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■第116話:全裸の怪異・あかはだか! ……えっ、驚かす前に「公然わいせつ罪」と「皮膚バリアの喪失」の説教ですか?

いつもお読みいただき、ありがとうございます!

それでは、本編をお楽しみください!


【場所:天界・管理室】

「……ふぅ。ホットアイマスクとシルクのパジャマの組み合わせ、これ以上の極楽がこの世にあるだろうか」


神ドラマスは、百目鬼のエピソードから導入した快眠グッズに身を包み、スッキリとした瞳でモニターを見下ろしていた。

画面の中では、ヒナタたちが木枯らしの吹く、冷え込んだ夜の街道を歩いているところだった。


「ほう! 次なる怪異は、ついに『社会のルール』そのものを破壊しにきたか! その名もあかはだか!」


ドラマスは、マグカップを置いてニヤリと笑った。


「一糸まとわぬ全裸の姿で暗闇から飛び出し、遭遇した者の羞恥心と正気を一瞬で消し飛ばす狂気の妖怪! 物理攻撃も幻術もないが、『あまりにも目に毒すぎて直視できない』という最強の防御力(?)を誇る! さすがのヒナタも、このコンプライアンス度外視のバケモノには説教どころではないはずだ!!」


【場所:人間界・木枯らしの吹く夜の街道】

「う〜ん、今夜は一段と冷え込みますね。皆さん、風邪を引かないようにしっかり着込んでくださいね」


ヒナタは、マフラー(一反木綿)を首に巻き直し、白い息を吐きながら歩いていた。


「ゆ、勇者殿……! 前方の茂みが、ガサガサと揺れておりますぞ……!」


宰相セバスチャンが、杖を構えながらランタンの光を向けた。


『……ヒャァァァッハァァァァッ!!』


突然、茂みの中から奇声と共に「巨大な人影」が飛び出してきた。


「ひぃぃぃッ!! で、出たァァッ!! 敵襲ですぞォォッ!! ……って、えええッ!?」


セバスチャンの悲鳴が、途中で素っ頓狂な声に変わった。


飛び出してきた妖怪「あかはだか」は、その名の通り、文字通り「一糸まとわぬ完全な全裸」であった。

寒さのせいか全身の肌は真っ赤に紅潮し、不気味なポーズを取りながら、ヒナタたちの立ち塞がっている。


「くっ……! なんという破廉恥な化け物だ!! 目が腐るッ!!」


ヴァレリアが、顔を真っ赤にして即座に両手で目を覆い、背を向けた。


『ギャハハハッ!! 驚いたか人間ども! アタイのこのありのままの姿を見て、羞恥と恐怖に狂うがいい……!』


あかはだかが、さらに見せつけるように一歩前に出ようとした、その瞬間。


「ちょっと待って!!!」


ヒナタの、木枯らしを完全にフリーズさせる「風紀委員長&皮膚科医ガチギレ・トーン」が街道に響き渡った。


『……エッ?』


あかはだかは、全裸でポーズを決めたままピタリと固まった。

ヒナタは、四次元リュックをドンッと置き、一切目を逸らすことなく(オカンに羞恥心という弱点はない)、鬼の形相であかはだかの「むき出しの全身」をビシッと指差した。


「あなた!! こんな冷え込む夜更けの公道に、一糸まとわぬ全裸で飛び出してくるなんて正気の沙汰ですか!! それは妖怪の脅かしとかいう次元じゃなくて、完全に『公然わいせつ罪』および『軽犯罪法違反』です!! 子供がトラウマになったらどう責任を取るつもりですか!! 社会的コンプライアンスの欠如にも程があります!!」

『こ、公然わいせつ……!? コンプライアンス……!?』


あかはだかは、妖怪としての恐怖を「ただの変態(犯罪者)」として警察沙汰レベルで詰められ、思わず股間を両手で隠した。


「大体、その真っ赤になった肌!!」


ヒナタは今度、あかはだかのガタガタと震えている体を指差した。


「服を着ないということは、外気や乾燥、虫刺されから身を守る『皮膚のバリア機能』を完全に放棄しているということです!! 寒さで毛細血管が収縮して真っ赤(チアノーゼ寸前)になってるし、乾燥のせいで全身粉を吹いてガサガサじゃないですか!! 服は隠すためだけじゃなく、命と皮膚を守るための『絶対的なアーマー』なんですよ!!」

『ひ、皮膚のバリア機能……!?』


あかはだかは、言われてみれば木枯らしが肌に突き刺さるように痛く、常に全身が乾燥して痒かったことを思い出し、ブルブルと震えを加速させた。


「今日から、徹底的な『全身保湿』と『最新レイヤリング(重ね着)による防寒対策』を叩き込みます!!」


ヒナタは、四次元リュックから、「超高保湿・セラミド配合の全身用ボディミルク」「極暖・吸湿発熱コンプレッションインナー(上下)」「防風・透湿性に優れた最新のハイスペック・マウンテンパーカー」を取り出した。


「ゴズさん、風邪を引く前にあの人に保湿クリームを塗り込んで! ヴァレリアさん、目を逸らしたままでいいから風避けの結界をお願い!」

「ブモォッ!(おう! 変態だろうが風邪を引かせるわけにはいかねぇからな!)」

「ふむ。見ないまま剣圧で風の壁を作るなど……心眼の修行になるな」

『ナ、何ヲ……!? アタイノありのままノ姿ガ……!』

「【究極のスキンケア&コンプライアンス遵守・防寒コーディネート】です!!」


ゴズの太い手によって、あかはだかのガサガサに乾燥していた全身に、セラミドたっぷりのボディミルクが容赦なく、かつ念入りに塗り込まれていく。


『アァァァッ……!! こ、これは……! 砂漠のように乾ききっていた肌が、ミルクの保湿ベールでしっとりとコーティングされていく……! 木枯らしが吹いても肌が痛くない……!』

「はい、保湿が終わったらすぐに服を着て!! 肌の水分が逃げる前にフタをするんです!」


ヒナタは、あかはだかに「極暖コンプレッションインナー」をピッタリと着せ、その上からスタイリッシュなマウンテンパーカーとカーゴパンツを素早くコーディネートした。


『おおっ……!? な、なんだこのアーマーは……! インナーが体温を反射して自家発電のように温かい上に、アウターが冷たい風を完全にシャットアウトしてくれる……!』


あかはだかは、生涯で初めて味わう「衣類による圧倒的な安心感と温もり」に感動し、その場にしゃがみ込んで暖かさを噛み締めた。


「どうですか? 服を着た方が、圧倒的に快適で健康にもいいでしょう? ありのままの姿は、お風呂の時だけにして、外ではちゃんと『TPO(時と場所と場合)』をわきまえてくださいね!」


ヒナタが、満足げにウンウンと頷く。


数日後。

そこには、夜の街道に全裸で現れて人々を驚かせる変態妖怪の姿はなかった。


完璧なスキンケアでツヤツヤの美肌を維持しつつ、最新の高機能アウターをスタイリッシュに着こなす「王都認定・アウトドアアパレルのカリスマ専属モデル(重ね着のプロ)」として、ファッション誌の表紙を飾る洗練された人物の姿があった。


『ヒナタ先生! 服を着るって素晴らしいね! アタイ、これからは防寒とスキンケアの大切さを、最新のコーディネートで世界中に発信していくよ!』


元・あかはだかは、マウンテンパーカーの襟を立ててクールにポーズを決め、バッチリと服を着込んだまま颯爽と撮影スタジオへと向かっていくのだった。


「……ゆ、勇者殿。公然わいせつの怪異が……『TPOと皮膚バリアの大切さを説く、最新アパレルのカリスマモデル』になってしまいましたぞ……」


セバスチャンは、すっかりオシャレになったあかはだかのポスターを見上げながら、自分も新しい防寒着を買おうと心に誓っていた。


【場所:天界・管理室】

『…………』


神ドラマスは、静かにシルクのパジャマの襟元を正した。


『あかはだかが……「公然わいせつ罪」と「皮膚バリアの喪失」を指摘され、ボディミルクを塗りたくられた……』

『ありのままの姿は「コンプライアンス違反」と怒られ、極暖インナーとマウンテンパーカーを着せられてアパレルモデルになった……』


ドラマスは、深く、長く息を吐き出すと、もはや「全裸の恐怖」すら「社会のルールとスキンケアの欠如」として完璧に服を着せてしまうヒナタに完全降伏し、通販サイトで「超高保湿・大容量ボディクリーム」と「最新型・吸湿発熱インナー(上下セット)」をポチり、自らの神聖なる肌の潤いと防寒対策を極限まで追求することを固く誓うのだった。

(第116話・完)


本日もお付き合いいただき、ありがとうございました!


ヒナタのマイペースな異世界蹂躙はまだまだ続きます。魔王軍の胃の痛みが限界を迎える前に、ぜひページ下部の【☆☆☆☆☆】からの評価や、ブックマークでの応援をよろしくお願いいたします!


皆様からの応援トラフィックが、毎日の更新の最大のエネルギーになっています!


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