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【百合】天笠夏鈴は堕とされたい~健気で一途な後輩に堕とされる百合の話~  作者: 八星 こはく
第2章 栞は、世界で一番私のことが好き

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第56話 彼女って、最高かも

「ふふ、私達ってもう両想いなんですよね。ねぇ先輩」


 ベッドの上に座り、対面で抱き合ったままの体勢で、栞は上機嫌にそう言った。

 付き合っているからなんの問題もない状態とはいえ、だからこそいろいろと意識してしまう。

 あまりにも細い栞の腰だとか、ぐいぐいと押し当てられる豊かな胸だとか。


「先輩、今なに考えてます? 私のこと?」

「栞のことだよ」


 正直に答えると、栞は私の手を握った。そしてそのまま、私の手を胸元に誘導する。


「夏鈴先輩はえっちですから。どうせこういうことも考えてたんですよね?」

「……」

「いいんですよ? 恋人に対してそういうことを考えるのって、当たり前ですから」


 そうだろうか。そうかもしれない。

 少しずつ手のひらを動かし、栞の胸を揉む。夏服のブラウスは薄くて、奥にある感触を簡単に予想できた。


 ああ、だめだ。一度始めてしまったら、やめられない。


 私の手の中で、栞の胸が形を変える。まずい。まずいと分かっていながら、夢中になって揉み続けてしまう。

 柔らかくて、大きくて、でも、ちょっとだけ硬いところもあって。


 どうしよう。栞のおっぱい、無限に触ってたい……。


 ずっと大好きだった栞と付き合えたというのに、付き合って早々こんなことをするなんて、身体目当ての獣のようだ。


 でも、栞がいいって言ったし。


 脳内で言い訳をしつつ、また栞の胸を揉む。柔らかい。柔らかいけれどしっかりとハリもあって、非常に素晴らしい。


「夏鈴先輩」

「……やりすぎた?」

「そうじゃないですけど……」


 栞の顔は赤い。赤くなった彼女の顔を見るとつい、手元に力が入ってしまった。


「先輩! 今話してるんですけど?」

「ごめん、つい」


 謝りながらも手が止まらない。本当にまずいのだけれど、許してほしい。


「……まったく」


 溜息を吐くと、栞はブラウスのボタンに手をかけた。


「そんなに触りたいなら、直接触ってみます?」

「えっ」

「今の夏鈴先輩、見たことないくらい喜んでたんですけど」


 指摘されるのは恥ずかしいものだ。とはいえ、喜んでいない、なんて言うこともできず、私はわずかに栞から目を逸らした。

 全部、可愛すぎる栞のせいだ。


「そうだ。このボタン、先輩が外してみます?」


 挑発するように、栞は一番上のボタンだけを自ら外した。ブラウスのボタンなんて10個もない。1個ボタンが開いただけでどきどきする。


「いいですよ。だって私、先輩の彼女ですもん」


 彼女って、最高かも。


 興奮しきった頭に従って私の右手が動き出した瞬間、予想していなかった声が部屋に響いた。


「夏鈴! 誰かきてるの?」


 ―――お母さんである。





「遊びにきてくれてたなんて知らなくて……! 夕ご飯は食べて帰る? でも急に迷惑かしら? 遅くなるし……あっ、帰りにタクシー手配すれば安心かしら!?」


 栞を前にしたお母さんは、なかなか見ることができないハイテンションっぷりを発揮した。


「い、いえ! タクシーなんてそんな……! っていうか、すいません、急にお邪魔しちゃって!」

「いいのよ、そんなの。私もずっと会いたいと思ってたの。夏鈴がいつも貴女の話をするから」

「えっ、夏鈴先輩って私の話してくれてるんですか!?」


 興奮した栞が立ち上がると、そうよ! と母も同じ熱量で返してしまった。

 私としては、全く二人のテンションについていけない。


 お母さんが帰ってこなかったら、私は今頃……!!


 栞のブラウスのボタンを全て外し、欲望のおもむくままに彼女の胸を揉みしだいていたはずだ。それがいいことかどうかはさておき、望んでいたことではあった。

 しかし母親の声を聞いた途端に栞はブラウスのボタンをとめ、制服の乱れを正し、私達のいちゃいちゃタイムは幕を下ろした。


「あっ、私のお母さん、車で迎えにきてくれるそうです。なのでよかったら夕飯、ご一緒してもいいですか?」

「もちろん。ねえ、夏鈴?」


 栞とお母さん、両方に見つめられる。二人とも眩しい笑顔を浮かべていた。


「……うん」


 栞がうちで夕飯を食べて帰るのは全く問題ない。一緒にいられる時間が伸びて嬉しいし、お母さんも喜んでくれたし。


 でも、あと10分、いや、せめて5分だけでも遅く帰ってきてくれたらよかったのに……!

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