指摘され、酔い止め薬を飲まされた……』

『四本の腕の暴力は「体幹ゼロで肩を壊す」と怒られ、バランスボールとエルゴノミクス・キーボードを与えられて最強のコールセンター・エージェントになった……』


ドラマスは、深く、長く息を吐き出すと、もはや「二面四臂の最強の化け物」すら「デュアルモニターの運用ミスと体幹不足」として労働環境ごと論破してしまうヒナタに完全降伏し、通販サイトで「自分用のマットな特大バランスボール」と「左右分離型のエルゴノミクス・キーボード」をポチり、自らの神殿でのデスクワークも、究極のマルチタスクとコア・トレーニングを両立させることを固く誓うのだった。

(第139話・完)


本日もお付き合いいただき、ありがとうございました!


ヒナタのマイペースな異世界蹂躙はまだまだ続きます。魔王軍の胃の痛みが限界を迎える前に、ぜひページ下部の【☆☆☆☆☆】からの評価や、ブックマークでの応援をよろしくお願いいたします!


皆様からの応援トラフィックが、毎日の更新の最大のエネルギーになっています!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。