■第100話:傾国の大妖怪・九尾の狐! ……えっ、国を滅ぼす前に「極度の反り腰」と「体幹トレーニング」の説教ですか?
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それでは、本編をお楽しみください!
【場所:天界・管理室】
「……フハハハッ! ついに来たぞ! ヒナタが王都に降り立ってから、実に100体目の怪異!!」
神ドラマスは、防災用の消火器を傍らに置きながら、かつてないほど興奮した面持ちでモニターを見下ろしていた。
画面の中では、ヒナタたちが王都の地下深く、「決して開けてはならない」と伝わる【殺生石の封印の間】に足を踏み入れていた。
「記念すべき100体目に相応しい、日本怪異の頂点にして絶対的ラスボス……九尾の狐だ!!」
ドラマスは立ち上がり、拳を握りしめた。
「絶世の美女に化けて王を惑わし、国を丸ごと滅ぼす圧倒的な妖力と知略! 9本の尻尾がもたらす物理・魔術の同時攻撃! ヒナタよ、この圧倒的な『美』と『絶望』の化身の前に、オカンの生活指導など木っ端微塵に消し飛ぶがいい!!」
【場所:人間界・王都地下・封印の間】
パキッ……!
ヒナタたちが近づくと、巨大な殺生石にひびが入り、眩い金色の光と共に、圧倒的な妖気が地下空間を支配した。
『……フフフ。数千年の封印から、ついに解き放たれる時が来たようじゃのう……』
光の中から現れたのは、息を呑むほど美しい、艶やかな和装の絶世の美女だった。
しかし、その背後には、彼女の体の何倍もの体積を誇る「9本の巨大な黄金の尻尾」が、オーロラのように揺らめいている。
「ひぃぃぃッ!! で、出たァァッ!! 伝説の大妖怪、九尾の狐ですぞォォッ!!」
セバスチャンが腰を抜かし、白目を剥きかける。
「あの美貌に魅入られれば最後! 王も国も、すべてが彼女の意のままに滅ぼされてしまいます!!」
『さあ、まずはそなたらから魅了し、骨の髄まで啜って……んんっ!?』
九尾の狐が、色っぽく体をくねらせ、9本の尻尾を優雅に広げて「傾国のポーズ」を取ろうとした、その瞬間。
「ちょっと待って!!!」
ヒナタの、数千年の封印をも物理で打ち破る「整体師&トップスタイリスト(ガチギレ・トーン)」が地下室に木霊した。
『……エッ?』
九尾の狐は、色っぽいポーズのままピタリと固まった。
ヒナタは、四次元リュックをドンッと置き、九尾の狐の「腰のライン」をビシッと指差した。
「あなた!! 9本もの巨大で重たい尻尾を背負っているのに、それを支えるための【体幹】が全く足りていません!! バランスを取ろうとして、極度の『反り腰(骨盤前傾)』になってますよ!! そんな姿勢で国を滅ぼそうなんて、椎間板ヘルニアになって老後は車椅子生活確定です!!」
『そ、反り腰……!? ヘルニア……!?』
九尾の狐は、言われてみれば数千年前から「慢性的な腰痛」に悩まされており、ポーズを取るたびに腰にピキッと痛みが走っていたことを思い出した。
「大体、その9本の尻尾!!」
ヒナタは今度、自慢の黄金の尻尾を指差した。
「尻尾が9本も密集して擦れ合っているせいで、猛烈な『静電気』が発生して、毛先のキューティクルが完全に破壊されてます!! 枝毛と切れ毛だらけのパサパサ尻尾じゃないですか!! 絶世の美女を名乗るなら、まずは『9本分のサロン級トリートメント』を毎日欠かさずやりなさい!! 美は一日にして成らずですよ!!」
『キ、キューティクルが……!?』
九尾の狐は、自分の尻尾の先を見て、確かに冬場は静電気でバチバチになり、絡まってブラッシングのたびに泣いていた過去を突きつけられ、絶世の美女としてのプライドを粉砕された。
「今日から、徹底的な『体幹トレーニング』と『極上ヘアケア』を始めます!!」
ヒナタは、四次元リュックから、「プロ仕様のヨガマット」「骨盤矯正用・ストレッチポール」「超高純度・アルガンオイル配合のサロン級ヘアトリートメント(業務用ガロン缶)」、そして「マイナスイオン大風量ドライヤー」を取り出した。
「ゴズさん、9本の尻尾を3本ずつに分けてブラッシングして! ヴァレリアさん、トリートメントを隅々まで浸透させるためにスチーム魔法を!!」
「ブモォッ!(おうよ! 9本もあると手入れが大変だぜ!)」
「ふむ。魔法の蒸気で、傷んだキューティクルを開いて栄養を入れよう」
『ナ、何ヲ……!? 妾の傾国の妖術が……!』
「【究極のインナーマッスル強化&美髪再生プログラム】です!!」
ヒナタは、九尾の狐をヨガマットの上にうつ伏せにさせると、「プランク(体幹トレーニング)」の姿勢をとらせた。
「はい! お尻を上げすぎない! お腹(腹横筋)にしっかり力を入れて、頭から足先まで一直線!! そのまま1分キープ!!」
『ヒギィィィッ!! キツい!! なにこれ、妖術を使うより遥かにキツい!! お腹がプルプルするのじゃ!!』
数千年間、運動らしい運動をしてこなかった大妖怪にとって、ヒナタの容赦ないプランク指導は地獄(あるいはそれ以上)の苦しみであった。しかし、不思議と腰の痛みはスーッと消えていく。
一方、背後ではゴズとヴァレリアによる「9本同時・極上ヘアケア」が進行していた。
『アァッ……! パサパサだった尻尾に、アルガンオイルの栄養がギュンギュン吸い込まれていく……! マイナスイオンの風で、信じられないほどサラサラに……!』
数時間後。
そこには、国を滅ぼす邪悪な大妖怪の姿はなかった。
極度の反り腰が治り、ピンと伸びた美しい背筋と完璧な体幹(シックスパックの手前)を手に入れ、9本の尻尾はシルクのように滑らかで静電気一つ起きない「奇跡の美ボディ&美髪」を体現する、超絶健康的な美女が立っていた。
『……素晴らしい!! 腰が全く痛くないし、尻尾が羽のように軽い!! これが……インナーマッスルの力!!』
九尾の狐は、完璧な姿勢で美しいヨガのポーズ(戦士のポーズ)を決め、感動の涙を流した。
「ほらね! 体の芯(体幹)を鍛えれば、心も体も美しくなるんです! 国を滅ぼすなんて物騒なことはやめて、その美しい姿勢をみんなに教えてあげてください!」
『わかったわ、ヒナタ先生!! 妾、国を滅ぼすのはやめて、王都で「体幹リセット・ヨガスタジオ(九尾流)」を開くのじゃ!! 全ての女性を健康的な美女にしてやるわ!!』
九尾の狐は、サラサラの9本の尻尾を揺らしながら、爽やかな笑顔でインストラクターへの道を歩み始めたのだった。
「……ゆ、勇者殿。伝説の傾国の大妖怪が……『反り腰を克服し、完璧なプランクを指導する、カリスマ・ヨガインストラクター』になってしまいましたぞ……」
セバスチャンは、自分のぽっこり出たお腹を見つめ、「私も明日からスタジオに通おう」と入会申込書を書き始めていた。
【場所:天界・管理室】
『…………』
神ドラマスは、モニターの前で、静かに床にうつ伏せになった。
『九尾の狐が……「反り腰」と「体幹ゼロ」を指摘され、プランクをやらされた……』
『9本の尻尾は「枝毛と静電気の温床」としてトリートメントされ、ヨガインストラクターになった……』
ドラマスは、もはや「国を滅ぼす妖力」すら「インナーマッスル不足とヘアケアの怠慢」として論破するヒナタのブレないロジック(祝・100回目)に、完全なる敬意と降伏の意を示した。
そして、自らも床に肘とつま先をつき、「1、2、3……ッ!! キツい!!」とプランクを開始しながら、通販サイトで「極厚ヨガマット」と「サロン級ヘアオイル」をポチり、天界からさらなる健康と美を追求することを固く、固く誓うのだった。
(記念すべき 第100話・完!!)
本日もお付き合いいただき、ありがとうございました!
ヒナタのマイペースな異世界蹂躙はまだまだ続きます。魔王軍の胃の痛みが限界を迎える前に、ぜひページ下部の【☆☆☆☆☆】からの評価や、ブックマークでの応援をよろしくお願いいたします!
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