■第106話:重圧の妖・子泣き爺! ……えっ、押し潰す前に「人間工学を無視した抱っこ姿勢」と「腰痛・ヘルニア予防」の説教ですか?
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それでは、本編をお楽しみください!
【場所:天界・管理室】
「……ポタッ、ポタッ。うむ、防腐剤フリーの目薬は確かに目に優しい。視界が極めてクリアだぞ」
神ドラマスは、手の目のエピソードから学んだ完璧なアイケアをこなし、潤いのある瞳でモニターを見下ろしていた。
画面の中では、ヒナタたちが鬱蒼とした夜の森を歩いていた。
「ほう! 新たな刺客は子泣き爺か!」
ドラマスは、目薬のキャップを閉めてニヤリと笑った。
「赤ん坊の声で同情を誘い、抱き上げた者の腕の中でどんどん重さを増し、最終的には石のように重くなって命を奪う非道な妖怪! 物理的な『超重量』と、赤ん坊を放り出せないという人間の『良心』を突いたこのトラップに、ヒナタのド正論はどう立ち向かうのだ!?」
【場所:人間界・夜の森】
「おぎゃあ……おぎゃあ……!」
静まり返った夜の森に、か細い赤ん坊の泣き声が響き渡った。
「ゆ、勇者殿! こんな夜更けの森に赤ん坊が捨てられておりますぞ!」
宰相セバスチャンが、茂みの中に丸まっている小さな布包みを見つけて駆け寄った。
「おお、可哀想に……! 今、助けてあげますからな!」
セバスチャンが腰を屈め、優しくその布包みを抱き上げようとした。
しかし、その顔を見た瞬間、セバスチャンは息を呑んだ。
『ヒヒヒ……! 抱イタナ人間……!』
布の中にいたのは、赤ん坊ではなく、シワくちゃの醜い老人の顔をした妖怪――子泣き爺だった。
「ひぃぃぃッ!! で、出たァァッ!! 赤ん坊ではなく、お爺さんですぞォォッ!!」
セバスチャンが驚いて手を離そうとしたが、子泣き爺はセバスチャンの首にガッチリとしがみついて離れない。
『モット……モット重クナルゾォォ……!』
子泣き爺の体が、50キロ、100キロと、急激に質量を増していく。
「ぐ、ぐわぁぁぁッ!! 腰が……! 私の腰椎が砕けそうですぞォォッ!!」
セバスチャンの顔が苦痛に歪み、今にも地面に押し潰されそうになった、その瞬間。
「ちょっと待って!!!」
ヒナタの、森の静寂を完全にへし折る「整体師&ベビーシッター(ガチギレ・トーン)」が響き渡った。
『……エッ?』
子泣き爺は、急激な増量を空中でピタリと止めた。
ヒナタは、四次元リュックをドンッと置き、鬼の形相でセバスチャンの「抱っこの姿勢」と「子泣き爺」をビシッと指差した。
「セバスチャンさん!! 膝を伸ばしたまま、腕と腰の力だけで重量物を持ち上げようとするなんて正気の沙汰ですか!! それは完全に『ギックリ腰(急性腰痛症)』になる最悪のフォームです!! 重いものを抱える時は、必ず膝を曲げて重心を落とし、体全体を使うのが人間工学の基本でしょうが!!」
「ひ、ひぃぃっ! も、申し訳ありませぬゥゥッ!!」
セバスチャンは、子泣き爺の重さよりもヒナタの怒声に震え上がった。
「大体、あなたも!!」
ヒナタは今度、セバスチャンの首にしがみついている子泣き爺を指差した。
「赤ん坊のふりをして抱っこを要求するなら、抱っこする側の『腰への負担』をちゃんと考慮しなさい!! 素手で重いものを長時間抱えさせたら、肩こりと腱鞘炎を併発しますよ!! スリング(抱っこ紐)もなしに密着するなんて、育児の過酷さを舐めてるんですか!!」
『い、育児の過酷さ……!? いや、ワシは妖怪として人を押し潰して……』
「今日から、徹底的な『腰痛予防フォーム』と『正しいベビーキャリー(抱っこ紐)の装着』を叩き込みます!!」
ヒナタは、四次元リュックから、「最新型・人間工学に基づく超多機能ベビーキャリア(抱っこ紐)」「腰椎サポート用・極厚コルセット」、そして「骨盤矯正用ストレッチポール」を取り出した。
「ゴズさん、セバスチャンさんの腰をサポートして! ヴァレリアさん、子泣き爺をしっかりホールドして!!」
「ブモォッ!(おう! 腰を痛めたら戦えなくなるからな!)」
「ふむ。この重量、体幹トレーニングには最適だ」
『ナ、何ヲ……!? ワシノ恐怖ノ重圧ガ……!』
「【究極のエルゴノミクス・抱っこサポート&腰痛撲滅プログラム】です!!」
ヒナタは、まずセバスチャンに極厚のコルセットをガッチリと巻き、腰椎の負担を完璧に軽減させた。
そして、その上から「最新型ベビーキャリア」を装着させ、子泣き爺をそこへすっぽりと収めたのだ。
「いいですか! この抱っこ紐は、赤ちゃんの体重を肩だけでなく『腰と骨盤全体』に分散させるように設計されています! 肩ベルトと腰ベルトをしっかり締めて!!」
カチャッ! カチャッ!
ヒナタの手によって、子泣き爺の超重量(現在約80キロ)が、セバスチャンの体に人間工学的に最も正しいバランスで固定された。
「おおっ……!? あ、あれほど砕けそうだった腰が……痛くない!? むしろ、重心が安定して背筋がピンと伸びるようですぞ!!」
セバスチャンは、ベビーキャリアの圧倒的なサポート力に感動し、姿勢良く立ち上がった。
一方、抱っこ紐の中に収まった子泣き爺は。
『……ホワァァァ……』
『な、なんだこの……お尻から太ももにかけての、絶妙な「M字開脚(カエル足)」のフィット感は……。首カックンを防ぐヘッドサポートが優しく頭を包み込んで、めちゃくちゃ居心地がいいぞ……!』
子泣き爺は、人間工学に基づいて設計された抱っこ紐の圧倒的な「ホールド感」と「安心感」に完全に骨抜きにされ、赤ん坊のように「スヤァ……」と安らかな寝息を立て始めた。
数十分後。
そこには、重圧で人を殺す恐ろしい妖怪の姿はなかった。
最新型のベビーキャリアのフィット感に魅了され、自ら「正しい抱っこ紐の装着方法」を実演する「王都・ベビー用品店のカリスマ実演販売員(兼・育児サポートボランティア)」が、満面の笑みでママたちの腰痛の悩みに寄り添っていた。
「……ゆ、勇者殿。重圧の妖怪が……『人間工学に感動し、育児中の腰痛予防を啓蒙するカリスマ実演販売員』になってしまいましたぞ……」
セバスチャンは、ベビーキャリアを外した後もストレッチポールで骨盤を整えながら、最新の育児グッズの進化に深く感心していた。
【場所:天界・管理室】
『…………』
神ドラマスは、目薬を静かにテーブルに置いた。
『子泣き爺が……「ギックリ腰になるフォーム」と「人間工学の無視」を指摘され、コルセットを巻かれた……』
『挙句の果てに、最新型抱っこ紐のフィット感に骨抜きにされ、ベビー用品の実演販売員になった……』
ドラマスは、深く、長く息を吐き出すと、もはや「重圧の恐怖」すら「育児中の腰痛問題」として最新グッズで解決してしまうヒナタに完全降伏し、通販サイトで「人間工学対応・腰痛予防の極厚オフィスチェア」と「骨盤サポートクッション」をポチり、自らの腰椎の健康を最優先に守ることを固く誓うのだった。
(第106話・完)
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ヒナタのマイペースな異世界蹂躙はまだまだ続きます。魔王軍の胃の痛みが限界を迎える前に、ぜひページ下部の【☆☆☆☆☆】からの評価や、ブックマークでの応援をよろしくお願いいたします!
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