■第111話:黒雲の合成獣・鵺! ……えっ、襲いかかる前に「変温動物の体温管理」と「消化管サポート」の説教ですか?
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それでは、本編をお楽しみください!
【場所:天界・管理室】
「……ウィイイイン。うむ、最新型電動歯ブラシの音波振動、歯垢が根こそぎ吹き飛ぶ感覚がたまらんぞ。ハリウッドスマイルも夢ではないな」
神ドラマスは、お歯黒べったりのエピソードから学んだ究極のオーラルケアを実践し、ピカピカに輝く白い歯を鏡で確認して満足げに頷いていた。
画面の中では、ヒナタたちが王都の御所近く、不気味な黒雲が立ち込める夜の森を警戒しながら進んでいた。
「ほう! ついに大物妖怪、鵺のお出ましだな!」
ドラマスは、電動歯ブラシを置いて身を乗り出した。
「サルの顔にタヌキの胴体、トラの手足を持ち、尻尾は毒ヘビ! 『ヒョー、ヒョー』というトラツグミのような気味の悪い声で鳴き、人々に病や災いをもたらす最凶の合成獣! 複数の生物の長所を掛け合わせたこの最強の殺戮能力の前に、ヒナタの物理ド正論もついに八方塞がりとなるはずだ!!」
【場所:人間界・御所周辺の夜の森】
「う〜ん、今夜は随分と空気が澱んでますね。少し冷えます」
ヒナタは、カーディガンを羽織りながら上空の黒雲を見上げた。
「ゆ、勇者殿……! あの黒雲の中から、この世のものとは思えない恐ろしい鳴き声が……!」
宰相セバスチャンが、胃薬を握りしめながら天を指差した。
『……ヒョー……ヒョォォォ……』
不気味な鳴き声と共に、黒雲が猛スピードで地上へと降下してくる。
そして、木々をなぎ倒して姿を現したのは、複数の獣が入り混じった異形の化け物――鵺であった。
「ひぃぃぃッ!! で、出たァァッ!! サルとトラとヘビが混ざっておりますぞォォッ!!」
セバスチャンが絶叫する。
『愚かな人間どもよ……。我は災いを呼ぶ妖獣……。その肉を引き裂き、骨を砕き、絶望のどん底へ……ウグッ』
鵺が、トラの鋭い爪を振り上げ、ヘビの尻尾でヒナタたちに襲いかかろうとした、その瞬間。
「ちょっと待って!!!」
ヒナタの、鵺の鳴き声すら完全に打ち消す「凄腕・獣医師&エキゾチックアニマル専門家」が響き渡った。
『……エッ?』
鵺は、トラの爪を振り上げたまま、不自然な姿勢でピタリと固まった。
ヒナタは、四次元リュックをドンッと置き、鬼の形相で鵺の「複雑すぎる体」をビシッと指差した。
「あなた!! 恒温動物と変温動物を一つの体にドッキングさせるなんて、生体システムとして完全に破綻してますよ!! 哺乳類の体温に引っ張られてヘビの尻尾が『極度のオーバーヒート』を起こすか、逆に夜の冷気でヘビの血が冷えてトラの手足が『重度の血行不良』を起こすかの二択じゃないですか!! 自律神経がメチャクチャですよ!!」
『お、オーバーヒート……!? 自律神経……!?』
鵺は、言われてみれば常に尻尾がのぼせ上がり、手足は冷え性でガクガクしているという「慢性的な体調不良」を指摘され、サルの顔をひきつらせた。
「大体、その気味の悪い鳴き声!!」
ヒナタは、鵺の抑えていたお腹(タヌキの胴体)を指差した。
「それは災いを呼ぶ声じゃなくて、ただの『激しい胃痛のうめき声』です!! 雑食のサルと肉食のトラの消化酵素が胃の中で大喧嘩して、腸内環境が完全に崩壊(過敏性腸症候群)してるじゃないですか!! 食べたものが消化不良でガスが溜まって、痛くて泣いてるだけでしょ!!」
『い、胃痛のうめき声……!? 腸内環境崩壊……!?』
鵺は、自分の恐ろしい妖怪としてのアイデンティティが、「ただの重度のお腹の急降下と自律神経失調症」として論破され、ポロリとサルの目から涙をこぼした。
「今日から、徹底的な『部位別・体温管理』と『消化管サポート(獣医基準)』を行います!!」
ヒナタは、四次元リュックから、「爬虫類用・局所冷却&保温マット」「獣医師推奨・消化器サポート用ハイエナジー療法食」「高機能・自律神経調整ウェア(キメラ特注サイズ)」を取り出した。
「ゴズさん、鵺の体を固定してウェアを着せやすくして! ヴァレリアさん、ヘビの尻尾の部分に冷却マットを巻いてあげて!!」
「ブモォッ!(おう! 胃腸炎は冷えが大敵だからな! しっかりケアしてやるぜ!)」
「ふむ。この複雑な体温調節、異なる属性魔法を同時に操るような難易度だな」
『ナ、何ヲ……!? 我ノ最凶ノ殺戮能力ガ……!』
「【究極のキメラ向け・ホリスティック獣医療&体温マネジメント・プログラム】です!!」
ヒナタは、まず鵺の複雑な体に「自律神経調整ウェア」を着せ、トラの手足(冷え性)には遠赤外線ヒーターを、ヘビの尻尾には爬虫類専用の冷却マットをピンポイントで装着した。
『アァァァッ……!! こ、これは……! 常にのぼせていた尻尾が適温に冷やされ、冷え切っていた手足が芯から温まっていく……! 狂っていた体温調節機能が、外部からのサポートで完璧に整えられていくぞ……!』
鵺は、生涯で初めて味わう「全身の快適な温度バランス」に感動し、トラの足でフミフミと歓喜のステップを踏んだ。
「はい、体温が整ったら、次は『腸内環境の改善』です!」
ヒナタは、消化に極めて優れ、あらゆる動物の胃腸に負担をかけない「特別療法食(ペースト状)」をサルの口に運んだ。
「キメラの複雑な胃腸には、無闇に生肉や果物を食べてはいけません! この高消化性の療法食で、まずは荒れ果てた胃粘膜を休ませなさい!」
鵺が療法食をペロリと舐めると……。
『……ウマい! そして、常にキリキリと痛み、ガスが溜まって張っていたお腹が、スゥーッと楽になっていく……! 消化不良の苦しみが消えたぞ……!』
数日後。
そこには、黒雲と共に現れ、不気味な声で鳴く恐ろしい化け物の姿はなかった。
部位別の完璧な体温管理と療法食により、トラの毛並みはツヤツヤ、ヘビの鱗はピカピカに輝き、「ヒョー、ヒョー」という胃痛の鳴き声もすっかり消え去った、「王都・エキゾチックアニマル保護協会の公式親善大使」として、子供たちに大人気のモフモフ&ツルツルなキメラ動物が、愛嬌たっぷりにサルの笑顔を振りまいていた。
『ウッキー! ヒナタ先生のおかげで、もうお腹も痛くないし体調も最高だぜ! 災いを呼ぶ妖怪なんて辞めて、これからは複雑な体を持つエキゾチックアニマルたちの健康を守るシンボルとして生きるよ!』
鵺は、ヘビの尻尾で器用にサイン(肉球マーク)を書きながら、ファンサービスに勤しむのだった。
「……ゆ、勇者殿。最凶の合成獣が……『自律神経を整え、胃腸炎を克服した大人気のエキゾチックアニマル親善大使』になってしまいましたぞ……」
セバスチャンは、鵺のツヤツヤのタヌキ腹を撫でさせてもらいながら、動物の健康管理の奥深さに深く感嘆していた。
【場所:天界・管理室】
『…………』
神ドラマスは、ピカピカの歯を見せたまま、静かに鏡を伏せた。
『鵺が……「恒温動物と変温動物の同居による自律神経崩壊」を指摘され、部位別の温度管理ウェアを着せられた……』
『不気味な鳴き声は「ただの過敏性腸症候群」と診断され、消化器サポート療法食でエキゾチックアニマル親善大使になった……』
ドラマスは、深く、長く息を吐き出すと、もはや「キメラの恐怖」すら「獣医学的な飼育環境の不備」として論破するヒナタに完全降伏し、通販サイトで「部位別・温度コントロール機能付きの最新型高級マットレス」と「腸内環境改善サプリメント」をポチり、自らの睡眠時の体温管理と胃腸の健康を極限まで追求することを固く誓うのだった。
(第111話・完)
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ヒナタのマイペースな異世界蹂躙はまだまだ続きます。魔王軍の胃の痛みが限界を迎える前に、ぜひページ下部の【☆☆☆☆☆】からの評価や、ブックマークでの応援をよろしくお願いいたします!
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