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■第104話:暴食の怪異・二口女! ……えっ、ドカ食いの前に「過度なダイエットの反動」と「髪の油汚れ」の説教ですか?

いつもお読みいただき、ありがとうございます!

それでは、本編をお楽しみください!


【場所:天界・管理室】

「……ふぅ。アミノ酸系スカルプシャンプーの泡立ち、素晴らしいな。頭皮が深呼吸しているようだ」


神ドラマスは、海坊主から学んだ究極のバスタイムを満喫し、バスローブ姿で優雅にモニターを見下ろしていた。

画面の中では、ヒナタたちが王都の豪商の屋敷を訪れていた。


「ほう、次なる怪異は二口女ふたくちおんなか!」


ドラマスは、バスローブの帯を締め直して身を乗り出した。


「食事を全く摂らない貞淑な妻の正体は、後頭部に巨大な第二の口を持ち、髪の毛を触手のように操って飯を貪り食う化け物! 食欲という人間のごうが生み出した、おぞましい怪異だ。この尽きることのない暴食の恐怖に、ヒナタのド正論はどう立ち向かうのだ!?」


【場所:人間界・豪商の屋敷(深夜)】

「ゆ、勇者殿……。この屋敷、夜な夜な食料庫が空っぽになるという怪現象が起きているそうですぞ……」


セバスチャンがランタンを片手に震えている。

一行が食料庫の扉をそっと開けて覗き込むと、そこには屋敷の主の妻が背を向けて座っていた。

しかし、その光景は異様だった。


パカッ……!

妻の後頭部の髪が割れ、そこから鋭い牙の生えた「巨大な第二の口」が姿を現したのだ。

さらに、彼女の長い黒髪がまるで生き物のようにウネウネと動き、食料庫にある唐揚げや炒飯、ケーキなどを次々と掴み取り、後頭部の口へと猛スピードで放り込んでいく!


『モグモグモグ……! 足りない……もっと、もっと食わせろォォッ!!』


後頭部の口が、不気味な声で咆哮する。


「ひぃぃぃッ!! で、出たァァッ!! 髪の毛が動いて、後頭部がメシを食っておりますぞ!!」


セバスチャンが悲鳴を上げる。

その声に反応し、二口女の髪の毛(触手)がヒナタたちへと襲いかかろうとした、その瞬間。


「ちょっと待って!!!」


ヒナタの、深夜の食料庫に響き渡る「管理栄養士&カリスマ美容師ガチギレ・トーン」が炸裂した。


『……エッ?』


二口女の髪の毛は、唐揚げを掴んだまま空中でピタリと固まった。

ヒナタは、四次元リュックをドンッと置き、妻の「ゲッソリ痩せた顔」と「後頭部の口」を交互にビシッと指差した。


「あなた!! 昼間は『私、少食なんです』ってアピールするために一切ご飯を食べず、夜中に極度の空腹ストレスから裏(後頭部)でドカ食いしてるだけじゃないですか!! それは妖怪じゃなくて、過度な食事制限ダイエットの反動による『重度の過食症ストレス・リバウンド』です!!」

『か、過食症……!? リバウンド……!?』


二口女は、図星を突かれて後頭部の口をモゴモゴさせた。


「大体、その髪の毛!!」


ヒナタは、唐揚げの油でギトギトになった黒髪を指差した。


「美しい髪をフォーク代わりに使うなんて、衛生観念が崩壊してます!! 揚げ物の油やソースが髪にベッタリこびりついて、キューティクルが死滅してるじゃないですか! そのまま寝たら枕が油まみれになって、頭皮に雑菌が繁殖して重度のニキビと抜け毛を引き起こしますよ!!」

『きゅ、キューティクルが死滅……!? 抜け毛……!?』


女性にとって「抜け毛」というワードは、どんな呪いよりも恐ろしい響きを持っていた。二口女は、油まみれの自分の髪を見て悲鳴(前と後ろの口で同時に)を上げた。


「今日から、徹底的な『食生活の改善』と『ディープクレンジング・ヘアケア』を行います!!」


ヒナタは、四次元リュックから、「低GI・高タンパクな栄養満点弁当(蒸し鶏とキヌアのサラダ)」「油汚れを根こそぎ落とす炭酸スカルプクレンジング」「超・高純度ヘアリペアマスク」を取り出した。


「ゴズさん、食料庫の鍵を閉めて物理的なドカ食いを防いで! ヴァレリアさん、お湯を出して髪を洗う準備を!!」

「ブモォッ!(おう! 深夜のドカ食いは万病の元だからな!)」

「ふむ。この油汚れ、私の剣のサビ落としより手強いかもしれんな」

『ナ、何ヲ……!? 私ノ満タサレヌ食欲ガ……!』

「【究極のメンタル&ヘア・デトックス・プログラム】です!!」


ヒナタは、二口女を強引に椅子に座らせ、まずは温かいお湯と炭酸クレンジングで、唐揚げの油やソースでギトギトになっていた髪を、丁寧に、しかし容赦なく洗い上げ始めた。


『アァァァッ……!! 炭酸の泡が、頭皮の毛穴の奥の油汚れまでジュワァァッと分解していく……! ガサガサだった髪に、リペアマスクの栄養が浸透して、信じられないくらいサラサラになっていくわ……!』

「はい、髪が綺麗になったら、次は『正しい食事』です!」


ヒナタは、栄養満点のお弁当を妻の【前の口】に差し出した。


「無理なダイエットは絶対に禁止! 血糖値を急激に上げない『低GI食品』と、良質な『タンパク質』を、1日3食、前の口からしっかり噛んで食べなさい! そうすれば、ストレスも消えて夜中の異常な食欲も収まります!」


妻は、恐る恐る前の口でサラダを咀嚼そしゃくした。


『……美味しい。それに、お腹の底から満たされるような安心感が……』


正しい栄養と咀嚼による満腹中枢への刺激。そして、過度なダイエットから解放された精神的な安堵感。

それらが妻の心身を満たしていくと……後頭部にパックリと開いていた「第二の口」は、見る見るうちに小さくなり、最後は跡形もなく消え去ってしまった。


数日後。

そこには、夜な夜な食料を食い荒らす恐ろしい妖怪の姿はなかった。

極端なダイエットをやめ、3食しっかり食べて適度に運動することで、ツヤツヤの美肌とサラサラの黒髪を手に入れた「超健康的なカリスマ・ダイエットアドバイザー」が、王都の女性たちに「無理な食事制限の危険性」を熱心に説く姿があった。


「……ゆ、勇者殿。尽きることのない暴食の怪異が……『過度なダイエットを反省し、ヘアケアに目覚めた健康アドバイザー』になってしまいましたぞ……」


セバスチャンは、深夜のドカ食いを我慢しようと、そっと自分の胃のあたりを押さえるのだった。


【場所:天界・管理室】

『…………』


神ドラマスは、バスローブの胸元を静かに合わせた。


『二口女が……「過剰なダイエットの反動(過食症)」と診断され、炭酸クレンジングで髪を洗われた……』

『髪を触手にするのは「キューティクルが死滅する」と怒られ、低GI食品で食生活を改善させられた……』


ドラマスは、深く、長く息を吐き出すと、もはや「人間の業」すら「栄養バランスと衛生観念の欠如」として論破するヒナタに完全降伏し、自らの健康のため、通販サイトで「低GI・高タンパク弁当の定期便」をポチり、バランスの取れた食生活を固く心に誓うのだった。

(第104話・完)


本日もお付き合いいただき、ありがとうございました!


ヒナタのマイペースな異世界蹂躙はまだまだ続きます。魔王軍の胃の痛みが限界を迎える前に、ぜひページ下部の【☆☆☆☆☆】からの評価や、ブックマークでの応援をよろしくお願いいたします!


皆様からの応援トラフィックが、毎日の更新の最大のエネルギーになっています!


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