表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【百合】天笠夏鈴は堕とされたい~健気で一途な後輩に堕とされる百合の話~  作者: 八星 こはく
第3章 私は、世界で一番栞のことが好き

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

72/86

第72話 栞のペースで

 栞の部屋は、白と黄色を基調とした家具で整えられていた。一人用にしてはやや大きめのベッドは天蓋付きで、家具はどれも猫足の可愛らしいデザインの物。

 私の部屋と比べるとかなり物が多いけれど、きちんと整理整頓しようとしているのが分かる。


 ……たぶん、私がくるから片付けたんだろうけど。


 隅々まで掃除が行き届いているあたり、おそらく母親の手もかなり借りたのだろう。こんな風に見栄を張らなくたって、私は片付けができない栞のことも好きなのに。


「先輩、どうします? クッション使いますか? それとも、ベッドでお話しします?」


 にやにやと笑いながら、栞が私の手を握った。

 部屋の中央にはローテーブルが設置されていて、座り心地がよさそうなクッションが二つ置かれている。

 けれど私の目は、ベッドにしかいかなかった。


「ベッドにしよう」

「せっかくですもんね?」


 栞に引っ張られて、ベッドの上に腰を下ろす。ふかふかのベッドは座り心地も抜群だった。


 ……あ。

 枕元に、あのぬいぐるみもある。


 以前私がゲームセンターでゲットした黒狐のぬいぐるみが、我が物顔でベッドの上に鎮座している。嬉しいような、ちょっぴりむかつくような、不思議な気分だ。


「夏鈴先輩。先輩、この服でお家デートがしたかったんですよね? どうですか?」


 ぐいぐいと私の腕に胸を押しつけながら、栞が楽しそうに笑う。

 今すぐ押し倒したって何の問題もないのだと思うと、理性を保つのがなかなかに大変だ。


「先輩。私、可愛いですか?」

「可愛い」

「ふふっ、先輩、即答ですね」


 だって当たり前の事実だから、悩む時間なんていらない。じっと見つめ返すと、栞は恥ずかしがるように顔を背けてしまった。


「そうだ! 先輩、お家デートですし、いちゃいちゃしながらテレビでも見ます? 映画とか! ゲームもありますよ。私の家、結構楽しめると思います!」


 栞と一緒なら、正直なんでもいい。

 私にとってメインはいちゃいちゃで、テレビやゲームじゃないから。


 でも、きっと栞は今日のためにいろいろと考えてくれたのだ。なんでもいい、なんて言葉は口にするべきじゃない。


「そうだね。ゲームとかどう? 私、あんまりやったことはないんだけど」


 それに、私はえっちだし栞をかなりそういう目で見ているけれど、身体目的で栞を選んだわけじゃないのだ。


「いいですね! じゃあ、私用意します!」


 ベッドから下りた栞が、テレビ下の収納棚からゲーム機とゲームソフトを漁り始めた。

 栞が前かがみの姿勢になったせいで、つい、意識が彼女のスカートに集中してしまう。


 あとちょっとで、見えそう。


 なのに見えない。このスカートをデザインした人は、そこまで計算していたのだろうか。


 栞はまだ棚の中を漁っている。だからきっと、ちょっとだけ私が動いてもバレないはず。

 私は息を殺して、そっとベッドから下りた。そしてしゃがみ込み、栞のスカートの中をこっそりと覗いた、その瞬間。


「先輩、さすがにそれ、バレてますからね?」


 呆れたような声と共に栞が振り返る。その顔は真っ赤だった。

 そして、栞のスカートの中は白かった。


「……ごめん。つい」

「それで、どうでした?」

「え?」

「私、今日のために新しいの買ってたんですけど」


 限界を越えてしまいそうなほど栞の顔は真っ赤なのに、栞はさらに私を誘惑しようとしている。

 付き合ってからのお家デートって、こんなに幸せが溢れてるものだったんだ。


「栞」

「……はい」

「ちゃんと感想を言うためには、もう少しじっくりと見る必要がある……かな」


 こんなことを言っても、栞は私のことを嫌ったりしない。分かっていても、口にするとどきどきした。

 手に持っていたゲームソフトをテーブルの上に置いて、栞がゆっくりと立ち上がる。


 そして。


「……こ、こんなことするの、後にも先にも夏鈴先輩だけですからね?」


 ゆっくりとスカートをめくりあげた。繊細なレースのついた上品な下着が、やっぱり栞にはよく似合っている。

 白が似合うと見抜いた私は、もしかしたら天才かもしれない。


「な、なにか言ってくださいよ」

「……ありがとう。心の底から」

「ああもう、終わりっ、終わりですっ!」


 栞が手を放したせいで、スカートが元に戻った。かなり名残惜しいけれど、私の頭の中にはしっかりと残っている。

 記憶力がよくて助かった。


「本当に私、恥ずかしかったんですからね……!」


 耳まで赤くなった栞の手を引く。あっさりとベッドに座った栞は、涙目になって私を見つめた。


「うん。だから、ありがとう。恥ずかしいのに見せてくれて」

「言われると余計に恥ずかしいんですけど!?」

「それはごめん」


 でも、恥ずかしがってる栞は可愛い。


「……それと、嫌な時はちゃんと、嫌って言っていいから」

「先輩のこと大好きなので、なんでも嫌だなんて思いません」


 覚悟の決まった強い眼差しで見つめられる。嬉しすぎる言葉だけれど、彼女の好意に甘えてばかりいるわけにはいかない。


「うん。でも、嫌だったり、まだ早いって思うことは、ちゃんと言っていいから」


 そっと栞の頬に手を添える。


 栞はきっと、私のことが大好きで、私のためにいろんなことを頑張ろうとしてくれている。

 とても嬉しいことだ。だけど私は、栞に無理をさせたいわけじゃない。


「栞のペースでいいの。私は、栞のことが本当に好きだから」

「……夏鈴先輩」

「なに?」

「じゃあとりあえず、ちゅーしてください」


 んっ、と突き出された唇が可愛い。もちろん、と頷いて、私は栞にキスをした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ