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異世界転生したら、世界の敵になりました。【続】  作者: 篠原 凛翔
【第3部】 うつろわざる世界

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【3-8-3】

『いたか!?』『どこにいる!?』『アダム様は向こうで見たと言っていたぞ!?』なんて声が聞こえる。


「……上手くやってるみたいだね」


 そういえばニーナのお礼を言うのを忘れていた。彼女がいなければあんなにもスムーズにリーザの元へ辿り着くことは難しかっただろうし今度改めて伝えておかないと。ちなみに彼女とは部屋に入る前に別れた。『私はこれ以上は足手纏いと思いますので』なんて言っていた。


「もう少しで街を抜けるぞ。……リーザは大丈夫か?」


 イオリがチラリと後ろを見る。確かにその心配は最もでリーザは所々荒い呼吸をしながらに立ち止まっていた。


「……ほらぁリーザ? ちょっと運動不足がたたってんのかな?」


 具体的にいつに起きたのかは知らないけれども、そりゃずっと眠っていたわけで突然走るってのも無理があるだろう。


「あんまり無理なら私がまた抱えて――」


 リーザを抱き抱えるためにその手を握る。ここにきて、ようやく私は彼女の異常に気がついた。


「……リーザ。体に変な所はない?」


 私の言葉にイオリもまた怪訝な表情をした。


「なんだ? 風邪でもひいたか? 多少の熱くらいなら我慢してくれ」


 いや違う。冷たすぎるんだ。……普通の人ではあり得ないほどに。


「リーザ?」


 私の質問にリーザはおずおずと首を振る。


「それならいいんだけど……。ってリーザ! 鼻血鼻血!」 


 リーザの鼻から赤い血が垂れている。彼女も気づかなかったようで慌てて拭っていた。


「……本当に大丈夫?」


 コクコクと頷いている。まあ鼻血程度なら然程問題はないだろうと、そう思っていた。


「ッ!! 走り抜けるぞ!」


 イオリの声に顔をハッとあげる。前方には数名の人集りがいた。


「……もし戦うことになったら俺がやる。リムはリーザを」


 走りながらにイオリはそんな事を言ってきた。むしろ私がとも思ったのだけれども、彼女はすでに腰に構えていた剣に手を添えている。いつでもそれを抜く事が出来るように。


「いーけどさ。ま、何かあれば助けに入るよ」


 イオリは『そんな心配いらねーよ』と人集りを警戒しながらに先へと進んだ。彼らが私たちの気配に気づく。予想と反して使徒では無いようで、それに特段こちらへ敵意がある様子でもなかった。ただ、いやこれは改めて考えればそうおかしな事ではないのだろう。


「――イオリちゃん?」


 彼らがイオリやリーザの事を知っていたということは。


「……ッ」


 イオリも見知った顔である事に気づいたのか、明らかに動揺した様子だった。ただその剣の柄を強く握りしめていることは分かった。


「本当に、生きていたのね。よかった……」

「……は?」


 呆気に取られたイオリの様子が伝わる。確か彼女の存在は秘密だったはず。であればそれが知られているというのには何か理由があるのだろう。


「アダム様から事情は聞いているわ。早くこちらから逃げなさい」


 彼女達は私達を隠すようにしながらに誘導してくれた。あわや戦闘になるかとも思ったけれども、アダムは思った以上に外堀を埋めてくれていたようだった。


「……ありがとうございます」

「気にしないで。私達は貴方達の味方だからね」


 しおらしい態度のイオリに違和感が凄いけれども『なにか文句あんのか?』と言いたげに睨みつけてくるために口を開くことはしなかった。


「リーザ様も……」


 話を進めていた女性は若干気まずそうにしながらもリーザの顔を見ていた。


「……」


 当のリーザもまた気まずそうにしていた。どういう反応をするのが適当なのか分からないようだった。


「ほら早く行って。もしこっちに誰か人が来たら誤魔化しておくからね」

「……いえ構わずに伝えてください。貴方達を最優先にして下さい」


 イオリはそのままにその場を走り抜ける。私達もまたその背中を追いかけた。


「……イオリ?」 


 走りながらに私はイオリへと話しかけた。


「……んだよ」

「いや別になんでもないけどさ」


 そう実際私には何も関係のない話だ。先ほどの人達が誰でイオリの過去がどうだったのかとか。でもただ何となく、聞いてあげた方がいい気がしたんだ。


「まーほら、ただ逃げるにもヒマじゃん? 暇つぶしに話してよ」

「お前なぁ。もーちょい良い言い方ねーのかよ?」


 言い方は荒いがただ私が気を遣っていることは理解しているのだろう。その言葉じりは柔らかなものだった。


「この国は俺らの古巣だからな。そりゃ見知った顔もいるさ。というより大体は知り合いだ。……オレ達は鼻摘みものだったはずなんだけどな」


 曖昧に笑う彼女に私はどう声を掛けるべきかも分からない。ただその寂しげな表情は年相応な少女のもので、私はその頭を撫でてあげたのだった。『ざけんな!!』なんて振り払われたけれども。


「――おらそろそろ街を抜けるぞ!」


 走り続けた私達はイオリが言うようにようやく街を抜ける。雪道を越えた先にはリーザの家が見えた。


最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。

この物語が、ほんの少しでも心に残ったなら――

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(……でないと、力尽きるかもしれません)


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