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異世界転生したら、世界の敵になりました。【続】  作者: 篠原 凛翔
【第2部】 重なる足跡

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【2-4-3】

 程なくして私達はグンネラの隠れ家へと到着した。今となってはこの場所に帰ってきたことで安心する自分がいる。ここが帰る家だと認識しているのだろうか。


「……ほう? 思っていたほどは変わっていませんね」

「あそっか。レナードは初めて?」

「ええ。話自体は耳に入っていましたけれどね。なるほどなるほど」


 ジロジロと外観を眺めている。彼にとってはここが古巣なのだ。それは気になるだろう。


「やっぱり実家が変わっちゃうってのは寂しい?」

「いえ思ったほどの大きな違いもないですし。……それに私は元々ここで生まれたわけではなくて。過ごした時間も長くはないので」

「え、そうなの?」


 思わぬ情報に驚く。そういえばモノやジー、レナードの事は知っているようで詳しくは知らない。リムさんはいつぞやに自分の作品であるとは言っていたが。


「ええ。モノやジーは貴方と同じ、と言ったら失礼ですが、近しい存在です。対して私は異なりますね」

「よく分かんないけど生まれが違うって事?」

「はい。私の生まれは、ニン――「――あー!! スーニャ、それにレナード!!」


 レナードの言葉は別の声によってかき消される。


「お帰りなさいー! レナードも久しぶりー!」


 現れたのはジーだった。後ろからトコトコとモノも姿を現す。


「……二人ともおかえり」

「ええ、今し方戻りましたよ」

「ただいまー。二人とも」


 二人へ挨拶を返す。レナードの話は気になるものではあったがまた改めて聞かせて貰おう。 


『ほらそんなとこにいないで、早く中に入ってください。お茶でも出しますから』『……スーニャ。お土産は?』『あー、ちょっとごめん。そんな余裕何にもなかった』『……がーん』と私達は会話をしながらに家の中へと向かっていく。


 レナードが立ち止まっているようだったので、どうしたのかと顔を向けると彼は吹き出すように笑っていた。


「……ふっ。ふふ。あはは」

「えどしたのさ?」


 あまりレナードが笑う所は見た事がない。そこまで感情を出すタイプではないからだ。


「いえ、ふふっ。先ほどの発言はやっぱり撤回しますよ。確かにここが僕の帰る家かもしれませんね」


 彼の発言にジーやモノは疑問符が浮かんだ表情をしている。


「そ? ならよかった」


『私が言う事でもないかもだけど』と言うとレナードは『いえいえ、貴方も含めて、ですよ』と残し家の中へと入っていく。私は彼の普段とは似つかわしくないその発言を嬉しく感じていた。


「……レナード、珍しい」

「ねー? スーニャ、何かあったんですか?」

「いやなんもー。ほら私達も入ろうか」


 釈然としない様子ではあったがみんなで中に入る。……さて、少し休んだらこれからの事を相談しなければ。

 

「――で、だ。ハッキリと言うが面倒ごとはゴメンだな」

「いやえっと」


 開口一番バッサリと切り捨てられる。目の前にいるのはリムさんで殊更に不機嫌そうな顔をしていた。


「でもほらリーザも助けてくれたじゃないですか?」

「それは、まさかあの小娘が使徒だとは思わなかったからだ。しかも生きている事がバレてしまっているかもしれんのだろう?」

「いえそれはまだ……」

「ギィのことだ。草の根を分けてでも探すはずだ。あんな連中の相手をしていたら研究も出来ん」


『スーニャよ。貴様が奴らを全員滅ぼすなら話は別だがな』なんて言われても……。


「レナード。マグシアはどうするつもりだ?」

「……アヌ教から正式な申し入れがあるでしょう。恐らくマグシア内をフクローランが自由に出入りする権限を要求するはず」

「それで?」

「マグシアは対外的にもスーニャを国敵と認めています。ある程度は譲歩せざるを得ないでしょうね」


 その言葉にリムさんは頷く。


「ならばいずれはこの場所も気づかれる。そうなった時誰が責任を負うのだ?」

「あー……」

「次にマーニャレスカ。聞いているな?」


 リムさんは今度は通話用の呪具へと話しかける。私達はギルドへも情報共有が必要と、会話をマーニャさんに繋いでいたのだ。


『あ、あー。聞こえてますか?』


 呪具越しに会話が聞こえる。


『ギルドとしては、まずスーニャさんがリムさんである事は認めとらんです。私らからすると自分達所属の冒険者があちらさんのせいで失ったということだけ。なんでフクローランへの抗議は継続します』


『リムさん、つまりはスーニャさんの生存を認知していない体ですから』とリムさんは彼女は冷静にギルドの長としての立場を主張する。


『ただスーニャさん、リムさんの立場を擁護は出来んです。そうしてしまうと組織が崩壊しかねんので』


 スーニャはこの世界においては悪の象徴だ。アヌ教徒でなくとも太古の神々を信奉するものが大多数なのだ。


『なんで冷たい言い方ですが、スーニャさん、リムさんを守る事は出来ないし、マグシアとフクローランの決め事に意義を唱えることもしないです。関与せずっていうのがギルドの統一解ですね』


 つまりは誰からの支援も受けられないということか。私は四方塞がりの状況に頭を抱える。


「え、え? なに皆んなで遊ぶの?!」


 ククルが重苦しい空気の中で無邪気な声をあげる。私は苦笑しながらにその頭を撫でてあげる。


「はぁ……。どうしたものかなぁ〜」

「スーニャ困ってる? だったらお姉ちゃんにまっかせて!」


『私が全部やっつけちゃうからー!』なんて言われる。いやもう本当にいっそのこと全部吹き飛ばして欲しいくらいだ。


 ただスーニャとして、世界の敵になるとそう決めたのは私だ。その責任は負う必要がある。でもそれにリーザや皆んなを付き合わせるのは間違っているようにも思えた。


『どうでもいいですけど、スーニャさんとリムさんていい加減分かりづらくないですか? 二人ともそこおりますし呼びづらいですわ』


 マーニャさんのそんな言葉に対しては、確かにその通りだと頷くのだった。


最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。

この物語が、ほんの少しでも心に残ったなら――

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(……でないと、力尽きるかもしれません)


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