■第127話:顔のない歯黒べったり! ……えっ、驚かす前に「慢性的な口呼吸」と「免疫力低下」の説教ですか?
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それでは、本編をお楽しみください!
【場所:天界・管理室】
「……カチッ。よし、神殿の備品もすべてテプラでラベリング完了だ。動線が確保された空間は、思考の整理に直結するな」
神ドラマスは、納戸婆のエピソードから導入したラベルライターを片手に、完璧に整理整頓された管理室で満足げに頷いていた。
画面の中では、ヒナタたちが夜の王都、少し寂れた神社の境内を歩いているところだった。
「ほう! 次なる『は』から始まる刺客は、背を向けて佇む不気味な女妖怪、歯黒べったり(はぐろべったり)か!」
ドラマスは、ラベルライターをしまってニヤリと笑った。
「美しい着物姿で男を誘い込み、振り返ったその顔には目も鼻もなく、お歯黒を塗った巨大な口だけがパックリと開いているというトラウマ必至の怪異! 視覚と嗅覚を完全に捨てたこの異形のバケモノに、ヒナタのロジックはどう立ち向かうのだ!?」
【場所:人間界・夜の神社の境内】
「う〜ん、夜の神社は静かで空気が澄んでますねぇ」
ヒナタは、四次元リュックを背負い、砂利道をサクサクと歩いていた。
「ゆ、勇者殿……。あそこのお堂の前に、誰か女性が背を向けて立っておりますぞ……」
宰相セバスチャンが、ランタンの光をそっと向けた。
美しい着物を着たその女性は、しなやかな後ろ姿のまま、顔を隠すようにうつむいている。
「おや? こんな夜更けに女性が一人で……。もし、何かお困りですかな?」
セバスチャンが、紳士的に声をかけて近づいた、その時。
『……ウフフフフッ』
女性がゆっくりと振り返った。
その顔には、美しい目も、すっと通った鼻もなかった。
あるのは、顔の下半分を覆い尽くさんばかりにパックリと裂け、真っ黒なお歯黒を塗った「巨大で不気味な口」だけであった。
「ひぃぃぃッ!! で、出たァァッ!! のっぺらぼうにお口がついておりますぞォォッ!!」
セバスチャンが悲鳴を上げてゴズの背中に隠れる。
『ギャハハハッ!! 驚いたかい! アタイのこの顔を見て、恐怖で狂い死ぬがいい……!』
歯黒べったりが、巨大な口から生ぬるい息を吐き出し、不気味な笑い声を響かせた、その瞬間。
「ちょっと待って!!!」
ヒナタの、神社の静寂を完全に停止させる「耳鼻咽喉科医&歯科衛生士」が響き渡った。
『……エッ?』
歯黒べったりは、巨大な口を開けたままピタリと固まった。
ヒナタは、四次元リュックをドンッと置き、鬼の形相で歯黒べったりの「鼻のない顔」をビシッと指差した。
「あなた!! 目も鼻もなくて『口しかない』ということは、24時間365日、常に『口呼吸』になっているじゃないですか!! 鼻のフィルター(鼻毛と粘膜)で加湿と空気清浄を行わずに、ホコリやウイルスまみれの冷たい空気を直接喉に吸い込むなんて、扁桃腺が腫れて免疫力がガタ落ちしますよ!! 感染症リスクが高すぎます!!」
『く、口呼吸……!? 免疫力がガタ落ち……!?』
歯黒べったりは、自分の恐ろしい妖怪としてのアイデンティティを「ただのウイルスに弱い口呼吸の末路」として論理的に指摘され、大きな口をワナワナと震わせた。
「大体、その真っ黒な歯!!」
ヒナタは、パックリ開いたお歯黒の口を指差した。
「お歯黒(タンニンと鉄)で虫歯予防をしているデンタルケアの意識は素晴らしいですが!! 口呼吸のせいで唾液が完全に蒸発して『重度のドライマウス』になっています!! 唾液の強力な自浄作用(バクテリアの殺菌)がないから、せっかくのお歯黒も効果半減ですよ!! 睡眠時無呼吸症候群のリスクもあるし、今すぐ鼻呼吸に切り替えなさい!!」
『ド、ドライマウス……!? 睡眠時無呼吸症候群……!? いや、アタイは鼻がない妖怪で……』
歯黒べったりは、自慢のお歯黒を「唾液不足で台無し」と歯科医レベルで詰められ、慌てて口を手で隠した。
「今日から、徹底的な『気道フィルターの再構築』と『鼻呼吸のトレーニング』を行います!!」
ヒナタは、四次元リュックから、「医療用・超精密シリコン人工鼻(高性能フィルター内蔵)」「睡眠時・口閉じ用マステープ」、そして**「首掛け式・パーソナルマイナスイオン加湿器」**を取り出した。
「ゴズさん、歯黒べったりさんが動かないように肩を押さえて! ヴァレリアさん、この人工鼻を顔の中央に完璧なバランスで接着して!!」
「ブモォッ!(おう! 風邪を引きやすい体質は俺が許さねぇぜ!)」
「ふむ。このシリコンパーツを寸分の狂いもなく顔の中心に据える……剣の目測と間合いの極意だな」
『ナ、何ヲ……!? アタイノ恐ロシイ顔ガ……!』
「【究極の気道確保&鼻呼吸マスター・プログラム】です!!」
ヴァレリアの神速の動きにより、歯黒べったりののっぺらぼうだった顔の中心に、美しくスッと通った「高性能フィルター内蔵のシリコン人工鼻」がピタリと装着された。
続いてヒナタは、乾ききっていた彼女の口元にマイナスイオン加湿器の蒸気を当て、唇にバツ印で「口閉じマステープ」を貼った。
『ンンッ……!?(口が……開かない!)』
「はい! そのまま鼻からゆっくり息を吸って!!」
スゥゥゥゥ……。
『おおっ……!? な、なんだこれは! 鼻のフィルターを通った空気が、信じられないほど温かくて適度に湿っている……! いつも喉の奥がイガイガして痛かったのに、呼吸がめちゃくちゃスムーズで心地いいぞ……!!』
ヒナタの指導の下、歯黒べったりは「正しい鼻呼吸」をマスターし、全身の細胞に上質な酸素が巡っていくのを感じた。
数日後。
そこには、神社の境内で口だけを開けて人を脅かす妖怪の姿はなかった。
美しいシリコンの鼻筋を手に入れ、首にはマイナスイオン加湿器を下げ、王都の広場で女性たちに「鼻呼吸で免疫力を高める、自律神経調整ヨガ(プラナヤマ)」を指導する、「王都認定・カリスマ呼吸法インストラクター」として、健康的な美しさを放つ美女の姿があった。
『はい、皆さん! 口はしっかり閉じて、鼻から深く息を吸って! ドライマウスを防いでお歯黒の効果を最大化させましょうね!』
元・歯黒べったりは、完璧な鼻呼吸による圧倒的な肺活量で、ヨガのポーズを優雅に決めていた。
「……ゆ、勇者殿。顔のないトラウマ妖怪が……『口呼吸の危険性を説き、美しい鼻筋を手に入れたカリスマ・ヨガインストラクター』になってしまいましたぞ……」
セバスチャンは、彼女の指導で自分も鼻呼吸を意識し始め、長年のいびきが改善したことに深く感謝していた。
【場所:天界・管理室】
『…………』
神ドラマスは、テプラで作った『呼吸は鼻から』というラベルをモニターの端に静かに貼った。
『歯黒べったりが……「口呼吸による免疫力低下」と「ドライマウス」を指摘され、シリコンの人工鼻を装着させられた……』
『恐怖のお歯黒は「唾液がないと効果半減」と怒られ、口閉じテープで鼻呼吸をマスターし、ヨガインストラクターになった……』
ドラマスは、深く、長く息を吐き出すと、もはや「顔面パーツの欠損によるホラー」すら「気道フィルターの不在と感染症リスク」として医学的に改修してしまうヒナタに完全降伏し、通販サイトで「睡眠用の口閉じテープ」と「卓上マイナスイオン加湿器」をポチり、自らの神殿での就寝時も、口呼吸を徹底的に防ぐことを固く誓うのだった。
(真・第127話・完)
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ヒナタのマイペースな異世界蹂躙はまだまだ続きます。魔王軍の胃の痛みが限界を迎える前に、ぜひページ下部の【☆☆☆☆☆】からの評価や、ブックマークでの応援をよろしくお願いいたします!
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