■第102話:猛毒の蜘蛛牛・牛鬼! ……えっ、食い殺す前に「反芻胃のシステム障害」と「多脚の関節炎」の説教ですか?
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それでは、本編をお楽しみください!
【場所:天界・管理室】
「……シュッシュッ。うむ、空気圧ゲージでタイヤのチェックも完了だ。これで神馬車の乗り心地も完璧だな」
神ドラマスは、輪入道の一件から学んだ「車両の日常点検」をこなし、ツナギ姿で満足げに手を拭きながらモニターを見下ろしていた。
画面の中では、ヒナタたちが山奥にある鬱蒼とした「底なしの滝壺」に差し掛かっていた。
「ほう! 新章開幕に相応しい、水辺の最凶妖怪……牛鬼だな!」
ドラマスは、ツナギのまま身を乗り出してニヤリと笑った。
「牛の頭に、巨大な蜘蛛の体! 口からは猛毒の霧を吐き、水辺に近づく人間を長い脚で絡め取って残酷に食い殺す異形のキメラ! 物理的な腕力と毒のコンボ、そしてそのおぞましい造形の前に、ヒナタの生活指導もついにバグを起こして沈黙するはずだ!!」
【場所:人間界・王都近郊の滝壺】
「うわぁ、マイナスイオンたっぷりの滝ですね! 少し休憩していきましょうか」
ヒナタは、滝壺の岩場にリュックを置き、清流に手を浸そうとした。
「ゆ、勇者殿! その水辺は危険な香りがしますぞ……!」
宰相セバスチャンが、胃薬を握りしめながら後ずさる。
ボコッ……ボコボコボコッ!!
突如、滝壺の深水が黒く濁り、巨大な水柱が上がった。
『ギョォォォォォォ……ッ!!』
水飛沫の中から姿を現したのは、禍々しい角を生やした「巨大な牛の頭」と、毛むくじゃらの「8本の蜘蛛の脚」を持つおぞましい妖怪――牛鬼であった。
「ひぃぃぃッ!! で、出たァァッ!! 牛と蜘蛛の化け物ですぞ!!」
セバスチャンが絶叫する。
『愚かな人間どもよ……。俺様の深淵に近づいたこと、後悔しながら溶けて死ぬがいい!!』
牛鬼が、巨大な牛の口をパカッと開けた。
その奥から、周囲の草木を瞬時に枯らすほどの「緑色の猛毒の霧」が、ヒナタたちに向かって吐き出されようとした、その瞬間。
「ちょっと待って!!!」
ヒナタの、滝の轟音すらシステムダウンさせる「システムエンジニア&消化器内科」が響き渡った。
『……ンモ?』
牛鬼は、毒霧を口に含んだまま、8本の脚を空中でピタッと止めた。
ヒナタは、四次元リュックをドンッと置き、鬼の形相で牛鬼の巨大な体をビシッと指差した。
「あなた!! 牛の頭に蜘蛛の体なんて、生体システムの『要件定義(構造デザイン)』が完全に破綻してますよ!! そんな巨大で重たい頭部を、細い8本の多脚で支えるなんて、重量分散の致命的なバグです!!」
『バ、バグ……!? 要件定義……!?』
牛鬼は、聞き慣れない専門用語に思わず目を瞬かせた。
「案の定、全ての膝関節にエラー(炎症)が出てるじゃないですか! 動きがカクカクしてますよ!!」
ヒナタは、今度は牛鬼の大きく開いた口を指差した。
「大体、その口から吐こうとしてる毒霧!! それは毒じゃなくて、4つある牛の胃袋(反芻胃)の消化不良から来る『重度の口臭(胃酸の逆流)』です!! 人間なんていう消化の悪い生肉を丸飲みするから、消化システムが完全にフリーズしてるんですよ!! 草食動物の基本(よく噛んで反芻すること)を忘れたんですか!!」
『しょ、消化システムがフリーズ……!? い、胃酸の逆流……!?』
牛鬼は、自分の吐こうとしていた恐ろしい毒霧が、ただの「激烈なゲップ(消化不良)」だと論破され、恥ずかしさで牛の顔を赤くした。
「今日から、徹底的な『関節のデバッグ作業』と『消化器官の再起動』を行います!!」
ヒナタは、四次元リュックから、「特注の多脚用・超高反発サポーター(8個)」「牛用の特級胃腸薬(消化酵素配合)」「繊維質たっぷりのチモシー(最高級牧草)」、そして「スマホ(進捗管理アプリ入り)」を取り出した。
「ゴズさん、牛鬼の8本の脚をしっかり固定して! ヴァレリアさん、このチモシーを刻んで食べやすくしてあげてください!」
「ブモォッ!(おう! 関節を労ってやるから大人しくしてな!)」
「ふむ。妖怪の関節の構造解析……悪くない剣の修行だ」
『ナ、何ヲ……!? 俺様ノ恐ろしい毒霧ガ……!』
「【究極の消化システム・リブート&スキマ時間フィットネス】です!!」
ヒナタは、まず牛鬼に「特級胃腸薬」を飲ませると、刻んだ最高級の牧草を口に運んだ。
「はい、人間なんか食べるのやめて、これをしっかり奥歯ですり潰すように噛んで! そして反芻する!!」
『モグ……モグモグ……。ああっ……! 胃の中で滞っていたヘドロのような感覚が、酵素の力でスゥーッと流れていく……。牧草の繊維質が、フリーズしていた俺の胃袋を再起動させてくれたぞ……!!』
「よし! 口臭(毒霧)が消えましたね! 次は脚の関節です!」
ヒナタとゴズは、カクカクと震えていた8本の蜘蛛の脚全てに、ガッチリと「高反発サポーター」を巻きつけた。
『おおっ!? なんだこのバネのような安定感は!! 重かった牛の頭が、ウソのように軽く支えられる!!』
「いいですか! サポーターに頼りきりじゃダメです。重い頭を支えるには、毎日の『系統的なトレーニング』が必要です!」
ヒナタは、牛鬼の牛の耳にスマホをぶら下げた。
「着替える必要もなし! 毎日たった5分、スキマ時間に各脚のスクワットを行うだけでいいんです! アプリで進捗(トレーニング記録)を管理して、モチベーションを保ちなさい!! 無理なく続けることが、最強のバグ修正(肉体改造)です!」
『ま、毎日たった5分のスキマ時間フィットネス……!! アプリで進捗管理……!!』
数ヶ月後。
そこには、毒霧を吐く異形の化け物の姿はなかった。
消化不良が完治して息は爽やかな牧草の香りになり、8本のサポーターを巻いた脚で、アプリの指示に従いながらリズミカルに「多脚スクワット」をこなす、「システム管理の行き届いた、超健康志向のフィットネス・キメラ」が、滝壺で爽やかな汗を流していた。
『いっち、にー、さんっ! フゥーッ! 進捗アプリに今日の記録を入力、と! ヒナタ先生、俺、この健康的な肉体を活かして、王都で「多脚専用の無人フィットネスジム」を経営することにしたぜ!!』
牛鬼は、爽やかな笑顔(牛の顔)で親指を立て、見事なフォームでスクワットを継続した。
「……ゆ、勇者殿。水辺の最凶妖怪が……『反芻胃を整え、スキマ時間にアプリで筋トレをこなすジム経営者』になってしまいましたぞ……」
セバスチャンは、牛鬼の無駄のない関節の動き(デバッグ完了)を見つめながら、自分もアプリを入れて5分だけ運動しようと心に誓うのだった。
【場所:天界・管理室】
『…………』
神ドラマスは、手にした空気圧ゲージをそっと引き出しにしまった。
『牛鬼が……「要件定義のバグ」と「消化不良の口臭」を指摘され、チモシーを食わされた……』
『挙句の果てに、8本の脚にサポーターを巻き、アプリ連携のスキマ時間フィットネスに目覚めた……』
ドラマスは、深く、長く息を吐き出すと、もはや「異形の構造」すら「システム設計のミス」として論破するヒナタに完全降伏し、自らのスマホに「1日5分のフィットネスアプリ」をインストールし、重い腰を上げてスクワットを始めるのだった。
(第102話・完)
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ヒナタのマイペースな異世界蹂躙はまだまだ続きます。魔王軍の胃の痛みが限界を迎える前に、ぜひページ下部の【☆☆☆☆☆】からの評価や、ブックマークでの応援をよろしくお願いいたします!
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