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■第122話:妖艶なる骸骨・骨女! ……えっ、生気を吸う前に「過度なダイエットの末路」と「サルコペニア」の説教ですか?

いつもお読みいただき、ありがとうございます!

それでは、本編をお楽しみください!


【場所:天界・管理室】

「……ポカポカだな。足元ヒーターともこもこフリースのおかげで、もはや私の玉座デスクは完全な常夏だ」


神ドラマスは、ふすまのエピソードから導入した完璧な防寒グッズに身を包み、自堕落……もとい、非常にリラックスした姿勢でモニターを見下ろしていた。

画面の中では、ヒナタたちが夜の王都、少し寂れた色街の裏通りを歩いているところだった。


「ほう! 次なる怪異は、男の欲望と恐怖を煽る妖艶なアンデッド、骨女ほねおんなか!」


ドラマスは、ホットミルクを飲みながらニヤリと笑った。


「美しい女の幻影で男を誘い込み、しとねでその正体である『白骨』を現し、男の生気と体温を根こそぎ吸い尽くす恐ろしい妖怪! すでに肉体という概念を持たない純粋な『骨』の化け物に、ヒナタの健康指導や生活改善など、物理的に通用するはずがないのだ!!」


【場所:人間界・夜の色街の裏通り】

「う〜ん、夜の路地裏は少し物騒ですね。早く宿に戻りましょうか」


ヒナタは、四次元リュックを背負い直して歩いていた。


カラン、コロン……。

路地の奥から、赤い牡丹提灯ぼたんちょうちんを手にした、目を見張るほど美しい着物姿の女性が歩み寄ってきた。


『……もし。そこの殿方……』


女性が、色っぽい流し目で、先頭を歩いていたセバスチャンにすり寄る。


「お、おおっ……。これはお美しい……。私に何かご用ですかな?」


セバスチャンが、思わずデレデレと鼻の下を伸ばした、その時。


『ウフフフフ……。私の本当の姿を……愛してくださる……?』


女性の着物がはらりと肌蹴け、美しい顔の幻影がズルリと崩れ落ちた。

そこに現れたのは、肉も皮も一切ない、カタカタと音を立てる「純白の骸骨」であった。


「ひぃぃぃッ!! で、で、出たァァッ!! ほ、骨ですぞォォッ!!」


セバスチャンが、色気も吹き飛ぶ恐怖で腰を抜かし、地面を這いずり回る。


『アハハハッ!! 驚いたかい! アタイは骨女! お前のその温かい生気と体温を、骨の髄まで吸い尽くしてやるよォォッ!!』


骨女が、恐ろしい白骨の腕を伸ばし、セバスチャンの首筋に冷たい指先を突き立てようとした、その瞬間。


「ちょっと待って!!!」


ヒナタの、路地裏の妖気を物理的に粉砕する「パーソナルトレーナー&管理栄養士ガチギレ・トーン」が響き渡った。


『……エッ?』


骨女は、白骨の腕を伸ばしたままカタッと固まった。

ヒナタは、四次元リュックをドンッと置き、鬼の形相で骨女の「肉のないスカスカの体」をビシッと指差した。


「あなた!! 美しく見られたいからって、そこまで極端な糖質制限と絶食ダイエットをするなんて正気の沙汰ですか!! 体脂肪率0%どころか、筋肉まで完全に落ち切った重度の『サルコペニア(筋肉減少症)』と『栄養失調』じゃないですか!! 基礎代謝を上げる筋肉がないから、自分で熱を作れなくて常に極度の『冷え性』に苦しんでるんでしょ!! だから他人の体温(生気)を吸おうとするんです!!」

『サ、サルコペニア……!? 基礎代謝ゼロ……!?』


骨女は、妖怪としての恐ろしい生態を「ただの筋肉不足による自家発電不能(冷え性)」として論理的に指摘され、顎の骨をガクガクと震わせた。


「大体、幻影で美しく見せかけるその姿勢!!」


ヒナタは、骨女の肋骨をビシッと指差した。


「表面上のメイクや幻術でごまかしても、土台となる『健康的な肉体』がなければ真の美しさとは言えません!! 女性ホルモンの分泌も完全にストップして、骨密度もスカスカの『骨粗鬆症こつそしょうしょう』寸前ですよ!! 真の美しさは、適切なタンパク質と筋力トレーニングから生まれるんです!! 美へのアプローチが完全に間違ってます!!」

『ほ、骨密度がスカスカ……!? 真の美しさは筋肉……!? いや、アタイは恐ろしい妖怪で……』


骨女は、自分のアイデンティティである「白骨の恐怖」を、「ボディメイク大失敗の末路」として全否定され、眼窩(目のくぼみ)からポロリと幻の涙をこぼした。


「今日から、徹底的な『バルクアップ(筋力増強)』と『高タンパク・高カロリーの食事療法』を行います!!」


ヒナタは、四次元リュックから、「特大サイズのホエイプロテイン(ダブルリッチチョコレート風味)」「プロテインシェイカー」「初心者向け・可変式ダンベル(まずは3キロから)」、そして「カルシウム&ビタミンDグミ」を取り出した。


「ゴズさん、骨女さんにダンベルを持たせて! ヴァレリアさん、プロテインを冷水でダマにならないようにシェイクして!!」

「ブモォッ!(おう! ガリガリのままじゃ力も出ねぇからな、しっかり鍛え直してやるぜ!)」

「ふむ。この粉末を黄金比で混ぜ合わせる……ポーション調合の修行だな」

『ナ、何ヲ……!? アタイノ恐ロシイ白骨ガ……!』

「【究極のボディメイク&基礎代謝爆上げ・バルクアッププログラム】です!!」


ヒナタたちの手により、骨女の白骨の手に、なみなみと注がれたプロテインドリンクが握らされた。


『……こ、こんなドロドロしたもの……アタイの骨身に……』


ゴクリ……。


『…………ッ!!? ウ、ウマい!! なんだこの濃厚なチョコレートの味わいは!! 飲んだそばから、スカスカだった骨の髄にアミノ酸が超特急で吸収され、失われたはずの筋繊維が猛烈な勢いで再構築されていくのを感じる……!! 体の奥底から熱が……熱が湧き上がってくるよォォッ!!』

「はい! エネルギーがチャージされたら、すぐに筋トレです! ゴールデンタイムを逃さないで!」


ヒナタのスパルタ指導の下、骨女は可変式ダンベルを持ち、ヒナタの「ワン! ツー! 筋肉が喜んでるよ!!」という掛け声に合わせて、アームカールとスクワットを泣きながら(カタカタ鳴らしながら)開始した。


数日後。

そこには、夜の路地裏で男の生気を吸い尽くす恐ろしい白骨妖怪の姿はなかった。


ホエイプロテインと毎日の筋トレによって、美しく引き締まった筋肉と適度な体脂肪(そして極上のツヤ肌)を取り戻し、健康的なスポーティ・ウェアに身を包んだ「王都No.1・大人気パーソナルトレーナー(美ボディのカリスマ)」として、女性たちに正しいダイエットと筋トレの素晴らしさを指導する、眩しいほどに美しい女性の姿があった。


『ワン! ツー! はい、そこのお姉さん、幻術メイクでごまかさずに、しっかり大胸筋を意識して! 筋肉は裏切らないわよ!!』


骨女(改め・美ボディトレーナー)は、健康的で弾けるような笑顔と、自らの熱い体温から発せられる圧倒的なオーラで、スタジオを熱狂させていた。


「……ゆ、勇者殿。恐ろしい白骨妖怪が……『極端なダイエットを反省し、プロテインと筋トレで真の美しさを手に入れたパーソナルトレーナー』になってしまいましたぞ……」


セバスチャンは、彼女の指導で自分も少し腹筋が割れてきたお腹をさすりながら、プロテインの定期購入契約書にサインをしていた。


【場所:天界・管理室】

『…………』


神ドラマスは、もこもこフリースの袖を無言でまくり上げた。


『骨女が……「極端なダイエットによるサルコペニア」と「基礎代謝ゼロ」を指摘され、プロテインを飲まされた……』

『白骨の姿は「ボディメイクの失敗」と全否定され、ダンベルでバルクアップさせられてパーソナルトレーナーになった……』


ドラマスは、深く、長く息を吐き出すと、もはや「肉体を持たないアンデッド」すら「栄養失調と筋力不足」として物理的(筋肉的)に解決してしまうヒナタに完全降伏し、通販サイトで「ホエイプロテイン(大容量3kg)」と「可変式ダンベルセット」をポチり、自らのたるみ始めた神の肉体を鍛え直し、真の美しさと基礎代謝(自家発電)を手に入れることを固く誓うのだった。

(第122話・完)


本日もお付き合いいただき、ありがとうございました!


ヒナタのマイペースな異世界蹂躙はまだまだ続きます。魔王軍の胃の痛みが限界を迎える前に、ぜひページ下部の【☆☆☆☆☆】からの評価や、ブックマークでの応援をよろしくお願いいたします!


皆様からの応援トラフィックが、毎日の更新の最大のエネルギーになっています!


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