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■第138話:増殖する怪火・蓑火! ……えっ、燃え上がる前に「燃焼の三要素」と「ゴアテックス素材への移行」の説教ですか?

いつもお読みいただき、ありがとうございます!

それでは、本編をお楽しみください!


【場所:天界・管理室】

「……ポチッ、ポチッ。うむ、ARスマートグラスのUIは完璧だ。これなら無数の神界データを処理しても全く目が疲れないな」


神ドラマスは、百目のエピソードから導入した艶消しマットのARスマートグラスを掛けこなし、ドライアイとは無縁の快適な環境でモニターを見下ろしていた。

画面の中では、ヒナタたちが雨の降る夜、大きな湖(琵琶湖のような場所)を小さな渡し舟で渡っているところだった。


「ほう! 『い段』の第7弾、『み』の刺客だな! その名は蓑火みのび!」


ドラマスは、防腐剤フリーの目薬をさしながらニヤリと笑った。


「雨の夜、人間が着ているみのにフワフワと取り憑き、手で払えば払うほど無限に増殖して最後には丸焦げにするという恐怖の怪火! このパニックを誘発する物理的な炎の連鎖に、ヒナタのロジックはどう立ち向かうのだ!?」


【場所:人間界・雨の夜の湖上】

「う〜ん、雨の日の湖は冷えますねぇ。足元が滑りやすいので船の上では座っていましょう」


ヒナタは、四次元リュックを膝の上に置き、雨除けのポンチョを着て舟に揺られていた。


「ゆ、勇者殿……! 私の着ているこの蓑(昔ながらの藁の雨具)に、何か青白い火が……!」


舟を漕いでいた宰相セバスチャンが、自分の肩口を見て震え上がった。

ポワァァン……ポワポワッ!

雨でずぶ濡れになった蓑の上に、まるで蛍のような青白い不気味な火(蓑火)がポツポツと灯り始めたのだ。


「ひぃぃぃッ!! で、出たァァッ!! 妖怪の火ですぞォォッ!!」


セバスチャンがパニックになり、手でバンバンと火を払い落とそうとした。


『ヒャハハハッ!! 無駄だ無駄だ!!』


小さな火の玉たちが、不気味な声で笑い声を上げた。


『俺たちは蓑火! 払えば払うほど増殖するぜ! さあ、もっと焦って払え! そして蓑ごと真っ黒に燃え上がって湖に落ちるがいいゥゥッ!!』


セバスチャンが手で払った瞬間、風が起きて火はさらに勢いを増し、蓑全体にボワァァッ!と燃え広がろうとした、その瞬間。


「ちょっと待って!!!」


ヒナタの、雨音も湖の波音も完全に鎮火させる「消防設備士&アウトドア・ギアアドバイザー(ガチギレ・トーン)」が舟の上に響き渡った。


『……エッ?』


蓑火たちは、燃え広がるのをやめて蓑の上でピタリと固まった。

ヒナタは、四次元リュックをドンッと置き、鬼の形相でセバスチャンと蓑火をビシッと指差した。


「あなたたち!! 濡れたわらの中で微生物が繁殖して発酵熱が発生し、そこに可燃性ガスが溜まって引火した『自然発火(蓄熱発火)現象』を、妖怪の呪いだと勘違いしてパニックになるなんて正気の沙汰ですか!! しかも火が出ているところを手で払ったら、新しい『酸素(O2)』が供給されて火勢が強まるに決まってるでしょう!! 『燃焼の三要素(可燃物・酸素・温度)』という防災の基本知識が全くなってません!!」

『ね、燃焼の三要素……!? 酸素の供給……!?』


蓑火たちは、自慢の恐怖の増殖を「ただの酸素供給による物理的な延焼」として消防法レベルで全否定され、青白い炎をチロチロと弱めた。


「大体、その雨具のプロダクト選定!!」


ヒナタは今度、セバスチャンが着ているズブ濡れの蓑を指差した。


「現代のアウトドアにおいて、水を吸って重くなり、微生物の温床(発酵熱の原因)になるような『天然のわら』を雨具にするなんて、レイヤリングの常識から完全に外れています!! 透湿性もゼロだし、重くて肩がこるだけの最悪の装備です!! 防水・防風・透湿性を兼ね備えた最新の『ゴアテックス(GORE-TEX)素材』のレインウェアに今すぐ移行しなさい!!」

『ゴ、ゴアテックス素材……!? プロダクト選定のミス……!? いや、俺たちは人を燃やす恐怖の……』


蓑火たちは、自分たちの寄生先(蓑)を「ただのカビと発酵熱の温床(型遅れのゴミ)」としてアウトドアのロジックで詰められ、完全に火の勢いを失った。


「今日から、徹底的な『窒息消火(初期消火)訓練』と『シン・防水透湿レインウェア(艶消しマット仕様)の導入』を行います!!」


ヒナタは、四次元リュックから、「艶消しブラックの超軽量・携帯型二酸化炭素(CO2)消火器」「最新ゴアテックス・プロ・シェルジャケット(完全防水)」、そして「燃焼の三要素が学べる・子供向け防災パンフレット」を取り出した。


「ゴズさん、舟が揺れないようにかいをしっかり握って! ヴァレリアさん、そのCO2消火器で酸素を完全に遮断して、蓑火さんたちを優しく窒息消火して!!」

「ブモォッ!(おう! 水の上で火事なんて笑えねぇからな! 初期消火だ!)」

「ふむ。このノズルから噴出する冷却ガスで、炎の息根を無酸素で止める……氷の魔術の極意だな」

『ナ、何ヲ……!? 俺タチノ恐ロシイ怪火ガ……!』

「【究極の初期消火&シン・アウトドア・ギア(完全防水)プログラム】です!!」


プシュゥゥゥゥッ!!

ヴァレリアが携帯型CO2消火器を噴射すると、燃焼の三要素である「酸素」が完全に遮断され、蓑火たちはパニックになる暇もなく『ヒャンッ!』と安全かつ無傷のまま小さな種火サイズに鎮火された。


『おおっ……!? な、なんだこれは……! 消火器の二酸化炭素のおかげで、燃え広がる酸素がない! 俺たちの炎が……めちゃくちゃ適正なサイズ(安全なランタンの火)にコントロールされているぞ……!!』

「はい! そしてセバスチャンさんは、そのカビ臭い蓑を脱いで、この最新のゴアテックス・ジャケットを着てください!」


ヒナタに渡された艶消しブラックのジャケットを着たセバスチャンは、その驚異的な軽さと完璧な撥水性(雨粒が玉のように転がり落ちる)に感動し、舟の上で小躍りした。


「蓑火さんたちは、これからは無闇に人の服を燃やすのではなく、その小さな炎を活かして、夜のアウトドアで役立つ『安全な携帯用ランタン(エコ光源)』として働きなさい!」


数日後。

そこには、雨の夜の湖で人々を恐怖に陥れる不気味な怪火の姿はなかった。


艶消しマットの「防風・防水・耐火性ランタンケース」にすっぽりと入り、安全な燃焼の三要素(酸素量)を完璧にコントロールされながら、夜釣りの客やキャンパーの足元を優しく照らす「王都認定・超安全なエコ・アウトドアランタン(蓑火モデル)」として、アウトドアショップで大人気の安全な火の妖精の姿があった。


『ポワァァン!(酸素調整バルブ、正常! テント内の一酸化炭素には十分注意してくれよな!)』


元・蓑火は、防災知識を完璧にマスターし、キャンパーたちの夜の安全を優しい光で守っていた。


「……ゆ、勇者殿。パニックを誘う怪火が……『燃焼の三要素を理解し、防風ランタンの中でキャンパーを照らす安全なエコ光源』になってしまいましたぞ……」


セバスチャンは、全く雨を通さないゴアテックス・ジャケットの快適さに感心し、王国の兵士の雨具をすべてこれにリプレイスする稟議書を書いていた。


【場所:天界・管理室】

『…………』


神ドラマスは、ARスマートグラスを外し、そっとケースにしまった。


『蓑火が……「微生物の発酵熱による自然発火」と指摘され、CO2消火器で窒息消火された……』

『払って燃え広がる恐怖は「酸素供給による延焼(防災知識ゼロ)」と怒られ、ゴアテックスのジャケットを導入され、安全なエコ・ランタンになった……』


ドラマスは、深く、長く息を吐き出すと、もはや「増殖する恐怖の怪火」すら「燃焼の三要素とアウトドア・ギアの選定ミス」として消防士レベルで完璧に鎮火してしまうヒナタに完全降伏し、通販サイトで「自分用の最新ゴアテックス・レインウェア」と「艶消しブラックの携帯用CO2消火器」をポチり、自らの神殿の防災体制を完璧なものにアップデートすることを固く誓うのだった。

(第138話・完)


本日もお付き合いいただき、ありがとうございました!


ヒナタのマイペースな異世界蹂躙はまだまだ続きます。魔王軍の胃の痛みが限界を迎える前に、ぜひページ下部の【☆☆☆☆☆】からの評価や、ブックマークでの応援をよろしくお願いいたします!


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