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異世界転生したら、世界の敵になりました。【続】  作者: 篠原 凛翔
【第2部】 重なる足跡

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【2-5-3】

『事態は思ったよりも悪いです』


 電話ごしにマーニャさんの声が消こえる。


『レナードさんもまだきてないっちゅーのは、やっぱりバタバタしているからでしょうね』


 確かにレナードからの電話連絡は予定の時間になっても来ていない。


「……ひとまず貴様の知っていることから話したらどーだ?」

『まあそーですね。では始めましょうか。今この世界は割と面倒なことになっています』

「……面倒?」

『ええ。元々はラフェシア、マグノリア、ニンフェア、フクローラン。この四つがが牽制し合ってバランスを取ってました。でも、今はご存知の通りにラフェシアとマグノリアが合併してマグシアが作られた。四竦みから、三竦みへと図式が変わった』

「それが今回の件に関して何か関係が?」

『そら、ニンフェアやフクローランにしたら、マグシアなんてもんは厄介極まりないでしょ。いつその矛が自分たちに向くかも分からんのですから』


 実際はレオがそんな事をする事はないだろうが、ただ他国からしたらその可能性も考えなければならない。


『まあニンフェアなんかはほぼ外交を取ってないんで何を考えてるかも分からんですが、フクローランは即座に動いてきた。この辺りはさすがですがね。ちなみに、ギルドも立ち位置は一緒ですよ?』

「ギルドなんて、マグシアのど真ん中に構えてるものね」

『えーえー。いつケチつけられるかも分からんので、気を使ってますよほんま。今まではラフェシアとマグノリアの中間地点だったんでよかったですが、今はもうほんま喉元ですからね』

「でもマグシアの傘下になろうとは思わなかったんですか?」


 そうしてしまえば、別に変な気を使うこともないような気がするのだが。


『それはほら。自由意志に反する的な? どこにも染まらないのが冒険者のポリシー的な? 感じですかね? リム様?』

「当然だ。なぜどこかの下に付く必要がある? そんな事をしてしまえば、奴らの都合のいいものしか出来んだろう? せっかく自由に邪魔される事なく素材を回収できる環境を整えたというのに」


 あーそういえば、ギルドってそもそもはリムさんがトップなのだった。いや全然運営には携わっていないので、関係ないっちゃ関係ないような気もするのだが。


『そんな感じで、うちがマグシアの下につくことはないんです。ただ共生することはある』

「共生?」

『ええ。元々冒険者の門は開け広げられている。どこかの所属の人が冒険者として登録されていたり、逆に冒険者がどこかの国へスカウトされる例もある。それに対してはうちも何も言わない。なんで共存関係っていうのが適切かもです』


 なるほど。そういう意味でもどこかに傘下につく事は出来ないのだろう。それに双方にとって魅力もない。このままの関係維持が最善なのだろう。


『……ただ今回の件はちょっと事情が異なりましてね』

「異なる?」

『ええ。マグシアが出来てからこっち、アヌ教徒は増え続けてるんですわ』


 どうも先の戦いで犠牲になった者達を主として、アヌ教に加わる人が増えたらしい。それはマグシア国民だけでなくギルドに所属する冒険者もそうなのだとか。


「……ふん。祈ったところで何か変わるのか?」

『それリム様が言います? まあ何処かへ救いを求めたい人も多いんでしょ』

「ハッ。どうにも理解しあえんな」


 いやマーニャさんがいう通りにリムさんがそんな感じでいいのだろうか……。一応この世界における神様がこの世界における唯一の宗教を否定するって。


『まあえーですが。とにかく今アヌ教は勢力を伸ばしている。でその目下の標的って、スーニャさんになるんですわ』

「あー、それは、やっぱり?」

『勿論。貴方は太古の神々を倒したっていう前代未聞の巨悪なんですから。彼らからしたら倒して然るべきだって具合ですよね』

「……まあ反論のしようがないことは分かるよ」


『我々も自由を掲げてるとはいえ、太古の神々を蔑ろにしているわけではないんです』

「……つまりフクローランの意思に同調するってこと?」

『いえそこまでにはなりません。我々はあくまで是非は行わない。ただ個別に動く分には気にしないという姿勢です。……むしろ約束事を反故にされた方が、うちとして重要なんですがね』


 言っているのは、私達が罠にかけられた事を言っているのだろう。しかしひとまずギルド自体が敵に回るわけではないという事に安心する。まあ味方でもないんだけども。


「……マグシアはどーいうスタンスなのかな?」

『あそこはスーニャさんを国敵として認めてしまっている。なんで、自分たちもまた動かざるを得ないでしょう。否定するだけ損です。さっき言った通りにアヌ教徒が増えてきている中、自分の国が割れてしまう可能性がある』

「……そうなるとやっぱり彼らは敵に回るかな」


 どうなるかは分からないけどまた彼らマグシアと矛を交わらせることになるかもしれない。……あのレオとも。


「まあでも、自分の国の中を好き勝手にされるのは流石に勘弁でしょうから、その辺りは抵抗するでしょうけどね? でもある程度は譲歩せざるを得ないと思います」


 スーニャ自体はマグシアの怨敵でフクローランはそれを探すと言っているのだ。否定する理由もない。むしろ歓迎すべき提案のはずなのだから。


「状況は何となく分かったよ。……結構八方塞がりだって事も」


 ある程度はこの大陸中に私の包囲網が敷かれることになるだろう。今までのような自由はもう出来ないかもしれない。あーくっそー。またバルディアでシカルをしこたま飲むつもりだったのにー……。


『追加で一個ええですか?』

「はーいー。もう何でもいいですよー」


 私は手をヒラヒラと振る。マーニャさんには見えていないだろうが、気分の問題だ。


『では。貴方達が倒したラフィエルでしたっけ? 結構問題になってるらしいですよ?』

「……ん? えーと?」


 いや忘れているわけではない。ただ、一応証拠隠滅もキッチリやったつもりなんだが。


『あの男、あー見えて密に連絡をしていたみたいで』

「え、ってことは、どーいうこと?」


 電話越しにマーニャさんの溜息が聞こえる。


『フクローランは連絡が取れなくなった地域を重点的に捜索すると言っとるらしいです。となると、貴方達が今いる場所が奴らに見つかるのは――『――聞こえますか!? スーニャ!?』


 マーニャさんの声に被さるようにレナードの声が聞こえる。その声からは、彼にしては珍しい切羽詰まった様子が伺えた。


最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。

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