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■第120話:恐怖の訪問者・ナマハゲ! ……えっ、脅かす前に「ダニの温床」と「恐怖によるしつけ(心理的虐待)」の説教ですか?

いつもお読みいただき、ありがとうございます!

それでは、本編をお楽しみください!


【場所:天界・管理室】

「……よし。最新型LEDランタンの優しい光のおかげで、神殿の夜がかつてないほどリラックス空間になっているぞ」


神ドラマスは、提灯お化けのエピソードから導入した安全な間接照明の光を浴びながら、ホットココアを片手にモニターを見下ろしていた。

画面の中では、ヒナタたちが雪深い北国の村を訪れ、村長のはからいで大きな古民家の囲炉裏で暖を取っているところだった。


「ほう! 雪国の怪異といえば、これ以上の適任はいない! 来訪神、ナマハゲの登場か!」


ドラマスは、ココアを置いて身を乗り出した。


「鬼の面を被り、わらみのを纏い、巨大な出刃包丁を手にして家に上がり込む! 『悪い子はいねがー!』という怒号と共に子供を震え上がらせる、絶対的なトラウマ製造機! いくらヒナタでも、この『伝統的かつ暴力的な家宅侵入』のプレッシャーには言葉を失うはずだ!!」


【場所:人間界・雪深い北国の村の古民家】

「う〜ん、外は猛吹雪ですが、囲炉裏の火はポカポカして最高ですねぇ」


ヒナタは、お餅を焼きながらニコニコとくつろいでいた。


「ゆ、勇者殿……! この村では大雪の夜、恐ろしい鬼の化け物が家々を襲撃して、子供を連れ去るという伝承が……!」


宰相セバスチャンが、戸締まりを何度も確認しながらガタガタと震えている。

その時だった。


ドンドンドンッ!! バァァァンッ!!

玄関の重い木の扉が乱暴に蹴り開けられ、吹雪と共に巨大な影が2体、上がり込んできた。


『ウオォォォォッ!! 悪い子はいねがァァァッ!! 泣く子はいねがァァァッ!!』


恐ろしい赤鬼と青鬼の面を被り、全身にバサバサの藁(ケデと呼ばれる蓑)を纏ったナマハゲである。

その手には、ギラリと光る巨大な出刃包丁(木製だが大迫力)が握られ、ドスドスと床を踏み鳴らしている。


「ひぃぃぃッ!! で、出たァァッ!! ナマハゲですぞォォッ!!」


セバスチャンが悲鳴を上げて囲炉裏の陰に隠れる。


『親の言うこと聞かねぇ悪い子は、この包丁で剥いて山の奥に連れてぐどォォォッ!!』


ナマハゲが、セバスチャン(お爺ちゃんだが)に包丁を突きつけ、大声で威嚇した、その瞬間。


「ちょっと待って!!!」


ヒナタの、猛吹雪の轟音すら完全にシャットアウトする「児童心理学者&ハウスクリーニング業者ガチギレ・トーン」が古民家に響き渡った。


『……ンア?』


ナマハゲ2体は、包丁を振り上げたままピタリと固まった。

ヒナタは、焼いていたお餅の網をドンッと置き、鬼の形相でナマハゲの「藁の衣装」をビシッと指差した。


「あなたたち!! 他人の家に土足で上がり込むだけでも不法侵入なのに、そんな何年も洗ってないようなバサバサの『わら』を着て暴れ回るなんて!! 藁からホコリや『ダニ』が大量に舞い上がって、ハウスダスト・アレルギーの原因になるじゃないですか!! 清潔な居住空間へのバイオテロですよ!!」

『ダ、ダニの温床……!? バイオテロ……!? いや、俺たちは神聖なる来訪神で……』


ナマハゲたちは、自慢の伝統衣装を「ただの不衛生なゴミの塊」として論破され、バサバサと藁を揺らすのをやめた。


「大体、その出刃包丁と怒号による脅し!!」


ヒナタは、ナマハゲが持っている包丁を取り上げ、真っ向から睨みつけた。


「『悪い子はいねがー!』って刃物で脅して言うことを聞かせようとするなんて、最悪の『恐怖によるしつけ(心理的虐待)』です!! 恐怖でコントロールされた子供は、自己肯定感が低下して他人の顔色ばかり伺うようになります! 現代の児童心理学アンガーマネジメントの真逆をいくトラウマの植え付けですよ!! 子育て支援を舐めてるんですか!!」

『し、心理的虐待……!? 最悪のしつけ……!?』


ナマハゲたちは、良かれと思ってやっていた伝統行事が、「子供の健全な発育を阻害する毒親メソッド」であると医学的・心理学的に詰められ、鬼の面の下で大粒の涙を流し始めた。


「今日から、徹底的な『ポジティブ・ペアレンティング(ほめ育)』と『衛生管理』を叩き込みます!!」


ヒナタは、四次元リュックから、「最新のダニ・ホコリを通さない高密度クリーン・エプロン」「子供用・よくできましたシール(特大シート)」、そして「児童心理学の専門書(自己肯定感の育て方)」を取り出した。


「ゴズさん、そのバサバサの藁を全部脱がせて外で焼却処分(もしくはお焚き上げ)して! ヴァレリアさん、床に落ちたダニとホコリを風魔法で一掃して!!」

「ブモォッ!(おう! 喘息の原因になるホコリは絶対に許さねぇぜ!)」

「ふむ。見えないダニを斬る(吹き飛ばす)……究極の空間清浄だな」

『ナ、何ヲ……!? 俺たちノ恐ロシイ威厳ガ……!』

「【究極のクリーン環境&自己肯定感爆上げ・サンタクロース化プログラム】です!!」


ヒナタたちの手により、ナマハゲから不衛生な藁が引っぺがされ、代わりに抗菌・防ダニ加工が施された「真っ白で清潔なクリーン・エプロン」が着せられた。


『おおっ……!? な、なんだこのツルツルした生地は……! 動いても全くホコリが出ないし、軽くてめちゃくちゃ動きやすいぞ……! ダニの痒みも全くない!!』


ナマハゲたちは、生涯で初めて味わう「清潔な衣類の快適さ」に感動し、無意識に体をスリスリとさすった。


「はい、見た目が清潔になったら、次は『しつけ』のアップデートです! 刃物で脅すのは禁止! これからは良いところを見つけて、全力で褒めて伸ばすんです!」


ヒナタは、ナマハゲたちの手に「よくできましたシール」と「キラキラのメダル」を持たせた。


「玄関を開けたら、『悪い子はいねがー!』じゃなくて、『いつも頑張ってる、えらい子はいねがー!!』って笑顔で入っていくこと! わかったら練習!!」

『い、いつも頑張ってる、えらい子はいねがーッ!!(ニコッ)』

『お片付けできた子には、この特製シールをあげるどォォォッ!!』


数日後。

そこには、大晦日に子供を恐怖のどん底に突き落とす恐ろしい化け物の姿はなかった。


清潔感あふれる真っ白なエプロンを着こなし、優しい声と満面の笑顔で各家庭を訪問しては、子供たちの長所を全力で褒めちぎる「雪国のカリスマ・保育クリエイター(ほめ育の伝道師)」として、子供たちから「ナマハゲ先生!」と大人気になっている心優しい青年たちの姿があった。


『ワーイ! ナマハゲ先生だー! 僕、今日ピーマン食べられたよ!』

『おおっ! えらいどォォォッ!! 最高のドヤ顔に、特大の「よくできましたシール」だァァァッ!!』


ナマハゲ先生たちは、かつての出刃包丁の代わりにシール帳を持ち、子供たちの自己肯定感を雪山より高く育て上げることに全力を注ぐのだった。


「……ゆ、勇者殿。伝統のトラウマ製造機が……『ダニを撲滅し、児童心理学をマスターした最高のほめ育サンタクロース』になってしまいましたぞ……」


セバスチャンは、満面の笑みでシールをおでこに貼られた子供たちを見つめながら、王国の教育プログラムにも「ナマハゲ式・ほめ育」を導入しようとメモを取っていた。


【場所:天界・管理室】

『…………』


神ドラマスは、静かにココアのカップを置いた。


『ナマハゲが……「ダニの温床になるバサバサの藁」と「恐怖による心理的虐待」を指摘され、防ダニエプロンを着せられた……』

『出刃包丁は没収され、「よくできましたシール」を持たされて、自己肯定感を育てるカリスマ保育士になった……』


ドラマスは、深く、長く息を吐き出すと、もはや「伝統的な恐怖行事」すら「不衛生と児童心理学の真逆」として完璧に論破し、超ホワイトな教育者に変えてしまうヒナタに完全降伏し、通販サイトで「部下を育てる『ほめ育』マネジメント術」の本と「天使用の『よくできましたシール』特大パック」をポチり、自らの神界の部下たちに対する怒号のマネジメントを改め、褒めて伸ばすホワイトな神を目指すことを固く誓うのだった。

(第120話・完)


本日もお付き合いいただき、ありがとうございました!


ヒナタのマイペースな異世界蹂躙はまだまだ続きます。魔王軍の胃の痛みが限界を迎える前に、ぜひページ下部の【☆☆☆☆☆】からの評価や、ブックマークでの応援をよろしくお願いいたします!


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