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■第115話:盗み癖の百目鬼! ……えっ、目を潰す前に「角膜剥離の危険」と「情報過多の脳疲労」の説教ですか?

いつもお読みいただき、ありがとうございます!

それでは、本編をお楽しみください!


【場所:天界・管理室】

「……ズズッ。うむ、無糖のブラックコーヒーが五臓六腑に染み渡る。特大防湿庫の湿度も完璧、空気清浄機の稼働も滑らか。神の仕事場としてこれ以上の環境はないな」


神ドラマスは、もはや「神殿」というより「意識高い系IT社長の最強リモートワーク部屋」と化した管理室で、最高級のエルゴノミクスチェアに深く腰掛けながらモニターを見下ろしていた。

画面の中では、ヒナタたちが王都の活気あふれるバザール(市場)を歩いていた。


「ほう! 次なる怪異は、欲望と業の深さが生んだ異形の女妖怪、百目鬼どどめきか!」


ドラマスは、コーヒーカップを置いてニヤリと笑った。


「他人の金を盗むという業を重ねた結果、両腕に100個もの不気味な鳥の目がビッシリと生えてしまった女! そのおぞましい集合体恐怖症トライポフォビア必至のビジュアルと、決して逃れられない100の視線の前に、ヒナタのド正論もついに目を背けて逃げ出すはずだ!!」


【場所:人間界・王都の巨大バザール】

「いやぁ、市場は活気があっていいですねぇ! あ、あそこのトマト美味しそう!」


ヒナタは、四次元リュックを背負ってルンルン気分で歩いていた。


「ゆ、勇者殿、スリが多いですからお気をつけて! ……むっ!?」


宰相セバスチャンが、前方を歩いていた女性の不審な動きに気づいた。

女性は、ボロボロの着物を深々と羽織り、すれ違いざまに商人の台からリンゴをスッと袖の中に隠し入れたのだ。


「そこの女! 止まりなさい! 窃盗ですぞ!」


セバスチャンが声を張る。


『……チッ。見つかっちまったか』


女は舌打ちをして立ち止まり、ゆっくりと振り返った。

そして、ニタリと不気味な笑みを浮かべると、着物の両袖をバサリとまくり上げた。


「ひぃぃぃッ!! で、で、出たァァッ!! 腕に……腕に無数の目がァァッ!!」


セバスチャンが泡を吹いてひっくり返る。

女の細い両腕には、手首から肩にかけて、血走った「100個の不気味な眼球」がビッシリと生え揃い、ギョロギョロと周囲を睨み回していたのだ。


『ギャハハハッ!! 驚いたか人間ども! アタイは百目鬼! この100の目は、お前たちの動きをすべて捉える! 逃げ場なんてどこにもないよォォッ!!』


百目鬼が、無数の目を一斉に瞬きさせながら、鋭い爪を立ててヒナタに襲いかかろうとした、その瞬間。


「ちょっと待って!!!」


ヒナタの、バザールの喧騒を完全に静まり返らせる「眼科医&心療内科医ガチギレ・トーン」が響き渡った。


『……エッ?』


百目鬼は、両腕を振り上げたままピタリと固まった。

ヒナタは、四次元リュックをドンッと置き、鬼の形相で百目鬼の「無数の目玉が生えた腕」をビシッと指差した。


「あなた!! 腕に直接『眼球(むき出しの角膜)』が100個もついているのに、そんなゴワゴワの麻の着物を直に着るなんて正気の沙汰ですか!! 腕を振るたびに裏地と眼球がゴリゴリ擦れ合って、『重度の角膜剥離かくまくはくり』を起こしてるじゃないですか!! ほら、どの目も真っ赤に充血して涙目になってる!! 激痛でしょうが!!」

『か、角膜剥離……!?』


百目鬼は、言われてみれば常に腕全体に「砂利をこすりつけられているような凄まじい激痛と乾燥」があったことを思い出し、両腕をワナワナと震わせた。


「大体、100個の目から視覚情報を取り込むなんて!!」


ヒナタは今度、百目鬼の疲れ切った顔を指差した。


「人間の視覚野(脳)のスペックで、100のカメラ映像を同時処理できるわけないでしょう!! 脳が完全に『情報過多オーバータスク』を起こして、慢性的な偏頭痛と自律神経失調症になってますよ!! あなたがスリを繰り返すのは、その極限の脳疲労とストレスから逃れるための『依存症(窃盗症・クレプトマニア)』です!! 病気なんですよ!!」

『お、オーバータスク……!? 窃盗症……!? いや、アタイは盗みの業で妖怪に……』


百目鬼は、自分の業の深さが「ただの脳のキャパオーバーとストレス行動」として医学的に論破され、100の目からポロポロと痛みのドライアイを流し始めた。


「今日から、徹底的な『角膜保護』と『視覚情報の遮断デジタルデトックス』を行います!!」


ヒナタは、四次元リュックから、「シルク100%・摩擦ゼロの特注ロングアームカバー」「腕用・特大ホットアイマスク(ラベンダーの香り)」「防腐剤フリー・高保水ヒアルロン酸目薬(特大ボトル)」、そして「高濃度ルテイン&ブルーベリーサプリメント」を取り出した。


「ゴズさん、百目鬼さんを椅子に座らせて! ヴァレリアさん、100個の目全部に素早く目薬を点眼して!!」

「ブモォッ!(おう! 痛くて泣いてる目を放置できねぇからな!)」

「ふむ。100の的へ同時に雫を落とす……私の剣の精密動作(百裂突き)の神髄を見せよう」

『ナ、何ヲ……!? アタイノ呪ワレタ腕ガ……!』

「【究極のアイケア&脳疲労リセット・プログラム】です!!」


ヴァレリアの目にも止まらぬ神速の点眼(ヒアルロン酸)により、100の目にたっぷりの潤いが与えられ、続いてヒナタの手によって、腕全体を包み込む「特大ホットアイマスク」が装着された。


『アァァァッ……!! じ、じんわりと温かい……! ずっとヒリヒリして痛かった角膜が、ヒアルロン酸の保水ベールと蒸気で優しく保護されていく……! そして何より……「暗闇」がめちゃくちゃ脳に優しい……!!』


百目鬼は、100の視界が完全に遮断されたことで、パンク寸前だった脳(視覚野)がスゥーッと静まり返るのを感じ、深く、深い深呼吸をした。


「はい、角膜の痛みが引いたら、この『シルク100%のアームカバー』を着けてください! これならどんなに動いても摩擦ゼロです!」


百目鬼がホットアイマスクを外し、ヒナタの用意した真珠のように滑らかなアームカバーに腕を通す。


『……っ!! 痛くない! 腕を振っても、着物の裏地が目にチクチク刺さらないよ!! こんなに体が軽いのは妖怪になってから初めてだ……!』


数日後。

そこには、スリを繰り返して路地裏を徘徊する、血走った目の女妖怪の姿はなかった。


最高級のシルクのアームカバーで腕(目)を優しく保護し、ルテインのサプリを飲みながら、王都の治安を守る中央監視室で「100の視界を駆使して街中の防犯カメラを同時監視する、最強のセキュリティ・オペレーター」として、ブルーライトカット眼鏡をかけて活き活きと働く有能な女性の姿があった。


『ヒナタ先生! 角膜を保護して脳を休めたら、もう他人のものを盗みたいなんていうストレスは完全に消え去ったよ! アタイのこの目は、王都の平和を守るために使うね!』


百目鬼は、モニターから一切目を逸らさずに、感謝の言葉とウインク(本人の顔の目で)を飛ばした。


「……ゆ、勇者殿。集合体恐怖症必至の女妖怪が……『摩擦ゼロのシルクに感動し、情報処理能力を活かして防犯の要となった凄腕オペレーター』になってしまいましたぞ……」


セバスチャンは、百目鬼の圧倒的なマルチタスク能力に感心し、王国の警備システムが盤石になったことに安堵の息を漏らしていた。


【場所:天界・管理室】

『…………』


神ドラマスは、ブラックコーヒーの入ったマグカップを静かに置いた。


『百目鬼が……「衣類の摩擦による角膜剥離」と「情報過多の脳疲労」を指摘され、ヒアルロン酸目薬を100滴さされた……』

『窃盗症は「ただのストレス」と診断され、シルクのアームカバーとホットアイマスクで最強のセキュリティ・オペレーターになった……』


ドラマスは、深く、長く息を吐き出すと、もはや「業の深さが生んだ異形」すら「皮膚科学的摩擦と眼精疲労の末路」として論破するヒナタに完全降伏し、通販サイトで「シルク100%の高級パジャマ」と「充電式・ホットアイマスク」をポチり、自らの酷使しすぎた神の眼(モニター監視)と脳を、今夜はゆっくりと休ませることを固く誓うのだった。

(第115話・完)


本日もお付き合いいただき、ありがとうございました!


ヒナタのマイペースな異世界蹂躙はまだまだ続きます。魔王軍の胃の痛みが限界を迎える前に、ぜひページ下部の【☆☆☆☆☆】からの評価や、ブックマークでの応援をよろしくお願いいたします!


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