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■第137話:無数の視線・百目(ひゃくめ)! ……えっ、目を飛ばす前に「重度のドライアイ」と「情報過多(処理落ち)」の説教ですか?

いつもお読みいただき、ありがとうございます!

それでは、本編をお楽しみください!


【場所:天界・管理室】

「……ピピッ。よし、神殿のタスク管理デバイスも、全て正常に稼働しているな」


神ドラマスは、人面瘡のエピソードから導入したウェアラブル健康管理デバイスを腕に巻き、完璧な体調とシステム環境でモニターを見下ろしていた。

画面の中では、ヒナタたちが王都の裏路地、街灯の届かない暗がりを歩いているところだった。


「ほう! 『い段』の第6弾、『ひ』の刺客だな! その名は百目ひゃくめ!」


ドラマスは、デバイスの画面をタップしながらニヤリと笑った。


「全身に100個もの目玉を持つ異形の化け物! 闇夜で人間と遭遇すると、その目玉の一つをポロリと外し、どこまでも執拗にターゲットを追跡させるというストーカー怪異だ! この全方位からの視覚的プレッシャーと物理的な目玉の追跡に、ヒナタのロジックはどう立ち向かうのだ!?」


【場所:人間界・夜の裏路地】

「う〜ん、この路地裏は少しホコリっぽいですねぇ。目を擦らないように気をつけてくださいね」


ヒナタは、四次元リュックを背負いながら、暗い路地を進んでいた。


「ゆ、勇者殿……! 前方の暗闇に、無数の不気味な光が……ウワァァァッ!! 全部『目玉』ですぞォォッ!!」


宰相セバスチャンが、杖を震わせて悲鳴を上げた。


『……ギロリ。ギロリギロリッ……』


暗闇からヌゥッと姿を現したのは、全身の皮膚に大小さまざまな100個の目玉をビッシリと生やした肉の塊――百目であった。


「ひぃぃぃッ!! で、出たァァッ!! 視線恐怖症にはキツすぎる化け物ですぞォォッ!!」


セバスチャンが頭を抱えてしゃがみ込む。


『ヒヒヒ……。見つけたぞ人間……。俺様のこの無数の目で、お前たちの恐怖に歪む顔を全方位から観察してやる……! 行けッ、俺の目玉よ!!』


百目が、ふくらはぎのあたりについていた目玉を一つ『ポロリ』と外し、セバスチャンに向けて飛ばそうとした、その瞬間。


「ちょっと待って!!!」


ヒナタの、裏路地の不気味な静寂を完全に打ち砕く「眼科医&ハードウェア設計者ガチギレ・トーン」が響き渡った。


『……エッ?』


百目は、目玉を手に持ったままピタリと固まった。

ヒナタは、四次元リュックをドンッと置き、鬼の形相で百目の「全身のパサパサに乾いた目玉」をビシッと指差した。


「あなた!! 全身に100個も目があるのに『まぶた』が存在しないなんて、涙の油層が完全に蒸発して極限の『重度ドライアイ(角膜乾燥症)』に陥っているじゃないですか!! 目玉がポロリと外れるのも、呪いでもなんでもなくて、ただ角膜が乾燥しすぎて結合組織が剥がれ落ちてるだけの『深刻なハードウェア欠陥(品質不良)』ですよ!! 眼球の保湿ケアを舐めてるんですか!!」

『ド、ドライアイ……!? 品質不良……!?』


百目は、自分の恐ろしい能力を「ただの潤い不足によるパーツの脱落」として眼科学的に詰められ、全身の100個の目をショボショボと瞬き(まぶたがないので白目を剥くことしかできないが)させた。


「大体、その無駄に多い視覚入力カメラセンサー!!」


ヒナタは、百目の全身を指差した。


「100個のカメラから同時に別々の映像(非構造化データ)を取り込んだら、脳内の画像処理エンジン(ISP)が全く追いつかずに『情報過多によるCPUの熱暴走(処理落ち)』を起こします!! さっきから動きがカクカクしてノロいのは、妖怪としての風格じゃなくて、ただの『フレームレート低下ラグ』です!! 複数の視覚データを一つに統合する【UIユーザーインターフェース】が完全に欠落しています!!」

『C、CPUの熱暴走……!? ラグ……!? いや、俺は全方位を見渡す妖怪で……』


百目は、自らの圧倒的な視覚能力を「ただのスペック不足による処理落ち」としてITエンジニアのロジックで全否定され、情報過多でグラグラとよろめいた。


「今日から、徹底的な『角膜の超・保湿ケア』と『視覚データのUI統合(スマートグラス導入)プログラム』を行います!!」


ヒナタは、四次元リュックから、「防腐剤フリー・高濃度ヒアルロン酸点眼液(特大ボトル)」「全身用・保湿ハイドロゲルアイマスク」、そして「艶消しマット仕上げの、広視野角・最新型AR(拡張現実)スマートグラス」を取り出した。


「ゴズさん、百目さんが転ばないように支えて! ヴァレリアさん、その点眼液を100個の目玉すべてに、一滴の狂いもなく神速で滴下して!!」

「ブモォッ!(おう! 目が乾いて痛いのは地獄だからな、しっかり潤してやるぜ!)」

「ふむ。この無数の眼球に、寸分の狂いもなく潤いを撃ち込む……百裂突きの応用だな」

『ナ、何ヲ……!? 俺ノ恐ロシイ百ノ目ガ……!』

「【究極のドライアイ治療&シン・AR(拡張現実)視覚統合プログラム】です!!」


ヴァレリアの神速の剣技……もとい「点眼技」により、百目の全身の目玉に高濃度ヒアルロン酸が的確に滴下され、さらにヒナタがハイドロゲルアイマスクで全身を優しくパックした。


『おおっ……!? な、なんだこれは……! ずっと砂を噛むようにシパシパしていた100個の目が、信じられないほど潤っている……! ポロリと落ちそうだった目玉も、ハイドロゲルのおかげで肌にガッチリと定着したぞ……!!』

「はい! 角膜が潤ったら、次は視覚データの統合です!」


ヒナタは、百目の頭部(メインの顔)に、艶消しマットでスタイリッシュな「最新型ARスマートグラス」を装着させた。


「全身の目で捉えた全方位のデータを、そのスマートグラスのディスプレイ(UI)に一元化して表示させます! これで脳のCPUの負担(処理落ち)はゼロになり、必要な情報だけを洗練されたインターフェースで確認できます!」

『……っ!! こ、これだ!! 100個のバラバラの映像が、グラスの中で美しい【ミニマップ】と【危険察知アラート】として整理されて表示されている! 頭のガンガンする処理落ち(熱暴走)が消え去り、視界が恐ろしくクリアだ……!!』


百目は、完璧に統合されたARのインターフェースに感動し、スタイリッシュなグラスの奥でメインの目を輝かせた。


数日後。

そこには、夜の路地裏で目玉を落として人を脅かす不気味な化け物の姿はなかった。


艶消しマットのARスマートグラスをクールに掛けこなし、全身のセンサーで王都のあらゆるデータを収集し、それを完璧なUIで統合して王国のインフラ整備に役立てる「王都認定・超優秀なデータアナリスト兼・ARインターフェースのテスター」として、オフィス街でスマートに働く青年の姿があった。


『ピピッ!(全方位の交通量データを取得。ARグラス上にヒートマップを生成し、最適な渋滞緩和ルートを算出完了!)』


元・百目は、一切処理落ちすることなく、完璧なドライアイ対策と共に膨大なデータを優雅にさばいていた。


「……ゆ、勇者殿。目玉のストーカー妖怪が……『ドライアイを克服し、ARスマートグラスで視覚データを統合する超優秀なデータアナリスト』になってしまいましたぞ……」


セバスチャンは、全くラグのない彼の手際の良さに感心し、王国の国勢調査のデータ処理も彼に一任しようと決めていた。


【場所:天界・管理室】

『…………』


神ドラマスは、少し充血していた自分の目を静かに擦った。


『百目が……「まぶたがない事による重度のドライアイ」と指摘され、ヒアルロン酸を100滴さされた……』

『無数の視覚は「画像処理エンジンの性能不足(処理落ち)」と怒られ、艶消しマットのARスマートグラスでUIを統合されてデータアナリストになった……』


ドラマスは、深く、長く息を吐き出すと、もはや「全方位からの視覚の恐怖」すら「ハードウェアの欠陥と情報過多」として眼科医&ITエンジニアのロジックで論破してしまうヒナタに完全降伏し、通販サイトで「防腐剤フリーの高級目薬」と「自分用の最新型ARスマートグラス」をポチり、自らの神殿での情報収集も、目に負担をかけない完璧なUI環境で行うことを固く誓うのだった。

(第137話・完)


本日もお付き合いいただき、ありがとうございました!


ヒナタのマイペースな異世界蹂躙はまだまだ続きます。魔王軍の胃の痛みが限界を迎える前に、ぜひページ下部の【☆☆☆☆☆】からの評価や、ブックマークでの応援をよろしくお願いいたします!


皆様からの応援トラフィックが、毎日の更新の最大のエネルギーになっています!


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