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ふたりで灯す、やさしさのかたち  作者: 流浪の旅人
第2章 ふたりで、ゆっくり歩き出す — “やってみたい”が、芽吹いた日
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76.「これは…私への返事?」 ― 写真に込められた想いを受け取る姉の夜

夜10時すぎ。

ことりは、なんとなくスマホを手に取った。


アプリを開くと――

画面の上部に、見慣れた名前が表示されていた。


@trace_nao が新しい投稿をしました


指が、自然と動く。

ほんの少し、鼓動が速くなるのを感じながら。


投稿が開かれた瞬間、

心がふっと温かくなるような感覚に包まれた。


キャラは、穏やかに笑っていた。

視線はまっすぐ前へ。

でもその目の奥には、どこか“何かを受け止めた”ような深さがあった。


ことりの指が止まったのは、

その写真の“空気感”だった。


(なんだろう……

この感じ……あのときの私みたい)


そして、キャプション。


「“待ってる”って言ってもらえたから、

また前を向いて、写真が撮れました。

ありがとう。

あなたの一言が、僕の背中を押してくれました。」


ことりの目が、止まった。


(……これ)

(これは……私への……返事?)


キャプションには、名前も、特定の誰かのことも書かれていない。

でも、“わたしが言った言葉”が、静かに繋がっているのを確かに感じた。


「あなたの言葉と写真、待ってます」

「ありがとう。待ってるって言ってもらえたから」


胸の奥が、きゅうっとなる。


ことりはスマホを両手で包むように持ちながら、

ひとつ、深く息を吐いた。


(やっぱり……

この人、わたしの気持ち、届いてたんだ)


(そして今、

写真で…返してくれた)


しばらく画面を見つめたあと、

ことりは画面をそっと閉じた。


でもその夜は、しばらく眠れなかった。


(こんなにやさしく、

想いを返してくれる人が、

この世界にいるなんて――)


「…ありがとう。あなたの写真、ちゃんと届いたよ」

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