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■第130話:落雷の化身・雷獣! ……えっ、引き裂く前に「重度の静電気」と「犬の雷恐怖症」の説教ですか?

いつもお読みいただき、ありがとうございます!

それでは、本編をお楽しみください!


【場所:天界・管理室】

「……キュッ、キュッ。うむ、天然蜜蝋ワックスのおかげで、私の玉座が新品以上の極上の輝きを放っているな」


神ドラマスは、家鳴のエピソードから導入した木材メンテナンスを完璧にこなし、スベスベになった肘掛けを撫でながらモニターを見下ろしていた。

画面の中では、ヒナタたちがバケツをひっくり返したようなゲリラ豪雨と、激しい雷鳴が轟く山道を急いで歩いているところだった。


「ほう! 五十音順あ段の第9弾、ついに『ら』の刺客だな! その名は雷獣らいじゅう!」


ドラマスは、ワックスをしまって身を乗り出した。


「落雷と共に天空から舞い降り、鋭い爪で大木を引き裂き、人間の『おへそ(腹)』に潜り込もうとする恐るべき雷の化身! 帯電した狂暴な獣のスピードと破壊力に、ヒナタのド正論はどう立ち向かうのだ!?」


【場所:人間界・雷雨の山道】

「う〜ん、すごい雷ですねぇ。高い木の下は危ないので離れて歩きましょう」


ヒナタは、レインコートのフードを深く被り、冷静に歩みを進めていた。


ピシャァァァァンッッ!!!

その時、一行のすぐそばにあった巨大な杉の木に、凄まじい落雷が直撃した。

木が真っ二つに裂け、その裂け目から「バチバチッ!!」と青白い放電を纏った、狼ともイタチともつかない獣――雷獣が飛び出してきた。


「ひぃぃぃッ!! で、出たァァッ!! 雷とともに落ちてきた化け物ですぞォォッ!!」


宰相セバスチャンが悲鳴を上げて腰を抜かす。


『ギャウゥゥゥッ!! ゴロゴロ……バチバチッ!!』


雷獣が、全身の毛を逆立てて青白い火花を散らしながら、怯えるセバスチャンの「おへそ(腹部)」めがけて、猛烈なスピードで突進してきた!


「お、おへそを取られるゥゥッ!!」


雷獣の鋭い爪が、セバスチャンの服を引き裂こうとした、その瞬間。


「ちょっと待って!!!」


ヒナタの、落雷の轟音すら完全にミュートする「ドッグトレーナー&静電気対策アドバイザー(ガチギレ・トーン)」が山道に響き渡った。


『……キャン?』


雷獣は、突進のポーズのまま空中でピタリと固まった。

ヒナタは、四次元リュックをドンッと置き、鬼の形相で雷獣の「バチバチと放電している毛並み」をビシッと指差した。


「あなた!! 雷を操っているような顔をしてますが、ただ毛が乾燥しきって雷雲のチリと摩擦を起こしている『重度の静電気(帯電状態)』じゃないですか!! ブラッシング不足で毛がパサパサだから、空気中の電気が全部毛先に溜まってるんです!! 自分がバチバチ痛いからって暴れ回るなんて、グルーミングの基本がなってません!!」

『きゅ、きゅぅ……!?(せ、静電気……!?)』

雷獣は、自慢の雷のオーラを「ただのヘアケア不足による不快な静電気」として物理的に論破され、バチッと自分の鼻先でショートして痛そうに身を縮めた。

「大体、おへそに潜り込もうとするその行動!!」


ヒナタは、セバスチャンのお腹に顔を突っ込もうとしていた雷獣の鼻先を指差した。


「それは人間のおへそを狙ってるんじゃなくて、雷の大きな音と光にパニックを起こしている『雷恐怖症(音響シャイ)』の症状です!! ワンちゃんが怖い時に、狭くて温かい暗がり(服の中)に逃げ込みたくなる本能にすぎません!! パニックを起こしている動物に必要なのは、適切なホールドと『安心できる環境クレート』です!! 人の服の中に無許可で潜り込むなんて、しつけが全くできていません!!」

『くぅ〜ん……!?(お、音響シャイ……!? いや、俺は恐ろしい雷の……)』


雷獣は、自分の恐ろしい伝承を「ただ雷の音が怖くてパニックになっているビビりなワンちゃん」として動物行動学的に詰められ、雷鳴が鳴るたびにブルブルと震え出した。


「今日から、徹底的な『静電気除去アース&保湿ケア』と『雷恐怖症のための安心・ホールドプログラム』を行います!!」


ヒナタは、四次元リュックから、「ペット用・静電気防止ブラッシングスプレー(無香料)」「アース付き・除電ブラシ」、そして*「適度な圧迫で不安を和らげる、マットな質感の犬用サンダーシャツ(抗不安ウェア)」を取り出した。


「ゴズさん、雷獣さんが逃げないように優しく抱きしめて! ヴァレリアさん、その除電ブラシで逆立った毛を根元からスッと梳かして!!」

「ブモォッ!(おう! 雷が怖いのはお互い様だからな、ヨシヨシしてやるぜ!)」

「ふむ。この帯電した獣の毛並みを、一本残らず滑らかに整える……剣の軌道を美しく描くのと同じだ」

『ナ、何ヲ……!? 俺ノ恐ロシイ雷撃ガ……!』

「【究極の静電気ゼロ・グルーミング&抗不安サンダーシャツプログラム】です!!」


ヒナタたちの手により、雷獣の逆立った毛に「静電気防止スプレー」がたっぷりと吹きかけられ、ヴァレリアの除電ブラシによってバチバチと鳴っていた放電がスゥーッと大地に逃がされて(アースされて)いった。


『……っ!? な、なんだこれは……! ずっと全身をチクチクと刺していた不快な静電気が、嘘みたいに消え去った……! 毛がめちゃくちゃしっとりして、ツヤツヤだぞ……!』

「はい、毛が整ったら、雷の音が怖くなくなる魔法のシャツを着せますよ!」


ヒナタは、雷獣の体に、体を適度な圧力で包み込む「サンダーシャツ」をしっかりと着せ、抱きしめるようにホールドした。

ゴロゴロ……ドカァァンッ!!

空で大きな雷が鳴ったが、雷獣はさっきのようにパニックを起こさなかった。


『おおっ……!? シャツの適度な圧迫感が、まるでヒナタにギュッと抱きしめられているような安心感を与えてくれる……! 雷の音が鳴っても、全然怖くない……! ここが俺の安全地帯セーフスペースだ……!!』


雷獣は、生涯で初めて雷鳴の恐怖から解放され、ヒナタの腕の中で「ハッ、ハッ」と嬉しそうに尻尾を振った。


数日後。

そこには、落雷と共に木を引き裂き、人のおへそを狙う狂暴な雷の獣の姿はなかった。


スタイリッシュなマットグレーの「サンダーシャツ」を着こなし、ツヤツヤの毛並みで王都の子供たちや雷を怖がる人々に寄り添う「王都認定・雷雨の日の専属セラピー・ドッグ(兼・静電気除去アドバイザー)」として、人々に笑顔をもたらす愛らしい獣の姿があった。


『ワンッ!(雷が鳴っても、深呼吸して俺の背中を撫でれば静電気が抜けて落ち着くぜ!)』


元・雷獣は、雷を怖がる子供たちのお腹に優しく頭をこすりつけ、見事な癒やしを提供していた。


「……ゆ、勇者殿。落雷の化身が……『静電気と雷恐怖症を克服し、サンダーシャツを着こなす究極のセラピードッグ』になってしまいましたぞ……」


セバスチャンは、雷獣の背中を撫でながら、自分の冬場の静電気体質も改善されたことに深く感動していた。


【場所:天界・管理室】

『…………』


神ドラマスは、モニターの前で静かにうなずいた。


『雷獣が……「毛の乾燥による静電気」と「音響シャイ(雷恐怖症)」を指摘され、除電スプレーをかけられた……』

『へそを狙うのは「服の中に隠れたいだけ」と論破され、サンダーシャツで安心感を得てセラピードッグになった……』


ドラマスは、深く、長く息を吐き出すと、もはや「落雷の怪異」すら「犬のパニック行動とヘアケア不足」としてドッグトレーナー目線で完全に飼い慣らしてしまうヒナタに完全降伏し、通販サイトで「自分用の抗不安ウェア(適度な加重のあるウェイトブランケット)」と「静電気防止用・ヘアトリートメント」をポチり、自らの神殿での生活から静電気とあらゆるストレスを完全に排除することを固く誓うのだった。

(第130話・完)


本日もお付き合いいただき、ありがとうございました!


ヒナタのマイペースな異世界蹂躙はまだまだ続きます。魔王軍の胃の痛みが限界を迎える前に、ぜひページ下部の【☆☆☆☆☆】からの評価や、ブックマークでの応援をよろしくお願いいたします!


皆様からの応援トラフィックが、毎日の更新の最大のエネルギーになっています!


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