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ふたりで灯す、やさしさのかたち  作者: 流浪の旅人
第2章 ふたりで、ゆっくり歩き出す — “やってみたい”が、芽吹いた日
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75.“言葉じゃ足りない”から、写真で返す ― 弟が準備する応答のかたち

尚人は、深夜の静まり返った部屋で、

ノートとスマホを交互に見つめていた。


姉から届いた、初めてのコメント。


画面を閉じても、心の中では何度も響いていた。


「あなたの言葉と写真、待ってます。」


(返信……すぐにでもしたい)

(でも、“ありがとう”って言うだけじゃ、足りない気がする)


尚人の中には、ずっと思い描いていた1枚があった。

姉が好きなキャラを、

「姉の目に届いてほしい」気持ちで演じた、特別な一枚。


キャプションは、まだ白紙。

でも、今なら書ける気がした。


(姉ちゃんの“待ってます”に、

“待たせない”って返したい)


(ただの返信じゃなくて、

俺の言葉と、写真“全部”で――ちゃんと届けたい)


尚人は、カメラロールからその写真を選んだ。


キャラが微笑む1枚。

でもその目は、まっすぐ前を見ている。

“受け止める強さ”と、“返す覚悟”を宿した表情。


ノートに、キャプションの案を走り書きする。


「あなたの言葉が、僕の心を照らしてくれました。

だから今度は、僕の写真と言葉で、

あなたの夜に、そっと灯りを灯せたら嬉しいです。」


(……ダメだ。“あなた”って、どこか他人行儀だな)


悩みながら、言葉を組み直す。


「“待ってる”って言ってもらえたから、

また前を向いて、写真が撮れました。」


「ありがとう。

あなたの一言が、僕の背中を押してくれました。」


尚人は、小さく笑った。


(結局、“ありがとう”って言葉に戻ってくるんだな)


(でも――これは、“ただのお礼”じゃない)


(これは、“心の返事”なんだ)


画面を見つめて、

“投稿する”のボタンの手前で、そっと深呼吸した。


「もうすぐ、届くよ。姉ちゃん」

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