■第129話:深夜の怪音・家鳴(やなり)! ……えっ、脅かす前に「無垢材の過乾燥」と「シロアリ対策」の説教ですか?
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それでは、本編をお楽しみください!
【場所:天界・管理室】
「……スゥ〜、ハァ〜。怒りのピークの6秒をやり過ごす。うむ、山姥の重複エラーが起きても、私の心は乱れないぞ」
神ドラマスは、6秒呼吸法で自らのポンコツ具合……もとい、些細なミスを華麗にスルーし、穏やかな顔でモニターを見下ろしていた。
画面の中では、ヒナタたちが歴史ある立派な「古い木造の武家屋敷」に宿泊させてもらっているところだった。
「ほう! 次なる『や』の刺客は、日本の伝統的ポルターガイスト、家鳴か!」
ドラマスは、ハーブティーを飲みながらニヤリと笑った。
「深夜、誰もいないはずの家中で『ピシッ!』『ミシッ!』と不気味な音を立て、時には家全体を揺るがす小鬼の群れ! 姿を見せずに暗闇から精神を削ってくる、この見えない恐怖の連鎖に、ヒナタの物理ド正論はどう立ち向かうのだ!?」
【場所:人間界・古い武家屋敷の寝間】
「う〜ん、立派な太い柱ですねぇ。歴史を感じる素晴らしい建築です」
ヒナタは、布団に入りながら天井の立派な梁を眺めていた。
深夜、冷え込みが厳しくなってきたその時である。
『……ピシッ。……ミシッ……バァァンッ!!』
突然、屋敷のあちこちから、木材が割れるような、何かが叩きつけられるような不気味な音が鳴り響き始めた。
よく見ると、暗闇の中、梁の上や柱の陰で、手のひらサイズの小さな鬼たち(家鳴)が、小さな木槌を持って柱をドカドカと叩き、家を揺らしているのだ。
「ひぃぃぃッ!! で、出たァァッ!! ポルターガイストですぞォォッ!! 屋敷が倒壊してしまいます!」
宰相セバスチャンが悲鳴を上げて布団を被る。
『ケケケッ!! 驚け驚け! 俺たちは家鳴! この古い屋敷を揺らして、人間どもを一睡もさせずに恐怖で狂わせてやるゥゥッ!!』
家鳴の群れが、一斉に木槌を振り上げ、大黒柱を思い切り叩こうとした、その瞬間。
「ちょっと待って!!!」
ヒナタの、不気味な怪音を完全に上書きする「一級建築士&木材保存士」が屋敷中に響き渡った。
『……エッ?』
家鳴たちは、木槌を振り上げたまま梁の上でピタリと固まった。
ヒナタは、布団をバサッと跳ね除け、鬼の形相で家鳴たちが叩いていた「柱」をビシッと指差した。
「あなたたち!! その『ピシッ』って音、あなたたちの怪奇現象でもなんでもない!! 冬の過酷な乾燥と冷え込みによって、建材の水分が奪われて起きている『無垢材の収縮によるヒビ割れ音』ですよ!! 木が水分不足で悲鳴を上げているのに、その上から木槌で叩くなんて、建物の寿命を縮める『悪質な破壊行為』です!!」
『む、無垢材の収縮……!? 水分不足……!?』
家鳴たちは、自分たちの恐ろしい怪奇現象を「ただの木材の物理的な乾燥トラブル」として論破され、小さな木槌を取り落としそうになった。
「大体、家を揺らそうとするその行為!!」
ヒナタは、屋敷の基礎部分(床下)を指差した。
「こんな歴史ある木造建築が、あなたたちみたいな小鬼が少し暴れただけで『ミシミシ』揺れるなんて、明らかに『構造的な強度不足』です!! 床下の通気性が悪くて、土台が腐朽菌にやられているか、『シロアリ』に食われてスカスカになっている証拠じゃないですか!! 脅かしている暇があったら、床下点検と防蟻処理をしなさい!! 住宅のメンテナンスを舐めてるんですか!!」
『シ、シロアリ被害……!? 床下点検……!? いや、俺たちは恐ろしい妖怪で……』
家鳴たちは、自慢のポルターガイスト現象を「ただの欠陥住宅(シロアリ被害)の露呈」として建築基準法レベルで詰められ、梁の上でワナワナと震えた。
「今日から、徹底的な『木材の調湿・保湿ケア』と『床下環境の劇的改善プログラム』を行います!!」
ヒナタは、四次元リュックから、「天然成分100%の高級蜜蝋ワックス」「特大の気化式ハイブリッド加湿器」「床下潜入用のLEDヘッドライト」、そして「床下換気扇と防湿シート」を取り出した。
「ゴズさん、加湿器をフル稼働させて部屋の湿度を50%に保って! ヴァレリアさん、家鳴たち全員にヘッドライトを装着させて、床下に送り込んで!!」
「ブモォッ!(おう! 家が倒壊したら元も子もねぇからな、湿度管理は任せろ!)」
「ふむ。この素早い小鬼たちの頭に精密にライトを装着する……暗視ゴーグル装備の訓練だな」
『ナ、何ヲ……!? 俺たちノ恐ロシイ怪奇現象ガ……!』
「【究極の無垢材メンテナンス&シン・住宅リフォーム(耐震補強)】です!!」
ヒナタの指示により、家鳴たちは小さな手に「蜜蝋ワックス」を持たされ、乾燥してピキピキ鳴っていた柱や梁に、ワックスを一生懸命に塗り込んでいく。
『おおっ……!? な、なんだこれは……! ワックスを塗った瞬間、カサカサだった木肌がしっとりと美しいツヤを取り戻し、不気味なヒビ割れ音(家鳴り)がピタリと止まったぞ……! 木が……喜んでいる……!!』
「柱が潤ったら、次は床下です! 防湿シートを敷き詰めて、換気扇を設置! シロアリの温床(湿気)を完全に断ち切るんです!!」
ヘッドライトを光らせた家鳴部隊が、ヒナタを現場監督として床下で完璧なリフォーム作業を完遂した。
数日後。
そこには、深夜の屋敷で怪音を立てて人々を震え上がらせる小鬼の群れの姿はなかった。
お揃いのマットな質感の「職人風ニッカポッカ」を着こなし、小さな体を活かして人間の大工が入れない狭い場所の点検や補修を完璧にこなす「王都認定・超凄腕の住宅メンテナンス専門チーム(チーム・ヤナリ)」として、口コミで依頼が殺到している小さな職人たちの姿があった。
『オラッ! そこの梁、乾燥注意報が出てるぞ! すぐに蜜蝋ワックスだ! お客様の大切な家を、100年もたせるのが俺たちの仕事だ!!』
元・家鳴の棟梁は、誇らしげに親指を立てて、屋敷の完璧な湿度管理を指揮していた。
「……ゆ、勇者殿。深夜のポルターガイストが……『無垢材の乾燥とシロアリ被害を改善し、家を守り抜く超優秀な住宅メンテ職人』になってしまいましたぞ……」
セバスチャンは、ピカピカに磨き上げられ、一切の軋み音がなくなった見事な大黒柱を撫でながら、彼らに王城の床下点検も依頼しようと決めていた。
【場所:天界・管理室】
『…………』
神ドラマスは、そっと自らの玉座(木製)の肘掛けを撫でた。
『家鳴が……「無垢材の乾燥による物理音」と「シロアリ被害による強度不足」を指摘され、蜜蝋ワックスを塗らされた……』
『ポルターガイストは「住宅メンテの怠慢」と怒られ、床下換気扇を設置して凄腕のリフォーム職人になった……』
ドラマスは、深く、長く息を吐き出すと、もはや「心霊現象による怪音」すら「建材の収縮と防蟻処理の欠如」として一級建築士レベルで解決してしまうヒナタに完全降伏し、通販サイトで「天然蜜蝋ワックス(大容量)」と「高性能・温湿度計」をポチり、自らの神殿の木製家具と柱のメンテナンスを完璧に行い、永遠の耐久性を目指すことを固く誓うのだった。
(第129話・完)
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ヒナタのマイペースな異世界蹂躙はまだまだ続きます。魔王軍の胃の痛みが限界を迎える前に、ぜひページ下部の【☆☆☆☆☆】からの評価や、ブックマークでの応援をよろしくお願いいたします!
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