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異世界転生したら、世界の敵になりました。【続】  作者: 篠原 凛翔
【第2部】 重なる足跡

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【2-5-4】

『スーニャ!? ご無事ですか!?』


 レナードにしては随分と慌てた様子に私達は顔を見合わせる。


「……実はちょっと困った事になっててさー」

『え!? もうすでに彼らが来て――「――あーいやいや、若干寝不足気味なことに悩まされる今日この頃?」

「……貴様、人一倍起きてくるのが遅いだろうによく言うな」


 あははーと笑いながらにその場を濁す。


「でさ。レナードどうしたの?」


 呪具の向こう側からは、大きくハァ〜〜とため息が聞こえた。


『……フクローランからマグシアに正式な申し入れがありました』


 若干その声から憮然とした様子が窺える。まだ怒りが収まってはいないんだろう。今度会った時にでもふざけた事は謝っておこう。


『レナードさん。ちなみに私も参加してるんですが、聞いていい話ですかね?』

『その声マーニャレスカですか? ……まあ構わないでしょう。ただ他言無用ですよ?』

『そりゃ理解しとりますよ。私も下手に首を突っ込みたくないのが本音なんで』

『ならいいでしょう。……端的に彼らの言い分を伝えると、フクローランはマグシアがどう構えようが関係ない。ただスーニャを討つためだけに全力を尽くす。邪魔立てするなら容赦はしない。とそう言ってきました』


 その言葉を聞いて皆が一瞬黙り込む。そしてリムさんが愉快そうに笑い始めた。


「クク。随分と強気じゃないか。貴様らマグシアも舐められたものだな? そんなに言うなら抗ってやればいーじゃないか。舐められたままでは後世にも都合が悪かろう?」

「……リムさん。わざわざ事を荒立てなくても」

「何を言う? コイツらにもメンツがあるだろう? 私には何の関係もないが、ただそんな事では国など治められるものか」

『……リム様の言う通りです。いざという時に国民を守れない国家に存在する意味はない。我々はあくまで受け入れるつもりはない』

『えっ。ちょっと待ってください。じゃあマグシアはフクローランを認めないと?』


 レナードの言葉に慌てた様子でマーニャさんが会話に加わる。


『そんなん本気で戦争を開始するって話じゃないですか』

『最悪そうなる事も辞さないつもりです。ただこれからの交渉次第ですがね』

『はぁ〜……。また悩みの種が増えましたわ』

「……それでさ何をそんな急いでいたのさ?」


 別に今の話題であればそんな緊急性があるとは思えない。


『ええ。端的に、もうそちらにアヌ教徒が迫っている状況と考えて頂きたい』

「……それを止めるのが貴様らの考えだったのではないのか?」

『止められる事は計算済みだったのでしょう。既に追っ手を放った後だったようです』

『そら賢いですね。止められる前にやってしまえと』

「……全く。最近面倒ごとばかりだ。どうなっている」


 リムさんは気だるげにボヤいている。


「それで? アヌ教の連中がここに来てスーニャを知らんか? とでも言うのか」

『ええ。そうなるでしょう』

「そんなのすっとぼけちゃえばいーんじゃないの?」


 流石のアヌ教徒だって、リムさんが相手では強硬はできないだろう。なんせ太古の神々の一柱なのだから。


「まさか家の中まで確認するなんて言わな――「――言われたとて許すわけないだろう? 巫山戯ているのか? そんな悍ましいこと考えたくもない」


 本当に考えているだけで、顔に青筋がピクピクと浮かんでいらっしゃる。こんな様子なら、たとえ彼らが本当に来たとしても私は家の中で隠れていれば見つかる事はないはずだ。


『……俺も、そうできるなら問題ないと思っていました』

「どういう意味だ? 問題を孕んでいると?」


 レナードの物言いはどこか歯切れの悪さを孕んでいた。


『……ええ。今回の件はフクローランの長であるギィ様が前面に立っておられるんです。彼女が動いているとなると、我々も易々と止める事はできない』

「……ギィが? 直接動いているだと?」


 リムさんは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる。それは私も同じで、あの雪山での出来事が脳裏に浮かんだ。リーザと私を傷つけられたあの時のことを。


『……はい。それもすぐ近くまで来ているはずです』

「ッ!?」


 レナードの声を受けて私は窓から家の外を見つめる。そこには今までとは何も変わらない様子が広がっていた。


『彼女はスーニャとリーザの身柄を匿っていないかを確認するはず。流石のリム様といえども、ギィ様が相手ではただ抵抗し切ることも困難でしょう』


 ミームとククルが争った時のように基本的に太古の神々は個体ごとに力の差はない。であれば、リムさんとギィもまた互角のはずだ。


「えー!! ギィがここに来るのー!?」


 ちょうどジーやモノと一緒に部屋に入ってきたククルが、レナードの言葉に驚いて声をあげている。


「……全くもって、頭が痛い」


 リムさんはその言葉の通りに眉間に指を当てて俯いた。それをジーが心配そうに見ている。


「こんな様子のご主人初めて見ますが、どうされたんですか?」

「あー、まー面倒事がこれから起きそうって話し。本当に来るかは知らないけどさ。ひとまずみんなで対策を考えようか?」

「……全く。スーニャよ。ギィも、いやなんならフクローランごと消したらどーだ? そうすればこの煩わしさも一掃できるぞ?」

「いやいやいや、そんなこと簡単に言って……」

『あーまーギルドは関与せずなんで好き勝手にどうぞー』

『マグシアからしたらむしろ賛成ですがね。あんな面倒な国が消えるのなら影の協力は惜しみませんよ?』 


 いやいやだから、貴方達一応かなり階級高い方でしょうが発言には気をつけなさいな。 


「はぁ〜……。でさ。本当に来た時に備えて――「――あれ? お客さん、みたいですよ?」

 

 ……おいおいおい。本気かい。


最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。

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