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【百合】天笠夏鈴は堕とされたい~健気で一途な後輩に堕とされる百合の話~  作者: 八星 こはく
第3章 私は、世界で一番栞のことが好き

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第70話 栞のお家

 最寄り駅の改札を出ると、既に栞が到着していた。

 両手いっぱいに紙袋を抱えた私を見て、困ったような、けれど嬉しそうな笑顔で駆け寄ってくる。


「夏鈴先輩、おはようございます!」


 相変わらず可愛い笑顔だ。だけどどうしても、顔よりも胸元に視線がいってしまう。

 だって今日の栞は、以前ショッピングデートで購入した服を着ているから。

 肩や胸元が大胆に出たオフショルのサマーニット。そんなことはないと分かっていても、ずり落ちてしまうのではないかとひやひやする。


「夏鈴先輩、見すぎです」

「……ごめん。つい」


 見てない、と言い訳をするのも無理がある。それに私達はもう恋人同士なのだから、ある程度見たっていいはずだ。


 栞は、えっちな私も嫌いではないようだし……。


「先輩は、あの時のお洋服じゃないんですね?」

「栞のご家族に会うんだから、ある程度ちゃんとした服がいいかなって」


 今日の私は、アイロンをしっかりとかけた白いブラウスに、黒のロングスカートという地味な服装だ。

 せっかくのお家デートだからもう少しお洒落をしようかとも思ったけれど、さすがに家族の目を優先してしまった。


「先輩、結婚の挨拶にくるみたいですね?」

「さすがにその時はスーツでくるよ」

「……先輩、あっさりそういうこと言うの狡いです!」


 ぷく、と頬を膨らませた栞が、私の腕に抱き着いてくる。いつもよりダイレクトに柔らかさを感じてしまい、頬が緩みそうになった。


「先輩。みんなが帰ってくるのは十八時くらいです。それまでは私と二人っきりですよ」


 現在の時刻は午前十一時だ。つまり私はこれから、七時間も栞と二人きりで過ごせる。

 しかもこの、ものすごくえっちな服を着てくれた栞と。


「私、先輩のためにお昼ご飯も用意してるんです。手料理ですからね? 私、今日のためにお母さんに教えてもらったんです!」

「ありがとう」

「美味しくできたと思うので、期待しててくださいね! あっ、あと、デザートにケーキも用意してて……」


 それからそれから、と栞が早口で喋り続ける。栞も今日のことを楽しみにしてくれていたのが分かって、たまらなく彼女が愛おしくなった。


 本当に不思議。

 栞のことはとっくに大好きなのに、会うたびにもっと好きになっちゃうんだから。


「ねえ、栞」

「なんです?」

「家に着いたらまず、キスしてもいい?」


 急に立ち止まった栞が、真っ赤な顔で私を見つめる。だんだんと潤んでいく瞳が、食べちゃいたいくらい可愛い。


「だ、大歓迎ですけど……」

「それはよかった」

「……先輩、付き合ってからちょっと、大胆すぎるというか。私、このままじゃ身が持たないです……!」

「考えてることは、前から変わってないけどね」


 さらっとそう告げると、栞はさらに顔を真っ赤にした。そろそろ限界まで赤くなってしまったんじゃないだろうか。


「夏鈴先輩、本当に狡い……」


 栞が唇を尖らせたけれど、どちらかといえば、狡いのは栞の方だと思う。

 だって、本音を口にしただけでこんなに可愛い反応をするのだから。





「ここです、私の家!」


 予想通り、栞の家はかなりの豪邸だった。大きな車がゆったり3台はとめれそうな駐車場に、広い庭付きの一戸建て。

 しかも、庭はきちんと手入れが行き届いている。


「先輩がくるって言ったら、昨日、お父さんとお兄ちゃん達がみんなで草むしりしてたんですよ」

「……気を遣わなくていいのに」

「そういうわけにはいきませんって! あっ、私もお部屋のお掃除は手伝いましたからね!?」


 栞が鍵を開けて、玄関の中へ入れてくれた。

 ピカピカに磨かれた床はまるで鏡のようだ。


「お邪魔します」


 緊張しつつ、靴を脱いで綺麗にそろえる。スリッパに履き替えた瞬間、栞が抱き着いてきた。


「せーんぱいっ、お家につきましたよ?」

「うん」

「まずはキス、ですよね?」


 首を傾けて、栞が唇を尖らせる。まだ玄関でしょ、なんて言う必要はない。この家には誰もいないのだから、どこでキスをしても構わないのだ。


「早く。先輩、ちゅーして?」

「……うん」


 栞の頬に手を添えて、そっと彼女の唇を奪う。柔らかい唇と、リップのわずかなべたつき。それなりに慣れた感触だけど、きっと私は一生飽きることはないのだろう。

 キスをしながら、無防備な栞の首筋を撫でる。びくっ、とほんの少し跳ねた身体に、言葉では言い表せないほどドキドキした。


 どうしよう。

 私の理性って、今日大丈夫かな……?

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