■第101話:炎の車輪・輪入道! ……えっ、魂を奪う前に「ベアリングの焼き付き」と「重度の車酔い」の説教ですか?
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それでは、本編をお楽しみください!
【場所:天界・管理室】
「……イテテテ。昨日のプランクの筋肉痛が、腹横筋にダイレクトに効いているな……」
神ドラマスは、真新しいヨガマットの上で腹筋の痛みに顔をしかめつつも、確かなインナーマッスルの成長を感じてご機嫌だった。
ふとモニターを見上げると、ヒナタたちは王都と隣町を結ぶ、夜の「石畳の街道」を歩いていた。
「ほう、101体目の怪異は輪入道か!」
ドラマスは痛む腹を押さえながら身を乗り出した。
「燃え盛る巨大な牛車の車輪! その中央には恐ろしい男の首! 姿を見た者の魂を奪い、猛スピードで轢き潰す地獄の暴走車! 物理的な『質量』と『炎』と『スピード』を兼ね備えたこの妖怪に、ヒナタの生活指導はどう立ち向かうというのだ!?」
【場所:人間界・夜の石畳の街道】
ゴォォォォォォ……!!
夜の街道の奥から、轟音と猛烈な熱気が迫ってきた。
「ゆ、勇者殿! 前方から火の玉が転がってきますぞ!!」
セバスチャンが道端の茂みにダイブする。
ゴロゴロゴロゴロッ!!!
現れたのは、直径2メートルはあろうかという巨大な木造の車輪。その全体が激しい炎に包まれ、車輪の中央(ハブの部分)には、目を血走らせた巨大な坊主の顔が張り付いていた。
『ギャハハハハッ!! 俺様は輪入道!! 俺の姿を見たな!! お前たちの魂を根こそぎ奪い、この炎の車輪でミンチにしてくれるわァァァ!!』
輪入道が、石畳を削りながらヒナタたちに向けてトップギアで突進してきた、その瞬間。
「ちょっと待って!!!」
ヒナタの、轟音のエンジン音すら完全にエンストさせる「凄腕の自動車整備士&交通課」が夜道に響き渡った。
『……ンゲッ?』
輪入道は、急ブレーキ(※車輪なので顔面から石畳にスライディング)をかけてピタリと止まった。
ヒナタは、四次元リュックをドンッと置き、燃え盛る車輪の「中心軸」をビシッと指差した。
「あなた!! 車輪から炎が出てるなんて、地獄の業火でもなんでもない!! 軸受け(ベアリング)のグリスが完全に切れて、金属同士の『異常摩擦』で焼き付きを起こして発火してるだけじゃないですか!! 日常点検(車検)を怠るからそんな火災事故を起こすんです!! 整備不良のまま公道を走るなんて道路交通法違反ですよ!!」
『べ、ベアリングの焼き付き……!? 発火事故……!?』
輪入道は、自分が地獄の炎だと思っていたものが、ただの「油切れによる摩擦熱」だと指摘され、顔面をヒクつかせた。
「大体、その顔!!」
ヒナタは今度、車輪の中央で目を回している坊主頭を指差した。
「真っ青な顔して吐き気と闘ってるじゃないですか!! サスペンション(衝撃吸収装置)も履いてない硬い木の車輪で、石畳の振動をダイレクトに受けながら無限に回転し続けたら、三半規管が狂って『重度の車酔い(動揺病)』になるのは当たり前です!! 魂を奪う前に、あなたがゲロゲロに酔い潰れちゃってますよ!!」
『ぐ、車酔い……!! うっ……(吐き気)』
輪入道は、図星を突かれて急に三半規管の限界を思い出し、車輪の真ん中で「オエェェッ」とえずき始めた。
「今日から、徹底的な『オーバーホール(分解整備)』と『乗り心地改善プログラム』を実施します!!」
ヒナタは、四次元リュックから、「自動車用・超耐熱極圧グリス」「最新型ハイグリップ・ラバータイヤ」「車酔い防止の強力トラベルミン」、そして「カメラ用・3軸ジンバル機構(回転しても中央が常に水平を保つ装置)」を取り出した。
「ゴズさん、輪入道をジャッキアップして! ヴァレリアさん、燃えてる車輪を冷却魔法で冷やして!!」
「ブモォッ!(おう! タイヤ交換とグリスアップなら任せとけ!!)」
「ふむ。見事なピットインの手際だな」
『ナ、何ヲ……!? 俺様ノ地獄ノ暴走ガ……!』
「【究極の車検通過&乗り心地・最高級プレミアム仕様】です!!」
ヒナタとゴズの手により、熱を持った車輪は急速冷却され、摩擦で削れていた軸受けに「超耐熱グリス」がたっぷりと塗り込まれた。
さらに、硬い木造の車輪の外周には、振動を極限まで吸収する「最新の静音ハイグリップタイヤ」が装着された。
「はい、まずはこの酔い止めを飲んで! そして、これが最大のカスタムです!!」
ヒナタは、輪入道の顔がある中央の軸に「3軸ジンバル機構」を組み込んだ。
これによって、「外側の車輪がどれだけ高速回転しても、中央の顔はずっと水平を保ったまま回転しない」という、夢のスタビライザーシステムが完成したのだ。
『アァッ……! グリスのおかげで回転が信じられないほどスムーズだ……! しかもゴムタイヤが石畳の振動を全部吸収してくれる!! そして何より……顔が回らない!! 視界がブレないから、全く酔わないぞォォッ!!』
数十分後。
そこには、炎を上げて暴走する恐ろしい妖怪の姿はなかった。
ロードノイズ(走行音)を全く立てない静音タイヤを履き、顔を常にビシッと正面に向けたまま滑らかに超高速走行する「完全ゼロエミッションの最新型・一輪モビリティ(スタビライザー付き)」が、夜の街道を快適にクルージングしていた。
『ギャハハハッ!! 最高だぜヒナタ先生!! 乗り心地が高級セダン並みだ!! 俺様、もう人を驚かすのはやめて、この機動力を活かして王都の「超特急・深夜のデリバリーサービス」を始めるぜ!!』
輪入道は、全く酔いのない清々しい笑顔で、安全運転(法定速度遵守)で夜の彼方へと走り去っていった。
「……ゆ、勇者殿。炎の暴走車が……『車検をクリアし、ジンバル搭載で乗り心地抜群のウーバー〇ーツ』になってしまいましたぞ……」
セバスチャンは、全く音を立てずに走り去る輪入道のコーナリングの美しさに、思わず見惚れていた。
【場所:天界・管理室】
『…………』
神ドラマスは、無言で自分の乗る天界の神馬車の車輪を見つめた。
『輪入道が……「ベアリングの焼き付き」と「三半規管の異常(車酔い)」を指摘され、ジャッキアップされた……』
『挙句の果てに、ジンバル機構とゴムタイヤを装着され、乗り心地抜群のデリバリー業者になった……』
ドラマスは、もはや「地獄の炎」すら「整備不良の摩擦熱」として物理的に車検を通してしまうヒナタに深い感銘を受け、通販サイトで「自動車用・高性能グリスアップセット」と「タイヤ空気圧ゲージ」をポチり、自らの乗り物の日常点検を怠らないよう、安全運転管理者としての自覚を新たにするのだった。
(第101話・完)
本日もお付き合いいただき、ありがとうございました!
ヒナタのマイペースな異世界蹂躙はまだまだ続きます。魔王軍の胃の痛みが限界を迎える前に、ぜひページ下部の【☆☆☆☆☆】からの評価や、ブックマークでの応援をよろしくお願いいたします!
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