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異世界転生したら、世界の敵になりました。【続】  作者: 篠原 凛翔
【第2部】 重なる足跡

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【2-7-1】 白光

「ねー? もっと詳しく教えてよ?」


 その女性が話していた事が気になって声をかける。周りは止めようとしたけれど、私はそれでも話を聞きたかった。


「まぁ素晴らしい! 貴方もアヌ神の教えに興味があるのですね?」

「んー? まぁそう、なのかな?」


 実際には別に彼女らの宗教に興味はない。でもこの世界がどう作られたのか? とか、自分ってどういう存在なんだろう? なんてその辺りを聞いてみたかったのだ。


「えぇ! いくらでもご説明して差し上げますわ! どうぞこちらへ!」


 なんて手を引かれて奥の小屋へと誘われる。あれこれって一回中に入ったらもうウンと言うまで出れないやつ?


「ちょっとちょっともう! ホント結構なので!」


 一緒に行動していた里の仲間が強引に間に入り彼女を止めてくれた。


「もう! だから勝手に行動しないってあれほど」


 私の手を奪い返して彼女はその場を去ろうとする。 


「ごめん。一個だけ本当に待って」


 隣でキーキー声が聞こえるけども気にしない気にしない。


「ね? 貴方のいう神様はさ、――貴方を救ってくれた?」


 その質問に彼女はパチクリと瞬きをしている。ただ私はジッと彼女を見つめる。


「……貴方の仰っておられる意味は分かりませんが」


 彼女はコホンと咳払いをする。


「――救われるために、信仰しています」


 予想していなかった回答に戸惑う。なにそれ? じゃあ今は救われてないって事? 私の疑問を読み取ったように彼女はフッと笑った。


「アヌ神の教えで、死後には私たちの生命は神様に戻るとされているんです。そうした時生前の罪は全て赦される、と」


『ほらもういいでしょう?! 今度こそ行きますよ?』と再度手を引かれ私は彼女から離れていく。引き攣られながらもう一度アヌ教の彼女顔を見ると、幸福そうな、あるいは諦観のような表情を浮かべていた。

 

「――全くもう!! 貴方がどうして持っていうから遠征隊に入れましたが、こんな事するならもう二度と連れてきませんからね!!」


 離れた場所で凄い剣幕で怒られた。私は別に気にもせずとりあえずごめんごめんーと頭を下げる。その態度が余計に火に油を注いだのかキーキーと甲高い声が大きくなった。……今度はこの人がいない時について行くとこにしよ。

 

 しっかし救われるために信仰している、か。自分には分からない感覚だ。生きている間に救われるならまだしも、死んだ後に救われたって意味なんて無いのに。

 

 私が彼女に声を掛けたのは知りたい事があったから。自分がなんでこんな身体で生まれたのか。何か理由があるのか。きっと答えられないだろうとは思っていたし、結局ちゃんと聞く事も出来なかった。まあ地道に話を聞いて行こう。これからも機会はあるはずなのだから。


 でももし理由が分かって、しかもそれがふざけたものだったなら、そんな神様ぶん殴ってやる。


 あの子の分も一緒にね。




「ゔーー、さっむかったー!!! でも無事に入れてよかったー!!」


 私は雪が入り込まないよう扉を閉める。建物の中は灯りもなく寒々としたものだが、雪と風を防げるだけで有り難かった。


「リーザもこんなに雪積もっちゃってー」


 私は彼女の頭や肩に掛かった雪を払ってやる。


「でもさー。ここ、なんなんだろうね?」


 私は改めて周りを見渡す。建物の中は外から見ても分かるように小さなものだ。何かの物置かと最初思ったのだがそういうわけでもないようで、伽藍とした屋内には備品のようなものすら見当たらなかった。


 私はただただひたすらに歩き続けてここに辿り着いた。最初には見えなかった山々も今や間近だ。日が暮れるにつれて天候が変わり始め雪が降り出した。このままでは凍えてしまうと身を隠す場所を探した時に、遠目に見えたのがこの小屋だった。


 ……ちなみに厳重そうな鍵が掛かっていたけれど、失礼した。寒かったし許してほしい。


「いやー、でもあからさまに怪しいのがあるけど」


 小屋の目の前にはなにもない。ただ一つ。地下行きの階段を除いて。


「うーんーこれって絶対下に行かない方がいいやつだよね〜……。漫画とかゲームだったら絶対化け物とか出てくる類のさー」


 それで容赦なくやられるとか。いやまあ私はやられる事はないんだけども。


「……まここにいても寒いし暇だし、行ってみよっか。ね? リーザ」


 実際外からの冷気が入ってきてて大分寒いのだ。何か燃やして火を焚こうにも燃やせるものもないし。


「下におりてなんかあったらいーなー。贅沢は言わないけど休めるところとかさ」


 リーザは全然軽いんだけども流石にずっと背負いっぱなしとなると流石に疲れる。彼女も彼女でそろそろ何処かに横にさせてあげたかった。

 

 私はコツコツと音を立てながらに階段を降りていく。


「あれ? 思ったよりも深い?」


 すぐに行き当たるかと思ったのだが、直線的な階段は途中からは螺旋状に切り替わりどんどんと地下へと誘われていく。暗く足元が見えないことから、私は手元に火を照らしながらに進んでいく。


「けほっけほっ。リーザ大丈夫ー?」


 埃とカビの臭いが強い。奥には何があるんだろう? それこそ何かの備品だったりするのだろうか。


「そういえば昔もこんなことあったなぁー」


 そうだ。考えてみれば随分と状況も似ている。あの時も私は雪山を踏破して、山頂の祠から地下に進む階段を降りて行って――。


「あれ? いやまさかでも」


 考えてみるとあの時と状況が似過ぎている。建物の感じだとか中の作りだとか。


「……とすると、この奥にいるのって」


 あの時はアーガがいた。彼女は過去に太古の神々に歯向かったために幽閉されていたはすだ。ならば、もしこの下に誰かがいるというなら一体どんな罪を犯したのだろうか。  


「誰もいないってのが、妥当だろうけどもさ」


 こういう時って警戒しても結局何も無かったってパターンが多いような気がする。肩透かしで終わるというやつだ。今回もきっとそうだろう。だってわざわざこんな所に収容するような事アヌ教側だって大変だろうに。


「お、そろそろ一番下かな?」 


 ようやく階段の切れ目が見える。私は揚々と足を踏み出す。


「さーて休めるところは――「――貴方様は?」


 ……予想に反して、どうも先客はいらっしゃったらしい。


最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。

この物語が、ほんの少しでも心に残ったなら――

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