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ふたりで灯す、やさしさのかたち  作者: 流浪の旅人
第2章 ふたりで、ゆっくり歩き出す — “やってみたい”が、芽吹いた日
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78.やさしさの向こうにある“誰か”に惹かれていく ― 姉の気づき

やりとりが始まってから、

ことりは夜の時間が、少しだけ特別に感じるようになった。


投稿が来るわけでも、コメントが毎日あるわけでもない。

でも、何か“繋がっている”感覚が、日常にふっとあたたかさをくれる。


(名前も顔も知らない。

でも、あの人の言葉が、胸に残ってる)


ふとした瞬間に思い出す、

あのキャプション。


「“誰か”と気持ちを重ねられることが、

とても幸せだと、改めて思えました。」


(――“誰かと”って、私のことだったのかな)


そんなことを考える自分に、

ちょっとだけドキッとする。


ことりはスマホのメッセージ欄を開いて、

書きかけのメモを見返した。


「あなたの写真や言葉が、

私の中に“好き”って気持ちをそっと残していくようです。」


(……まだ、これは送れない)


(でも、そう感じてるのは確かなんだよね)


“やさしさ”の奥にある“誰か”の存在が、

どんどん、身近になっていく。


最近は、投稿を待つだけじゃなく、

少しでもその人を感じたくて、過去の投稿まで何度も見返している。


そして、思ってしまう。


(もし、この人が身近にいたら、

私は、きっと…好きになってたかもしれない)


でも、ふと現実に引き戻される。


(でも、それは“知らないからこその好き”なのかも)

(正体が分かってしまったら、壊れてしまうかもしれない)


ことりは静かにスマホを伏せて、

ソファに体を預けた。


(でも、それでも…やっぱり私は、

この人の言葉に、惹かれてしまってる)


その胸の奥で芽吹いた気持ちは、

もう見ないふりをできるほど、小さくはなかった。

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