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受難続きのテラ惑星間貿易商  作者: 椎谷 急須
3章 火星着星
13/52

プロメンテ地方

プレビィアからメレアを経由し都市国家プロメンテまでは結構な時間が掛かった。

地方の街で宿を取りながら進み、4泊程度でようやく到着した。


トークンによる運転は、休憩無くても移動できるので長距離移動には役立つ。


プロメンテ地方。キンメリア中央に位置する肥沃な地域を指す。いくつかの都市国家で形成されているが、その中の主要都市国家が、この地域の名前を関している、このプロメンテになる。


穀倉地帯となると、地域によって様々な原風景がイメージされるだろう、金色の稲穂、金色の麦畑 が挙げられる。


少し時期が早ければ青々とした植物が整然と植えられている状況になると思う。

少なくとも雑草まみれの荒れた地域は思い浮かばないよね。


――内戦でもあったのかな? 治安が悪いのもこれが原因か? 


畑の中に機関砲を積んだトラックが乗り捨てられている。

――テクニカルってやつか?


地域の住居も多く破壊されている。

――えー 何なのこの状況?


「とりあえず、その諜報員とやらを探そうか」

タツマが風景にあっけにとられつつも、案件を進める姿勢は忘れない。


「そうね。 アルプ。 もらった情報から居場所はわかる? 」

『住所でしたら』


「では、その住所にしゅぱーつ! 」

―― 相変わらず元気がいいことで。


田舎道のためか、内戦の影響か道路も陥没している。そのため、揺れがひどい。


かなり時間走っているが、速度も出せず上手く進めない。そんな中進んでいくと柵と門扉らしい工作物がある。


『見えました。あの丘の住宅になります』

柵の向こうに丘があり大きな住宅がある。さてどうするか?門はしまっているぞ。


「とりあえず、降りて進もう。トラックで乗り付けると、先方から警戒や攻撃される恐れがある。トークンを二体武装状況で連れていく。アルプ準備を頼む」


「私も行くー。 楽しそうだし」

――楽しくはないよ。


「サナエさんは、ここで待機。 万が一の場合、バックアップをお願い。荒事発生時にアルプと残りのトークンで対応して。 因みにトラック等すべての武器使用制限も解除しておいて」


「ちぇー 了解」

『了解しました。トークンの武装はどうしますか? 』


「ショットガンとカービン銃で」

『遠近両用ですね』


呑み込みが早いね。トラックから降りてトークン二体を引き連れて門の前に立つ。

とりあえず、名乗りますか。


「スキュレスさんからのお使いです。 ご要望の品をお届けに来ました」

さて、センサーがあれば気づくはず。 人がいればだが。


……反応なし?


侵入して状況を確かめるか。一歩前に踏み出そうとしたところ、地面から人が2人、出てくる。銃を持って警戒している。 隠し通路か? どこかにカメラもあるのだろう。


「何者だ! 」

この状況では警戒するよね。とりあえず、両手を挙げてもう一度


「スキュレスさんからのお使いです。ご要望の品をお届けに来ました」

同じ言葉を繰り返す。トークン2体は後ろにいる。


警備員の一人が連絡を取っているようだ。一人はこちらに銃を向けたままだ。

それなりに訓練されている。


「了解した。案内する我々の後ろをついてこい」

門が開き、案内をする男が歩き出す。


私とトークン、その後ろに2台のトラックが続く。最後に警備員のもう一人が最後尾につく。


歩くとわかるが、家まで結構な距離があるぞ。もっとも道のわきは、庭というより畑になっている。


しばらく歩くと大きな広場がある。そこに車を止める。なかなか大きな住宅……邸宅か?


「こっちだ! 車両内の者はそのままだ! 」

案内人が促す。


はいはい、従いましょう。


玄関前でトークンは入れないとのこと。

武装も解除されることになる。


コンバットスーツが、唯一の武装になる。

装備しておいてよかったと思いつつ、トークンと玄関で別れて邸宅に入る。


扉を開けると、30人ほどの連中が中におり、皆こちらに銃口を向けている。

手を挙げるしかないよね。


「客人の歓迎としては、物騒なクラッカーが多いですね? 」

「軽口をたたくな! 」


――おお、こわっ


「あなたが、ヒルベルト商会さん? 」

老齢の男性が声をかけてくる。


「ええ。あなたは? 」

「ネス・ビャーネと申します。 ここの代表をさせてもらっております」


「スキュレス氏とはお知り合いですか。 彼女からここに来るように言われました。 もし、お邪魔ならこのまま引き返そうと思いますけど。 いかがでしょうか? 」


なんの親しみもない場所にきて、銃口を向けられていい気はしないよね。

敵対心が湧いてくる。ネス氏が立ち上がり、皆に銃を降ろすように指示をする。


「すみませんね。 見てもらった通りこの辺は、暴動があって、荒れ地になっております。その余波で、ならず者を多く被害が出る一方でね」


「それで、ご用件はなんでしょうか。我々は何も聞かされていないので」

「では、こちらに」


ネス氏 が隣接する部屋へ促す。


コンバットスーツを解除しろと取り巻き連中からの要望が出てきたが、きっぱりと断りそれならば帰らせてもらうと発言することになる。こんな場所で丸腰なんて冗談じゃない。


取り巻き連中は渋々了解することになる。


通された客室の中は、かなり明るく温かい。ガラス張りの温室だ。

そこから採光しているようだ。多少の植物もある。


「さすが商人さんだ、交渉の抑揚を知っていらっしゃる」

「それで、我々への要望は何でしょうか? 」


「ここの住民に希望を与えてほしいのです」

「……えっ?」


「お願いします。 そのために、私の持っているものをすべて差し上げます。 どうか、どうか、お願いします」


そう述べると、急に老人は下肢づいた。何?この状況。自分に何を期待しているの?

「待ってください? とりあえず、理由をお聞きしても」


一時、思考を巡らせる。

サナエさんを呼ぶか? いや、絶対ややこしくなりそうだ。 間違いなくろくでもないことになる。


自分で対応しよう。と思ったやさき、バタバタと隣のロビーから音が聞こえてくる。

そして部屋のドアが勢いよく開く。


「タツマ! 面白そうじゃない! 混ぜなさい!」


こいつ盗聴器を仕掛け……コンバットスーツはアルプと同期しているのか。

声は筒抜けですね。


「ネスさん。安心して。我々が、この地方の希望になります。我々“白翼の騎士団”に任せて! 」


だからその、ネーミングは何なの?


--- ネス邸 客室


日の光が、客室に差し込む。丸形のダイニングテーブルに3名が座わり、アルプは立っている。

ネス氏・サナエさん・そしてタツマである。

「さて、お聞きしましょうか。 具体的に何を望むのか? 」


「いいでしょう。 私の家は、タニアの民です。 この土地は、祖先がプロメンテに入植して開墾して、ここまでにしました。 しかし、近年多くのプロメンテの民は、タニア人は、プロメンテの民から搾取して楽をしていると吹聴しています」


どこにでもありそうな話だな。


「しかし、これだけ広大な土地から安定して作物を作り出すには、技術と経験が必要となります。加えて、作物の売り上げが多くとも、種・人件費・市場への物流を行えば、手元に残るのは、大金とはほど遠いものになります。この土地の恵みは努力の賜物でした」


まぁ、運用コストとか考えず、売り上げだけ見て金持ちとか思われることもあるよね。

商人はもっと大変なのに――売り上げが利益じゃねーって何回言えば。 

いや今は。ビャーネさんに耳を傾けよう。


「それを理解し、私を慕ってくれるプロメンテの住民もいます。実際に私の周りは、殆どがプロメンテ人になります。私は、生まれこそタニアですが、ここで育っているので、もうプロメンテ人です」


ビャーネさんの話は続く。


「しかし、数年前、プロメンテ自治政府の執政官選挙で自称改革派のヒューリ・オーレが当選したことにより事態が大きく変わりました。彼はプロメンテの土地はプロメンテ人のものであると宣言したのです」


ここでネス氏が、入れたお茶に手を付ける。


「窮乏にあえぐプロメンテ人を救うのだと。 結果、出生を調査され土地をただ同然で取り上げられたのです。この地は確かに集団的農業が、中心で企業体のような農業になっています。


大規模農業を実現して、人を雇って耕作する。そのため、プロメンテ人を農奴という人もいますが、工場で労働すること農場で労働する違いは一体どこにあるのでしょうか? 」


「話がそれましたね。結果、プロメンテ人が大勢で押し寄せました。暴力により、我々を追い出し土地を自分たちのモノにしたのです。 しかし、よそ者に農業ができるはずもなく、放置された耕作地が残りました」


うぁわー最悪。


「加えて、土地の所有を巡っての暴動も発生しました。 結局、ここにいたプロメンテ民も我々も徐々に減っていくことになりました」

(……えー。マジモノの悪政じゃん )


「それで、あなたはどうしてほしいの? 」

サナエさんが質問する。


「この地に再び希望を、豊かな大地を取り戻したいのです。お願いします。緑の大地をどうか」


「なるほどね。 この地を復興したいのね。いいわ。乗った。この“白翼の騎士団”に任せなさい」


「これは、私の部下だから。ヒルベルト商会は仮の姿よ」


……エッ?


「さて、早速戦略を立てないとね。さぁベースに戻って作戦会議よ。 しばらく、庭を使わせてもらうわよ」


「あ……ありがとうございます!!多くの人に見捨てられ、他国まで頼った、この老いぼれに力を貸してくださるとは……。本当に、本当に」


ビャーネ氏は涙を流している。颯爽と部屋をでてロビーから堂々と退出する。

銃口を向けていた人たちは左右に分かれ、道を作ってくれていた。


--- スマイル号(カーゴ内)


「どーするの? あんな啖呵きって。 もちろん戦略あるんだろうね? 」

「ないわ! 考えなさい! それがあなたの仕事でしょ? 」


――嘘だろ


「それに、ここで彼らを見捨てるの? 」

……はぁ。自分の性格が嫌になる


「少し考えさせてくれ。 状況が複雑すぎる。 アルプ何かない。 リフレッシュできるようなもの」

『ありますよ。 準備します』


スマイル号(カーゴ車)の荷台は、キャンピングカーのような本格的な宿泊設備でないものの

簡易宿泊ができるように改造されている。


車中泊を想定しているためだろう。といっても、今までの道中で車中泊は1日だけだったが。


それと道中の盗賊からカーゴを1台せしめているため、計2台分ある。

武器は盗賊からカーゴにおいてあるため、荷台を広く利用できる。運がいいな。


ペンを取り出し、自分の寝床に座り状況を整理するためノートを今までの出来事をまとめ目的を書き出す。 


―― “豊かな大地を取り戻す”ね。


アルプが、カーゴのバッテリーで湯を沸かし、インスタント紅茶を煎れてくれる。

「ありがとうね」


これをどのように作りあげるかだよね。紅茶を飲みながら考える。


――中に閉じこもっていても、アイデアは湧いてこないな。


「少し歩いてくる」

アルプにカップを渡しそのまま車外に足を延ばす。


「どーぞー」

彼女は、寝そべりながら相変わらずタブレットを弄っている。


――何なの一体。 自由過ぎない? 

外にでると日は出ているが、空気はひんやりしている。周りを見渡しても人はほとんどいない。


秋季にも関わらず、畑には作物が見当たらない。荒廃という言葉がぴったりである。

しかし、ここが肥沃な大地であるのは確かだ。土も黒く、水もある。


荒廃したままというのも疑問が残る。


ここの住民は農業従事者だろ?

土地は収奪されているが、半分以上は個々の住民の土地もある。


集団的農業と言えど、農業従事者は多いはず。


彼らはなぜ、土地を余らせたままなんだ? 

なぜ、自ら動かないんだ? 


いくらタニア人が出て行ったとしても、作物が極端に少なくなっているのかが不明だ。

意思がない?


……違うな。方法が分からないのか? 何年も農業に従事しているのに。

なぜ……なぜ……なぜ…… そうかー。であれば、……。


一人でブツブツ言っている姿は、不審者のようであるが、体面を気にしている場合ではない。

冷えた空気が、沸騰する頭を冷やしてくれるのでちょうどいい。


なるほど、理論上は……上手くいくな。はぁ……。


しかし、計画実行には、法律を調べる必要があるな。カーゴに戻る。

「何か閃いたー? 」

サナエさんのお気楽な言葉が多少癇に障る。


「アルプ。現在のプロメンテの農耕地や土地所有に関する法律を調べてくれ。 特に所有権に関してだ」


『了解です』


「ほっほー。何か浮かんだね」

まるで他人事のような口調で言ってくるサナエさん。

――ホント。この人なんなの!


「そうですよ。因みにサナエさんの出身は? 」

「私は、生まれはキンメリアのティレナ、育ったのはサバエアのエリスよ」


「アルプ。 どうだ? 」

『土地所有が認められるのは、生まれがキンメリアであること。会社で所有する場合は、3分の一以上のキンメリア出身者(生まれ)が含むことの記載があります』


「通信機を使わせてもらうぞ。 セレン」

『お久しぶりです。 タツマ』


「ああ、まったくだ。 ところで、ヒルベルト商会の構成員っていまどうなっている? 」

『副社長・タツマ・キャミャエル氏の3名です。 ダイゴが抜けて』


「……色々突っ込みたいが今はなしだ。次に、ヒルベルト商会の内部留保はどのくらい? おおよそで構わない」


『前回の海賊船と内部装備の売却とエリスからの報奨金今回の取引により、約40億リドル(4000億円)ほど内部留保があります。』


「借金の多くが帳消しにできる金額か。」

『いくら必要なんでしょうか?』


「おそらくまずは5万リドル(500万円)程度で済むだろう。今のところ」

『了解です。計画書の提出はありますか? 』


「もちろん。使途不明金にはさせないさ」

『では、提出お待ちしております』


「タツマー。何か作戦思いつんたんでしょ。教えてよ」

「まだだ、計画途中では無理。 それに……質問していいか? 」


「どうぞ」

「今回の案件はさ、彼らに奪われた土地を戻して終わりでいいのかなと思って」


「どうだろ? あのおじいさんは、かつての豊かな大地を取り戻したいってことでしょ。仮に、彼らに土地を戻せたとして、かつての大地に戻るか分からないと思うけど? 」


「理由は? 」

「おそらく、ここの住民って自分で考えず命令されたことを実施していただけじゃないのかな?だから、技術も経験も伸びなかった。


伸びてもこれだけの農場を経営できなかった。だから大地が荒廃したと考えるのが道理よね。 おそらく今は、自分達が食べる分だけを生産している状況でしょうね」


「つまり」

「彼らに土地を戻しても、豊かな大地にはならない。誰かが……ふふふ」

またその顔か……


「そういうことなのね? 」

この天才に隠し事は出来なさそうだな。


「沈黙は肯定よ。 なるほどね。 そうなると、ふーん。確かにまだ不確定要素があるね。でっどうするの? 」


もうやだ。 何この人。 ナーミャンのような可愛げがない。


「アルプ。 じーさんの資産目録は、調べられる? 」

『了解です。……おおまかに、土地、建物、鉄道、鉱山、といったところです』


「……鉄道ね。 株式? 現物? 」


「現物です。プロメンテのシティ地区までの私鉄があります。しかし、この状態で利用率は下がっている状況です。おそらく、ここの農作物を運び出す用途でしょう。人も運んでいるようですが」


「なるほど……鉱山ってのは?」

『こちらは、権利書になりますね。共同経営のようです』


「ふーん何気に山もあるのか」


工程は2段階になりそうだ。最初の段階は、まぁ大丈夫だろうが。

2段階目の実施のために準備が必要だな。


【復興計画】


夜が明けた。じーさんのところに行くか。コンバットスーツは装着したままだ。

シャワー? あるわけないね。


カーゴ(ベース)から出て、邸宅に向かう。

「タツマ! 私も行く。」


寝癖がついたままのサナエさんが出てくる。

美人なのに以外に無頓着なのか?


この人は一回言い出すと絶対人の意見聞かなそうだし。

邸宅に入ると、前回の部屋に通される。


「対策案ができたのでしょうか? 」

ネス氏が質問してくる。


「おおよそですけど。ただ聞きたいこともありましたので。

まず、対策案ですが、奪われた土地の登記簿を調べてください。全て。所有者の住所もです」


「分かりました。それだけですか? 」


「調べるのは、あなたではありませんよ。ここの連中です。彼らが本当に 豊かな大地 とやらを取り戻したいのであれば、自分たちで動く必要があります。


あなたには、今回の件を担当できる弁護士を10名程度リスト化してください」


「何をする気で? 」

「内容が揃ったら、教えます。 次に、鉄道はいま稼働していますか? 」


「このような状況なため、かつてほどではないですが、1日数本程度の便はあります。 食料輸出も少なくなくなったといえ全くではないので。 それが? 」


「行先はどこでしょう? 」


「北方への向かう路線をとっています。 北方には ティレナやテッサリアなど大消費地がありますので」


「なるほど。 とりあえず、それだけです。 では、提示した内容を取り掛かってください。我々は、これから西方の “ヘスベリア(港街)” に出かけようと思います」


「ヘスベリア? ……ただの港街ですよ。 今回の計画に関係が? 」


「まだわかりません。 ただ気になったものですから確認してきます。 なのでしばらく、この地を離れます」


「分かりました。 ご要望、対応いたしましょう」

「それでは、後ほど」

ネス邸を後にする。


「タツマ。本当に離れるの? 」

「今回の2段階目の計画でどうしても必要になる。もちろん、1段階目の計画で終われば無駄になるけど」


「スマイル号は借りていく。アルプも借りるよ」

「じゃぁ私も行く。 知らぬ土地でも危険なことはしないんでしょ? 」


「好きにすればいいさ。さて、早速出発だ」

「了解! 知らない土地ってわくわくするね」


ピクニック気分なのが気になるが、まぁいいか。


--- ヘスベリア(港町)道中

また、この3名でのカーゴ移動である。ラジオからは、また軽快な音楽が流れている。

しかし、音楽の軽さと反対に道が悪い。揺れる、揺れる。


「アルプ。 ちょっと運転雑じゃない! 」

『この道ではこれが精一杯です。不満であれば、マスターが運転して下さい』


「あなた!!主に逆らう気! 」

なんか騒がしい。


タツマが訪ねる。

「アルプ。ここら辺の治安でどうなの?」


『辺境すぎて、盗賊も少ないようです。タツマも武装しているため、通常の武器であれば、対応可能です』


それならいいか。

「到着はどのくらい? 」

『朝ですね』


「朝―!! 一晩中、この中なの? 」

サナエさんが叫ぶ。


「アルプ。 思っていたんだけど、キンメリアって航空手段がないよね。どうして? 」


『ないわけでは無いですが、航空便が主要都市以外にないのです。路線をつくっても利益が出ないようです。赤字路線を自ら経営したくはないでしょう。


加えて、キンメリアの住民は、地域からあまり出たがらない性格も影響しており、陸路で十分なようです。もちろん、全てはありませんが。主に大陸南北鉄道と街道で何とかなっているようです。東西への物流路線は街道のみですね』


なるほど。最初から赤字になる会社は経営しないか。


「アルプ。仮定として聞いてくれ。ネス氏のもっている鉄道路線を北方でなく、西方のヘスベリア(港街)に伸ばした場合、利益は出ると思う?」


『無理ですね。タツマの要望により過去の穀物統計を調査しました。

テッサリアなどの巨大市場に作物を下ろしていたので利益が出ていました。

ヘスベリア(港街)の市場規模ではプロメンテの穀物量は多すぎます。 消費しきれません』


「輸出した場合は? 地中海を超えてサバエア大陸に輸出する」


『サバエア大陸の出荷予定地域の情報の調査が必要になりますが、都市国家レーベの規模であれば優良な市場になりえる可能性はあります』


「へー。 大陸を跨いでの物流を考えているのね。 さすが商人。 で、さびれた港街に行くのはそれが理由? 」


「まだ仮定だ。 理由は……現状確認」


「ふーん。 でも貴方が、目途もなしに動かなそうなのは、ここ最近を見てきたからわかってきた何か面白いことになりそうね」


ガタン大きな揺れで、サナエさんが窓に頭をぶつける。

「いったー。 アルプ! 運転乱暴すぎじゃない! 」


『私のプログラムを作ったのは貴方です。欠陥があるなら、あなたです』

「むー。 もっと主を敬いなさい! 」


AIと喧嘩する科学者ねー。

もう日が暮れる。太陽に向かって走る3名。 明日はどっちだ!!


つづく


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