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■第105話:盲目の怨念・手の目! ……えっ、捕まえる前に「結膜炎のリスク」と「手洗いの徹底」の説教ですか?

いつもお読みいただき、ありがとうございます!

それでは、本編をお楽しみください!


【場所:天界・管理室】

「……ゴクゴク。うむ、低GI・高タンパク弁当は腹持ちが良い上に、食後の眠気も来ないな」


神ドラマスは、二口女のエピソードで学んだ「正しい食生活」を実践し、スッキリとした頭でモニターを見下ろしていた。

画面の中では、ヒナタたちが夜の王都の郊外、古びた墓地が並ぶ暗い獣道を歩いていた。


「ほう、次なる怪異は手のてのめか!」


ドラマスは、健康的な姿勢で身を乗り出した。


「強盗に殺された盲目の男の怨念! 犯人の顔を見たいという執念から、両手のひらに『巨大な目玉』を宿し、夜な夜な両手を前に突き出して獲物を探して走り回る恐怖のバケモノ! この純粋な殺意と、不気味極まりない造形を前に、ヒナタの生活指導はどう立ち向かうのだ!?」


【場所:人間界・夜の墓地】

「う〜ん、夜の散歩も食後の運動にはちょうどいいですね!」


ヒナタは、月明かりの下でルンルンと歩いていた。


「ゆ、勇者殿……! 墓地の散歩など、消化に悪いだけですぞ……!」


宰相セバスチャンがランタンを震わせていると、前方から「カサッ……カサッ……」と落ち葉を踏む音が近づいてきた。


『……どこだ……。俺の金を奪った奴は、どこだぁぁ……』


暗闇の中から現れたのは、ボロボロの着物を着た盲目の老人だった。

しかし、その顔には目がない。代わりに、前に突き出された「両手のひら」に、ギョロリと血走った巨大な眼球が埋め込まれ、ヒナタたちをねめ回していた。


「ひぃぃぃッ!! で、出たァァッ!! 手のひらに目玉がついておりますぞォォッ!!」


セバスチャンが悲鳴を上げて後ずさる。


『ヒヒヒ……。見つけたぞ……。お前たちか……俺を殺したのは……!』


手の目が、両手のひらの目玉をギラギラと光らせ、鋭い爪を立ててヒナタの顔面めがけて飛びかかろうとした、その瞬間。


「ちょっと待って!!!」


ヒナタの、深夜の墓地に響き渡る「眼科医&公衆衛生局ガチギレ・トーン」が炸裂した。


『……エッ?』


手の目は、両手を突き出したまま空中でピタリと固まった。

ヒナタは、四次元リュックをドンッと置き、手の目の「手のひらの眼球」をビシッと指差した。


「あなた!! 人間の体で一番色々なものを触って、一番雑菌だらけになる『手のひら』に、無防備な眼球(粘膜)を直結させるなんて正気の沙汰ですか!! アデノウイルスなどの『接触感染』で、重度の『流行性角結膜炎(はやり目)』になりますよ!!」

『け、結膜炎……!? はやり目……!?』


手の目は、聞き慣れない眼科用語に思わず両手(目玉)をパチクリとさせた。


「大体、そんな低い位置で目を剥き出しにして泥の上を這い回るなんて!!」


ヒナタは、手の目の血走った眼球を指差した。


「地面の砂埃がモロに入って『角膜』が傷だらけじゃないですか!! しかも風に晒され続けて重度の『ドライアイ』! まばたき(手を開き閉じること)も足りてないから涙のバリアが完全に崩壊してます!! 失明したいんですか!!」

『ド、ドライアイ……!? 角膜が傷だらけ……!?』


手の目は、言われてみれば最近、手が……いや、目がずっとショボショボして、ゴロゴロとした異物感に悩まされていたことを思い出し、震え上がった。


「今日から、徹底的な『眼球洗浄』と『バリアフリー歩行』の指導を行います!!」


ヒナタは、四次元リュックから、「医療用・洗眼薬(専用カップ付き)」「防腐剤フリーのヒアルロン酸配合目薬」「手の目専用・透明ポリカーボネート製保護グローブ」、そして「視覚障害者用の白杖はくじょう」を取り出した。


「ゴズさん、手をしっかり洗うための綺麗な水を用意して! ヴァレリアさん、周囲の砂埃が立たないように風魔法でガードを!!」

「ブモォッ!(おう! 目の病気はうつるからな、手洗いは基本だぜ!)」

「ふむ。この繊細な風のコントロール、剣の太刀筋をブレさせない良い修行になる」

『ナ、何ヲ……!? 俺ノ怨念ガ……!』

「【究極のアイケア&バリアフリー・サポートプログラム】です!!」


ヒナタは、まず手の目の両手を(目を傷つけないよう慎重に)抗菌石鹸でピカピカに洗い上げた。

そして、専用のカップに洗眼薬を注ぎ、「はい、手をカップに押し当てて、瞬きして!」と眼球の汚れとホコリを徹底的に洗い流した。


『アァァァッ……!! ま、真っ赤に充血してゴロゴロしていた目が……ひんやりとした薬液で洗われて、信じられないくらいスッキリしていく……! 視界のモヤモヤが消えたぞ……!』

「はい、仕上げに高保湿の目薬です! そして、歩く時はこの『透明保護グローブ』を必ず着けること! これなら視界を遮らずに、物理的なダメージとウイルスから眼球を守れます!」


ヒナタは、手の目に特注の透明グローブを装着させた。


『おおっ……! これなら泥を触っても目が痛くない! 風も防げるから、目が乾かないぞ!!』

「最後に、これです!」


ヒナタは、手の目に「白杖」を手渡した。


「手を前に突き出して歩くのは姿勢も悪くなるし危険です! これからは、ちゃんと白杖を使って足元の安全を確認しながら、正しい姿勢で歩きなさい!」


数十分後。

そこには、闇夜で獲物を狙う恐ろしい怨霊の姿はなかった。


透明な保護グローブ越しに潤いを取り戻したキラキラの目(手)を輝かせ、白杖をリズミカルに突いて安全確認しながら、背筋をピンと伸ばして歩く「アイケアを徹底した、交通安全の伝道師」が、夜の墓地を軽快に歩いていた。


『ありがとう、ヒナタ先生!! 俺、もう怨みで人を襲うのはやめるよ! この綺麗な目と白杖を使って、王都の「バリアフリー推進委員長」として、みんなが安全に歩ける街づくりに貢献するぜ!!』


手の目は、透明グローブ越しにウインク(手をグーパー)をして、意気揚々と夜明けの街へと向かっていった。


「……ゆ、勇者殿。盲目の怨念が……『ドライアイを克服し、バリアフリーを推進する安全確認のプロ』になってしまいましたぞ……」


セバスチャンは、手の目のあまりにも正しい白杖の使いこなしに見惚れながら、自分も夜道の足元には気をつけようと深く頷くのだった。


【場所:天界・管理室】

『…………』


神ドラマスは、無言でモニターを見つめていた。


『手の目が……「はやり目」と「ドライアイ」を指摘され、洗眼薬で眼球を洗われた……』

『挙句の果てに、透明グローブと白杖を与えられ、バリアフリー推進委員長になった……』


ドラマスは、深くため息をつくと、最近のモニター見過ぎによる目のショボショボ感を自覚し、通販サイトで「高保湿の防腐剤フリー目薬」と「眼精疲労回復用の温感アイマスク」をポチり、自らのアイケアを徹底することを固く心に誓うのだった。

(第105話・完)


本日もお付き合いいただき、ありがとうございました!


ヒナタのマイペースな異世界蹂躙はまだまだ続きます。魔王軍の胃の痛みが限界を迎える前に、ぜひページ下部の【☆☆☆☆☆】からの評価や、ブックマークでの応援をよろしくお願いいたします!


皆様からの応援トラフィックが、毎日の更新の最大のエネルギーになっています!


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